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大阪市の神社と狛犬 ➎福島区⑥天神社~寛延元年の隠れ狛犬~
大阪市福島区の地図と神社
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大阪市には、現在24の行政区があります。淀川のすぐ南側には5つの区がありますが、福島区は此花区と北区に挟まれる位置にあり、大阪都心6区の一つになっています。かつてはこの辺りも難波八十島と呼ばれる地域でした。
福島区には、狛犬のある寺社が6つあります。(地図参照)
天神社は、下福島天神社ともいい、JR環状線野田駅の東南500mほどのところに鎮座しています。福島三天神の一つで「上の天神」と呼ばれる福島天満宮に対して、「下の天神」と呼ばれています。境内社に、豊光神社、天照皇大神宮外六坐社、宮比事平神社、厳島神社(榎社)があります。
福島区の神社と狛犬の紹介は、この天神社が最後です。
天神社
■所在地 〒553-0004 大阪市福島区玉川1-4-5
■主祭神 少彦名命・菅原道真公(相殿神)
■由緒 社伝によると、901年菅原道真が九州大宰府へ配流になった際、当社に参拝し海路の平穏を祈ったと伝えられている。
狛犬1
■奉献年 寛延元辰年十二月吉日(1748)
■石工 不明
■材質 砂岩
■設置 本殿と拝殿の間の斎庭内
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下福島天神社には、4対の狛犬が安置されているが、拝殿と本殿の間の「斎庭」に寛延元年(1748)の古い砂岩製狛犬が残されている。残念ながら瑞垣で囲まれた中に置かれているので、遠くから垣間見るしかない。社務所におられた宮司さまの奥様にお願いして、併設されている幼稚園の園庭から見せていただいたので、かなり近寄ることができたが、それでも垣根越しに阿形の斜め後ろ姿を拝むのが精一杯だった。
後頭部に自然に垂れる流れ毛は、先が丸く巻いて豊かである。顔の左右から肩にかかる辺りは巻き毛がいっぱいで、やや斜め上方に向いて口を開ける阿形は愛らしい雰囲気だ。尾は背中に沿って八つの突起を持つ。
奉献年の「寛延元辰年十二月吉日」という文字は、吽形の第二台座に刻まれているとのこと(『狛犬の研究ー大阪府の狛犬ー』奈良文化財同好会)。
狛犬2
■奉献年 天保二辛卯年(1831) 臼屋吉兵衛
■石工 不明
■材質 砂岩
■設置 境内社 宮比事平神社前
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境内社の宮比事平神社は、「宮比大神」と「事平大神」を祀る。宮比神は、宮中の平安と神主職掌人が過ちなく奉仕することを祈る神。事平神は「琴平神」「金比羅神」と同じく、海難予防と事業の繁栄を司る神で、もとはインドのガンジス川に生息するワニを神格化したものという。
狛犬は台座に「天保二辛卯年」「臼屋吉兵衛」の銘が彫られている。阿吽とも損傷が激しいが、特に阿形は顔面が完全に欠けていて痛々しい。
狛犬3
■奉献年 天保二年卯五月(1831) 取次 上村市之丞
■石工 不明
■材質 砂岩
■設置 境内社 豊光神社(稲荷社)前
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もともとは天満宮下之社の稲荷社だったが、明治40年に近隣の豊光神社を合併した。社前には、一対の狐像と一対の狛犬が置かれている。狛犬は豊光神社を合祀したときに、いっしょにやって来たのかもしれない。
「天保二年卯五月」の銘を持つ砂岩製の狛犬は、阿吽ともに垂れ耳で、丸い目が中央に寄り、阿形は大きく口を開けて笑っているようだ。角のある吽形は、上唇の下に17本の歯がきれいに並び、太い眉が釣り上がっているものの、恐ろしさはまったく感じられない。天保の初めの作だが、その前の文政頃の雰囲気を強く残している浪速狛犬である。
なお、豊光神社(稲荷社)の社殿のすぐ前には、次の狐像(大正14年)が安置されている。
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狛犬4
■奉献年 昭和十二年十月再建立(1937)
第八世 臼谷吉五郎 同スガ
■石工 不明
■材質 花崗岩
■設置 拝殿前
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主祭神の少彦名命と相殿神の菅原道真をお祀りする社殿の拝殿前に安置されているのは、昭和の花崗岩製狛犬である。豊かに波打つ毛並みが美しい。台座に「再建立」と書かれているのが気になる。
おまけ
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