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大阪市の神社と狛犬 ⑮浪速区 ⑤新世界稲荷神社~通天閣を見上げる狐像~

大阪市浪速区の地図と神社

大阪市には、現在24の行政区があります。浪速区は上町台地の西側、大阪市のほぼ中央に位置します。区の面積は4.39㎢で、大阪市で最も狭い行政区です。区名は、王仁が詠んだと伝えられる古歌「難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今は春べと 咲くやこの花」からとられました。
浪速区は、長い歴史をもつ「大阪木津卸売市場」や「でんでんタウン」など市内でも有数の商業地域として発展してきました。また、大阪のシンボルといわれる「通天閣」がある新世界など、庶民の町として親しまれています。

浪速区には、神社庁に加盟する神社が4社ありますが、これら以外にも少なくとも5社が確認できます。
新世界稲荷神社は、その名が示すように「新世界」にあります。
新世界は天王寺動物園に隣接し、通天閣を中心とする繁華街の名称です。1903年にこの地で内国勧業博覧会が開催され、その跡地が天王寺公園になりました。1912年に通天閣と遊園地ルナパークが開業し、「大阪の新名所」というふれこみで「新世界」が誕生します。70年代以降は低迷が続きましたが、現在は外国人観光客が大幅に増加し、新たな賑わいを見せています。
新世界稲荷神社は、通天閣の北側、約100mほど離れたところにあります。戦前は通天閣のすぐ近くに鎮座していたそうですが、初代通天閣が取り壊しになり、二代目通天閣の再建と同時に現在の場所へと移転しました。

新世界稲荷神社前から通天閣を臨む


新世界稲荷神社

■所在地 〒556-0002 大阪市浪速区恵美須東1-16
■主祭神 福永大神
■由緒 「新世界」誕生と同時期に、京都の伏見稲荷神社から勧請され、商売繁盛や新世界の繁栄を願って創建されたと言われている。社号標や石鳥居の神額には「福永大神」と記されているが、境内の赤鳥居には「新世界稲荷神社」の神額を掲げている。

「福永大神」社号標
「新世界稲荷神社」神額の鳥居と狐像

狐像

■奉献年 昭和五十五年七月吉日建之
■作者  不明 
■材質  花崗岩
■設置  参道左右

狐像
狐像

稲荷神社の神使は狐である。新世界稲荷神社でも、建ち並ぶ赤鳥居の両側に狐像が安置されている。台座には「昭和五十五年七月吉日建之」と彫られている。寄進者は、左「小塚與三」・右「和田米治郎」。和田米治郎は、廣田神社のアカエイ絵馬を奉納した人物だ。
正面の石造鳥居と社号標にも「昭和五十五年七月吉日」の紀年銘がある。
新世界稲荷神社は、明治45年(1912)に初代通天閣の北側付近に創建され、その後、初代通天閣が火事などが原因で解体されて、二代目通天閣が建設された昭和31年(1956)頃に現在地に遷ったとされている。
昭和55年(1980)には大規模な改修が行われたのだろう。神社の境内入口からは、通天閣が堂々とそびえ立っているのが見える。

◆新世界稲荷神社はどの辺りに創建されたのか?

この記事を投稿した後、noterの九條正博さんから有意義なコメントをいただきました。九條さんは『大阪新名所 新世界写真帖』(1913年)と『大阪市パノラマ地図』(1924年)を参照して、新世界稲荷神社が当初どの辺りに建てられたのかを検討されています。『大阪市パノラマ地図』に、通天閣から北東に通じる合邦通に神社らしきものが描かれており、これがもとの新世界稲荷神社ではないかというご指摘がありました。

『大阪市パノラマ地図』(部分)

私は、創建時の新世界稲荷神社は通天閣のすぐそばにあったと理解していたのですが、少し離れていたのですね。
九條さん、ありがとうございました。


ルーレット式おみくじ

この神社でおもしろいのは、石で造られたルーレット式のおみくじである。

ルーレット式おみくじ

円形の石板を回すと、三角形に穿たれたところから番号が見える。この番号がおみくじの番号。掲示板で、番号の下に書かれた運勢を確かめる。

新世界界隈

「づぼらや」は今は閉店しました・・・



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