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大阪市の神社と狛犬 ➌西淀川区⑦西島住吉神社~天明年間の不思議狛犬~

大阪市西淀川区の地図と神社

大阪市には、現在24の行政区があります。西淀川区は淀川の北側にある三つの区の西側に位置します。
西淀川区には、神社が9社があります。(地図参照)
9社のうちの5社が海の神を祀る住吉神社ですが、他の神社もほとんどが住吉大神をお祀りしています。
西島住吉神社は、神崎川と西島川に挟まれた工場地帯の一角にあります。

西島住吉神社

■鎮座地 〒555-0042 大阪市西淀川区西島1-2
■主祭神 底筒男命・中筒男命・表筒男命・神功皇后
■由緒  元禄11年(1698)九条村の池山新兵衛が四百二十両を納めて新田を開発し、佃・大和田の対岸より西にあるところから、この地を西島と名付けた。開墾の折に、この地の守護神として住吉四神を勧請したのが、当社の始まりである。
明治42年に内務省の合祀令により、五社神社に一旦は合祀されたが、その後昭和21年に正遷宮祭が執り行われて独立した。現在の社殿は、平成20年に大改修が行われたときのものである。

狛犬1

■奉献年 天明年間(1781~1789)  
■石工  不明
■材質  花崗岩
■設置  境内

住吉神社の神額と狛犬
天明年間奉献の狛犬(阿形)
天明年間奉献の狛犬(吽形)
天明年間奉献の狛犬(阿形の尾)

西島住吉神社は、工場地帯の一角にひっそりと鎮座していた。石柱に掛けられた「住吉神社」の神額の前に、何とも印象深い石造狛犬がある。台座の2段目から下が土に埋もれ、読み取れるのは「若中」という文字だけだ。
胸をはってすっと背筋を伸ばし、斜め前方に少し体をひねっている。胴の部分はほっそりしている。顔の周囲にいくつかの巻き毛。背中に流れる数本の直毛は筋が入っている。尾は五本立ちで、左右の二本は短い。全体にシンプル。
最も特徴があるのは顔つきだろう。阿吽とも短い垂れ耳で、目は銀杏型、眉がつりあがる。口は、上唇の輪郭がはっきりしていて、上の歯が一直線にきれいに並んでいる。口を閉じる吽形は顎の部分が大きく、角の部分が盛り上がるので、おむすび型の顔になっている。
境内に掲げられた由緒書きには、「狛犬 天明年間(年不明)十一月吉日の記載あり」と記されている。同じく貼られていた「昭和廿一年十一月八日住吉神社正遷宮記念」という文字が入った写真の狛犬は、3段の台座(基壇)上に坐しているが、現在境内に置かれている狛犬は2段目の中ほどから下が地中に埋もれていて、最下段がどうなったのかは不明である。そのため紀年銘を確かめることは不可能だが、この狛犬の古様を見ると、天明年間(1781~1789)という記載は間違いないだろうと思われる。天明期の狛犬は大阪府では10例ほど残っているが、この狛犬と似たものは見当たらない。


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