見出し画像

アジア紀行~タイ・スコータイ遺跡⑨~

スコータイ最終日

IMG_20220131_211306-crop-crop南

いよいよスコータイ最後の日となった。バンコクに戻るバスは午後1時発なので、午前中に未訪の歴史公園の南のエリアに出かけようと思う。
地図を見ると、寺院遺跡の数もそれほど多くはなさそうだ。

Legendha Sukhothai Hotel の朝食も、これが最後だ。

画像2

いつもより早く、8時半にホテルを出る。
何度か往復したスコータイ歴史公園への道を自転車で走る。今回は東門から中に入らず、城壁に沿って南下する。城壁は三重に巡らされていて、その間には堀がある。南東の角を曲がり、公園の南門の前で左折する。

スコータイ歴史公園城壁外南部エリア

画像3

最初に訪れたのは、ワット・コーンレーン(Wat Kon Laeng)という名の寺院遺跡だ。
草木が生い茂る中に、煉瓦積みの小さな建物の残骸だけがかろうじて残っている。

画像4

少し先の左手に、崩れた仏塔が見える。木でできた案内板があった。
Wat Ton Chan」(ワット・トンチャン)と書かれているようだ。

画像5

画像6

上部は完全に崩れ、あちこちから草が生えている。
仏塔の向こう側に回ると、柱列ともう一つ崩れた塔のようなものがあった。

画像7

画像8

しかし、この柱列の奥にあるものは、仏塔にしては形がおかしい。そばに寄って横から見ると、人の体の線が感じられる。そうだ、これは仏様の坐像なのだ!

画像9

この時間、この場所を訪れている人はだれもいない。たぶん一日にここまでやって来る人もまれであろう。完全な静寂の中で、少しずつ自然にかえっていく寺院の姿がここにある。

道に戻ってさらに前進。道の左右に高床式の民家がある。
少し先の右手に堀があり、その向こうに大きな寺院遺跡が見える。

画像10

案内板には「Wat Chetuphon」(ワット・チェットポン)と書かれている。
草原の中に、柱の列と壁のような建物が見える。

画像11

近づいて見ると、巨大な煉瓦の壁の正面には、ウォーキング・ブッダ(遊行像)が彫られている。残念ながら頭部はなく、腕や足の破損も大きい。

画像12

画像13

背後に回ると、こちらにもブッダの立像があった。正面を向いているが、これも頭部や腕が欠けている。

画像14

穏やかで美しいお顔を想像してみる。二体の像は東西の壁に彫られているが、よく見ると南北の壁にも、かつては仏像が彫られていたようだ。崩れ去った今となっては、その姿は想像さえできない。

画像15

さらに背後に仏堂があるので、近くに行ってみる。

画像16

この寺院や仏像たちも、スコータイ王朝の衰退とともに歴史の中に取り残され、やがて崩壊への道を歩むしかなかったのだろうか。

このワット・チェットポンでは、特に印象に残っていることがある。それは、道路とこの寺域を隔てる堀に咲いていた美しい睡蓮の花である。

画像17

自分以外だれもいない静けさの中で、この景色を独り占めできるなんて、とても贅沢なことかもしれない。

時計を見ると、午前10時。残された時間はあとわずかだ。
道の左手に、もう一つ寺院遺跡がある。

画像18

「Wat Chedi Si Hong」(ワット・チェーディーシーホン)という名前だ。
仏塔の基壇に、ぐるりと漆喰の彫像がある。完全な形を保っているものは皆無だが、それが菩薩像や象であることはわかる。

画像19

画像20

菩薩像結合2

遺跡のそばでは、親子の牛が草を食んでいる。牛が首にかけている鈴の音だけが、耳に聞こえる音のすべてだ。

画像22

この草原で、今日寺院遺跡を巡る中で、初めて人と出会う。
草を刈る男性と、姉妹。

変換 ~ IMG_3187

画像24

スコータイ歴史公園の城壁内外の寺院遺跡をほぼ見終わったと思うが、さらに周辺地域には、まだ整備されていない遺跡がたくさんあるようだ。
タイの歴史公園は、このスコータイ歴史公園とアユタヤ歴史公園を含めて10カ所もあり、そのうち4カ所はユネスコの世界遺産に指定されている。
いつか行ける日があるといいのだが・・・。

そろそろタイムリミットだ。急いで自転車をこぎ、ホテルに戻る。
シャワーを浴びて汗を流し、荷物をまとめる。
11:30、チェックアウト。自転車は無料だと思っていたが、100バーツ請求される。3日間乗って300円ほどだから、安いものだ。

さよならスコータイ

この旅最後になる「ソンテオ」に乗って、バスステーションへ。バンコク行きの長距離バスの出発時刻は13時の予定だから、しばらくそこで待つ。
チケットは昨日ピッサヌロークで購入済み。ファーストクラスのバスで、座席は指定で窓側の4Dだ。
ところが到着したバスは自由席で、座る予定のシートにはすでに人がいる。おまけにとてもファーストクラスのバスとはいえない。
とりあえず太ったおばさんの横の通路側の席が空いているので、そこに座る。最後の最後まで、乗り物には振り回される。
しかし、これがバンコク行きであり、7時間後に到着することは間違いないだろう。

バスはいくつかのバスターミナルやステーションにとまりながら、暗くなったころバンコク市街に入る。あふれる車と縦横に走る道路、マーケットや屋台の灯りとそこに集まる大勢の人々。穏やかでのんびりとしたスコータイが遠い昔のことのように思えてくる。
午後8時、バスは定刻通り、雨の降る北ターミナルに到着する。さらに市内バスに乗り換える。雨・夜・スモークガラス・渋滞・・・降りる所に注意しながら外の景色に目をやる。

夜10時、出発前に泊まっていたホテルに再チェックイン。長い一日だった。
くたびれて、シャワーも浴びずに眠ってしまう。
こうして4泊5日のスコータイ訪問が終わった。

「アジア紀行~タイ・スコータイ遺跡~」の記録が今回で終了しました。
当初は5回ぐらいで終わるかなと思っていましたが、9回のシリーズになりました。ここまでお読みくださり、ありがとうございます。




いいなと思ったら応援しよう!

komajin
サポートありがとうございます。 いただいたサポートは狛犬研究など、クリエイターとしての活動費として使わせていただきます。