大阪市の神社と狛犬 ㉒住吉区 ①住吉大社(その10)~侍者社の狛犬~
大阪市住吉区の地図と神社
大阪市には、現在24の行政区があります。住吉区は、大阪市の最南部に位置し、大和川を隔てた南は堺市になります。この辺りは、古代には「すみのえ」と呼ばれた海に面した地域で、海上安全の守護神として名高い住吉大社とともに栄えてきました。また、大阪と泉州・紀州を結ぶ紀州街道や熊野街道などの交通の要衝でもありました。
住吉区には由緒ある古い神社がいくつもありますが、まずは摂津国一之宮である住吉大社へお参りするところから始めたいと思います。大阪人にとっては「すみよっさん」と親しまれている神社です。今回は住吉大社の10回目(その10)になります。
住吉大社のすぐ前の道路には、阪堺線の「住吉鳥居前駅」があります。また、この道路を挟んで西側に南海本線「住吉大社駅」があり、交通の便に恵まれています。
住吉大社
■所在地 〒558-0045 大阪市住吉区住吉2-9-89
■主祭神 底筒男命、中筒男命、表筒男命、息長足姫命(神功皇后)
住吉大社には10対を超える狛犬が安置されている。本宮のある瑞垣内に唯一祀られている末社が侍者社で、その社殿内に2対の木造狛犬(狛犬10)が安置されている。上の境内図では「第四本宮」と表記されている辺りに神饌館があり、侍者社はその中に鎮座している。
(図では第四本宮の南側に赤色の▲で示したが、実際はもっと第二本宮寄りになる)
侍者社
侍者社は、初代神主田裳見宿禰とその妻市姫命をお祀りする境内末社で、瑞垣内に祀られている。
「侍者」は普通は「じしゃ」と読み、貴人のおそばつきの者を指すが、田裳見宿禰と市姫命は、住吉大神の最も近くの御もとで奉仕したことから、「侍者」を「おもと」と称したのではないだろうか。
神主夫妻は、神と人との仲介役であることから、今では縁結びの神様として信仰されるようになっている。
狛犬10(2対)
■奉献年 不明
■作者 不明
■材質 木造
■設置 侍者社
神饌館の入口の低い扉を開いて中に入ると、すぐ左手に木造の社殿が祀られている。これが侍者社である。
社殿の両側を2対の木造狛犬が守護し、前面は素焼きに着色した小さな人形で覆われている。「侍者人形」と呼ばれる縁結びの人形である。
2対の木造狛犬がいつ頃製作され、奉納されたのかはわからない。おそらく江戸時代後期のものだろう。目には玉眼がはめ込まれている。手前の吽形狛犬は角を紛失しているが、後方の吽形には立派な角がある。どの狛犬も大きな前垂れを掛けているので、前肢やたてがみなどが確認できない。しかしほの暗い室内で、祭神の田裳見宿禰と市姫命を守る4体の狛犬は、仏教の四天王のように感じられた。