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大阪市の神社と狛犬 ㉒住吉区 ①住吉大社(その11)~種貸社のおんぶ狛犬と児安社の浪速狛犬~
大阪市住吉区の地図と神社
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大阪市には、現在24の行政区があります。住吉区は、大阪市の最南部に位置し、大和川を隔てた南は堺市になります。この辺りは、古代には「すみのえ」と呼ばれた海に面した地域で、海上安全の守護神として名高い住吉大社とともに栄えてきました。また、大阪と泉州・紀州を結ぶ紀州街道や熊野街道などの交通の要衝でもありました。
住吉区には由緒ある古い神社がいくつもありますが、まずは摂津国一之宮である住吉大社へお参りするところから始めたいと思います。大阪人にとっては「すみよっさん」と親しまれている神社です。今回は住吉大社の11回目(その11)になります。
住吉大社のすぐ前の道路には、阪堺線の「住吉鳥居前駅」があります。また、この道路を挟んで西側に南海本線「住吉大社駅」があり、交通の便に恵まれています。
住吉大社の狛犬については、すでにこのnoteに「住吉大社の狛犬」シリーズをマガジンにまとめて発表しています。今回は「大阪市の神社と狛犬」シリーズの中の一神社として紹介したいと思います。内容的には重なる部分が多いことをご理解ください。
住吉大社
■所在地 〒558-0045 大阪市住吉区住吉2-9-89
■主祭神 底筒男命、中筒男命、表筒男命、息長足姫命(神功皇后)
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住吉大社には10対を超える狛犬が安置されている。前回は境内末社の侍者社の2対の木造狛犬(狛犬10)を紹介したが、「住吉大社(その2)~幻の玉乗せ狛犬~」を含めると、すでに10対を超えてしまった。今回は、境内末社である種貸社の狛犬(狛犬11)と児安社の狛犬(狛犬12)で、こちらでは合計4対の狛犬と出会うことができる。
はったつさん
住吉大社には、商売繁盛・家内安全を祈願してお参りする人がたくさんいる。毎月の最初の辰の日に、住吉大社の境内末社である種貸社、楠珺社、浅澤社、大歳社の四社をそれぞれお参りすることを「初辰参り」という。年12回、4年で48回お参りすれば「四十八辰」、すなわち「始終発達」で、満願成就になるとされている。
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種を司る神様「種貸社」
種貸社は、『延喜式神名帳』・『住吉大社神代記』に「多米神社」と記載されている古社で、この初辰参りで最初にお参りする神社になっている。もとは、稲種を授かって豊穣を祈る信仰であったが、時代とともに商売の元手、元本、また子宝祈願の信仰に発展していった。
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狛犬11➊おんぶ狛犬
■奉献年 平成二十六年正月初辰日(2014)
■作者 石留石材
■材質 花崗岩
■設置 種貸社前
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この種貸社の拝殿前に、珍しい狛犬がある。親の背中に子供と孫を乗せた「おんぶ狛犬」だ。阿形は垂れ耳、吽形は立ち耳で、毛並みにも変化をつけている。台座には「奉納 平成二十六年正月初辰日」と刻まれている。まだ新しいものだが、子宝祈願、子々孫々までの繁栄をお願いするのにぴったりの狛犬といえるだろう。
狛犬11➋青銅狛犬
■奉献年 平成二十六年六月三十一日(2014)
■作者 不明
■材質 青銅
■設置 種貸社東側
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種貸社の社殿のほんの少し東側、奥の児安社に通じる参道の入口に、おんぶ狛犬と同じ平成26年に奉納された青銅狛犬がある。こちらは反橋前の住吉型狛犬をモデルにしたのだろうか。阿形が垂れ耳で巻き毛多数、吽形は木の葉型の立ち耳で直毛、頭上に角がある。石造狛犬をそのまま青銅製に移し替えたようで、青銅狛犬の持つ豊かな迫力や表現力に欠けるのが残念だ。
ところでこの狛犬の台座の紀年銘をよく見ると、「平成二十六年六月三十一日」と書かれている。6月は30日までなんだけど・・・・・・。
狛犬11➌神殿狛犬
■奉献年 平成二十四年十月(2012)
■作者 不明
■材質 木造
■設置 種貸社内陣
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さて、いよいよ種貸社に参拝しよう。いまさら子宝祈願はないが、こちらは知恵を授ける神様でもあるらしい。社殿の内部は明るく、色鮮やかな狛犬さんが安置されている。阿形の横に「平成二十四年十月」の文字が見える。阿形は大口を開けて笑っているようだ。大きな角がある吽形は、口をファスナーで閉じたみたい。どちらも親しみを感じさせる。
児安社
子宝祈願の種貸社の東隣に小社がある。こちらは児安社といって、子守神として崇敬を集めている。児安社は、近世までは第四本宮の南に祀られていて、神功皇后とともに「安産子守の神」として信仰されていたという。
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狛犬12
■奉献年 文化九壬申年四月(1812)
■作者 不明
■材質 砂岩
■設置 児安社前
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社殿の前には、像高50cmほどの砂岩製の古い狛犬が安置されている。台座には「文化九壬申年四月」と記されている。文化九年は西暦1812年に当たる。丸目で大きな鼻、眉をしかめるような表情で、口角が丸く広がっている。阿形は垂れ耳、吽形は立ち耳で角がある。
一寸法師の伝説
種貸社や児安社のある住吉大社には、あの昔話の「一寸法師」の伝承がある。「一寸法師」の話は、室町時代に成立したと思われる『御伽草子』の中に登場する。
中頃の事なるに、津の国難波の里に、おうぢとうばと侍り。うば四十に及ぶまで、子のなきことを悲しみ、住吉に参り、なき子を祈り申すに、大明神あはれと思召して、四十一と申すに、たゞならずなりぬれば、おうぢ喜びかぎりなし。やがて十月と申すに、いつくしき男子をまうけけり。
さりながら生れおちてより後、せい一寸ありぬれば、やがて其の名を一寸ぼうしと名づけられたり。
このとき老夫婦が祈ったのが、住吉の神様だったのだ。このことから、住吉大社は、一寸法師発祥の地となった。
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古くから信仰をあつめてきた住吉大社は、人々のいろんな願いに応えてきたのですね。
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