アジア紀行~ミャンマー・インレー湖⑤~
インレー湖の浮畑農業
ファウンドーウー・パゴダを後にして、ボートは再びインレー湖へ。スピーカーから聞こえるお経の朗誦の声が遠ざかっていく。
インダー族の男性が、ここでも片足で器用に櫓をこぎながら漁をしている。
水上家屋もあちこちに見える。いつの間にか見慣れてしまった。どの家にも必ず船着き場がある。
船はいろんなものを運ぶ。これは何に使うのかな?
前方に浮島が見えてくる。これはインダー族が作った湖上の畑だ。
浮草の上に湖底の泥で盛り土をして作られた浮畑である。この浮畑で、トマトなどの野菜を栽培している。
こうして見ると、ここが湖の上とは思えない。人々は船でやって来て、地上の畑のようにこの水上の畑の上で農作業にいそしむ。
地上の畑と異なる点は、たくさんの棒が立っていることだ。これは畑が動かないように、湖底に打った杭である。時には、杭を抜いて畑ごと移動することもできる。
ボートは、浮畑の間の水路を進む。
前方からやって来た船とすれ違う。3人の女性が乗る手漕ぎの船である。いちばん前の女性が、こちらを見て「ミンガラーバー」と声をかけてきた。「こんにちは」という挨拶の言葉だ。
私も「ハロー」と応じた。
何でもない一瞬の出来事だが、とてもすがすがしい気持ちになった。
ガーペー僧院(Nga Phe Chaung)
30分ほどで、浮畑を抜ける。
次の目的地は、インレー湖最後の訪問先となるガーペー僧院だ。
湖から水路に入ったその先に、突然のように大きな木造寺院が現れる。周囲が水で囲まれているので、小島の上に建てられているのだろうか。文字通り水上寺院である。
ボートは船着き場に近づく。先着の観光客が船から下りようとしていた。
ガーペー僧院の創建は1844年ということだ。格別古いというほどではないが、木造であることが、歴史を感じさせる。
内部は板敷で、大きな須弥壇上には、たくさんの金色の仏様が安置されている。今まで見てきた他の寺院や仏塔の仏像とは趣の違うものが多い。ここには、このシャン地方だけでなく、バガンやチベットやその他の地域のスタイルの仏像が集められているそうだ。
須弥壇や仏龕の細工がとても細かい。柱がやたら多いのが気になる。
釈迦涅槃像もあった。右手で頭を支えて横になっている。しかし目を開けて考え事をしているみたいだ。とても入滅した場面だとは思えない。
一方、こちらは完全に眠りにはいっている・・・ネコたちです。
聞くところによると、カーペー僧院を有名にしたのは、ここで飼われているネコたちらしい。僧侶が持つ輪をジャンプしてくぐるという芸をしたという。しかし、ネコたちに芸を仕込んだ僧侶が亡くなったので、それ以後は芸をしなくなってしまったそうだ。
僧院には今もたくさんのネコがいたが、みんな暑さでぐったりしてネコんでいた。日本で見るネコたちより痩せている。
いろいろ楽しめたインレー湖ボートツアーもいよいよ終わりが近づいてきた。あとはニャウンシュエの船着き場に戻るばかりになった。
時刻は午後2時をまわったところである。朝8時に出発して6時間余りだが、何日分もの観光をしたような気がする。
このまま戻るのがちょっと惜しい。
これからインレー湖に乗り出すボートとすれ違う。サンセットツアーになるのかな。
湖からいよいよ運河に入ると、水上家屋ではない普通の家が見え始める。運河で水浴びしている人の姿もある。
ついにニャウンシュエに到着。インレー湖ボートツアーが終わってしまった。最後に、ボートを上がったところでモーウィン君の記念写真。ちょっとしかめっ面をしているけれど、いい青年だった。
岸に上がって、ツアー代金の18,000チャットを手渡す。さすがにこの時はニッコリ。モーウィン君、ありがとう。
ホテルへの帰り道
船着き場からニャウンシュエの町に出る。町中の赤信号で待機していた大勢の小学生たちが、青信号で渡りだす。
前に男子、後ろに女子、先生が列の前後に付き添っているようだ。服装は、上着が白で下が緑。ロンジーの子もいるし、ズボンやスカートの子供もいる。全員ではないが、顔にタナカをつけている子供もいる。どこの国にいっても、子供はかわいいな。
全員が通り過ぎるまで待つことにする。最後尾の女の子は、信号が変わりそうなので大急ぎだ。
信号を渡って左手に、ニャウンシュエの町の市場がある。
この時間ではもう片付けに入っている店もありそうだが、ちょっとのぞいてみる。色鮮やかな果物や野菜に目がひきつけられる。
空を見上げると、ぽつぽつ雨が落ちてきた。たいして降りそうにはないが、濡れるのはいやなので、急いで市場を出る。
ホテルはすぐそこだ。