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大阪市の神社と狛犬 ⑱生野区 ③御幸森天神宮~頑張りすぎの浪速狛犬~
大阪市生野区の地図と神社
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大阪市には、現在24の行政区があります。生野区は大阪市の東南部に位置し、北は東成区、西は天王寺区、南は阿倍野区・東住吉区・平野区、東は東大阪市と接しています。区名の「生野」は、「生野長者」の伝説にちなんで付けられています。
今回は、御幸森天神宮に参拝します。JR環状線桃谷駅より東へ徒歩10分ほどのところに鎮座します。神社の北側の御幸通商店街は「大阪コリアタウン」の名称で、人気の観光スポットになっています。
御幸森天神宮
■所在地 〒544-0034 大阪市生野区桃谷3-10-5
■主祭神 仁徳天皇、少彦名命、忍坂彦命
■由緒 社伝によると、難波に都を定めた仁徳天皇が、鷹狩りの折や、百済から渡来した人々の様子を見聞する道すがら、たびたび当地の森で休憩したという。その由縁により御幸の森と呼ばれるようになった。天皇崩御の後、反正天皇の406年、この森に社を建立して仁徳天皇の神霊を奉祀し、「御幸の祠」とも「御幸宮」とも称したという。
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狛犬1
■奉献年 大正八年七月吉日(1918)
■作者 不明
■材質 花崗岩
■設置 西参道
御幸森天神宮の入口は、境内の西側と北側にある。西側は車道に面している。西参道の鳥居を潜るとすぐに一対の狛犬と出会う。
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阿吽ともに立ち耳で、斜め上方に立ち上がる。同じ方向に眉と目がつり上がるので、険しい顔つきに見える。台座に「大正八年七月吉日」という紀年銘と奉納者の名前が刻まれている。頭頂部は少し盛り上がるが、吽形の頭上に角は確認できない。
後方から見る尻尾の形状が美しい。
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参道をさらに進むと、左側に南面して拝殿・本殿がある。拝殿前に一対の狛犬が安置されている。
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狛犬2
■奉献年 昭和五年十月吉日(1930)
■作者 猪飼野俊徳橋 林石材店事 林聰調製
■材質 花崗岩
■設置 拝殿前
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拝殿前の狛犬は、筋骨たくましい昭和の作品である。台座に「昭和五年十月吉日 猪飼野俊徳橋 林石材店事 林聰調製」の銘がある。俊徳橋は、神社の東を流れる平野川に架かる橋の名前で、その付近の地名になっている。
耳の形状、阿形の三角舌、やや棒状の前脚など、昭和の大阪の狛犬の特徴を表している。
第一台座正面に唐草文を描き、その下に猫足の第二台座を置いている。
拝殿の東側の参道を北側に抜けると、御幸通商店街「大阪コリアタウン」に出る。今度は商店街側から、もう一度境内に入ってみよう。
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狛犬3
■奉献年 不明(江戸時代)
■作者 不明
■材質 砂岩
■設置 御幸通商店街側鳥居内
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写真からもわかるように、損傷がはげしい。特に胴体部から脚部にかけては、表面が風化・剥離している。頭部がかろうじてほぼ元の状態を保っているので、狛犬の表情などは確認できる。それでも、阿形の耳から後頭部はダメージがある。
台座に紀年銘などは見つからなかったが、19世紀初め頃の文化年間の狛犬ではないかと推測する。
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後方に回ってみると、こちらも立ち尾であることがかろうじて分かるだけで、毛房の模様などは壊滅的である。
このように損傷の激しい狛犬を、今後どのように保存すればいいのか、いつも考えさせられる。風雨にさらされて、これ以上顔面まで崩れてしまうのは、見るに忍びない。といって、簡単に廃棄処分には絶対にしてほしくない。狛犬の表面を、目立たない透明の樹脂で覆うなどして風化をとめる方法はないのだろうか。それとも、命ある石の運命と考えて、新しい世代の狛犬にバトンタッチしていくことを受け入れなければならないのか。悩ましい課題である。
それにしても、この狛犬さん、頑張りすぎだね。
御幸通商店街「大阪コリアタウン」で見かけたヘテ像
御幸森天神宮を出て、御幸通商店街「大阪コリアタウン」を歩く。この辺りには、在日韓国や朝鮮の人たちがたくさん住んでいるので、チヂミやキムチなどの食材や飲食店などが軒を並べている。
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どこの店の前だか忘れたが、韓国のヘテ像が置かれていた。
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中国の伝説上の動物に獬豸というものがある。正義や公正を象徴する祥獣で、日本の狛犬の起源の一つとも言われる。この獬豸が朝鮮半島に伝わって、「ヘテ」(해태)と呼ばれるようになった。ヘテは漢字で書く場合には「海駝」と当て字される。ヘテは「ヘチ」とも呼ばれ、韓国の企業グループの名前にもなっている。
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