アジア紀行~インドネシア・タナトラジャ~サバイバル家族旅行note⑤~
早速の洗礼!
ウジュンパンダンの空港で出会えたガイドのGENTOの案内で、昨夜遅くに到着したタナトラジャ(Tana Toraja)。
現地での計画はすべてグント任せであるが、日本で写真家の野沢正英氏から信頼の置けるガイドだと聞いてきたので、その言葉を全面的に信じることにする。
我々が数日宿泊することになっているのは、「LEBONNA」という民宿(wisma)である。
昨夜は到着が遅かったので、みんな疲れて眠ってしまった。
朝5時頃、息子のYが目を覚まして、お腹がすごく痛いと言う。
「トイレ~」と叫んだかと思うと、もう間に合わない。
パンツも床も・・・、我々の寝ていた部屋は、あっという間に修羅場と化した。原因は・・・考えればいくつも思いつく。気候の変化、プールに海、10時間に及ぶ長いドライブ、椰子油を使ったミーゴレン、半生の落花生・・・。
頭痛に下痢、そして高熱。
夜が明けてきたのか、家の外で鶏の鳴き声がする。
Yにとっては、いきなりの熱帯の洗礼だが、治るまでおとなしくするしかない。
午前中、グントが車でランテパオ(Rantepao)の町に連れて行ってくれた。ランテパオは標高800mの高地にあり、「天空の町」という意味らしい。
妻はYの様子をみるというので、娘Cといっしょに行く。グントがCにビーズの首飾りと腕輪を買ってくれる。
トンコナン・ハウス
我々が止まった「LEBONNA」には、トラジャ族の伝統的な「トンコナン」と呼ばれる舟形屋根の家屋があった。この家は必ず北向きに建てられる。トンコナンの正面には、水牛の角がいっぱい飾られている。これはその家の富の象徴である。
トンコナンの向かい側には同じようなライスハウス(米倉)がある。こちらは「アラン」という。倉の下は吹き抜けになっていて、日陰に風が通って気持ちがいい。
この日陰で「マルキサ」という果物を初めて食べた。
マルキサの中は、半透明のゼリー状で、黒いつぶつぶの種が入っている。果実の上部をナイフで切り落とし、中身をスプーンですくって食べる。少し酸味があって、歯触りはプチプチ、カリカリ。不思議な食感だが、おいしい。
「トゥアック(tuak)」という甘酒のような飲み物もごちそうになった。これは椰子から作るらしい。アルコール度はかなり低そうだ。
珍しいことがいっぱいあるが、Yが寝たきりなのがかわいそうだ。
洗礼拡大!
Yの様子を見に行く。かなり熱が高く、汗びっしょりになっている。夢を見ているらしく、現実との区別がつかないようだ。
突然ベッドから起きだして、ズボンを脱いで「シュート!」と叫ぶ。そうかと思ったら、またまたひどい下痢。
「お母さんがここでウ●コしなさいと言った・・・」と訳の分からないことを口走っている。
床は汚れるし、もう着替えのパンツはないし・・・。
午後、GENTOが妻をランテパオの市場に連れて行ってくれる。珍しいものがいっぱいあって、いろいろ欲しいと思ったが、帰りの飛行機のことが気になって、買い物ができなかったようだ。GENTOに、といって、「234」という丁子の香りのするタバコを買ったそうだ。
午前中はまだ元気だったCの様子がおかしい。腹痛、発熱、そして下痢! Yとまったく同じ症状だ。
夕食の時間になっても、みんな食欲がない。LEBONNAのお母さんが心配して、ご飯とスープと鶏の唐揚げを作ってくれる。お皿にご飯を入れ、その上にスープをかけてお粥のようにして食べる。味は中華料理っぽい。
YとCは食事どころではない。そしてついに妻までが同じ症状になってしまった。シーツも床も、申し訳ないぐらいに汚してしまう。3人が交代でトイレを往復する。宿の人に、湯を入れた盥を持ってきてもらう。気の毒そうにしているが、彼らも臭いに退散する。
人生最悪の地獄絵のような修羅場が続き、やがてみんな疲れてウトウトする。なかなか時間が前に進まないが、早く明日になってほしい。
ところで、みんなと同じものを食べた私はといえば、まったくなんの兆候もなく、元気だ。恐るべし、わが胃腸。
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