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美術館「えき」KYOTO「絵本作家 谷口智則展~いろがうまれるものがたり~」~展覧会#40~

地元大阪にこんな絵本作家がいた!

朝日友の会に入会していると毎月「アサヒメイト」という会報が届く。朝日新聞社が主催や後援をする近隣の展覧会情報が載っている。その中に今回の展覧会も紹介されていた。
最近は2,000円を超える展覧会も珍しくないが、この展覧会は会員証があれば無料! 行かなくっちゃ。

「大阪在住」と書かれている。調べてみると、四條畷市の出身だそうだ。金沢美術工芸大学で日本画を専攻していたが、在学中に見たボローニャ国際絵本原画展に触発され、独学で絵本を作りはじめたそうだ。

ほかの展覧会に出かけたときに、この「谷口智則展」のチラシを手に入れる。動物たちがクジラの背に乗り、サンタがワニに乗っている。みんなどこへ行くのだろうか。それにしても、どの顔もなぜか深刻そう。気になるな。


会場で谷口智則さんと出会う!

8月31日。会期終了まで残り数日という日だった。まだまだ残暑厳しい中、JRで京都駅に到着。美術館「えき」KYOTOは、伊勢丹の7階にある。
会場の前に、サンタが並んでいる。帽子をかぶったアーティストっぽい人がいた。なんと谷口智則さんご本人だった。

会場内の壁には、ご本人が描いたイラストがあり、それが日ごとに増えていく。この日は、会場前で、KBS京都のラジオ番組のインタビューにこたえておられた。


ホッと心が温まる作品

今回の展覧会では、約20タイトルの絵本から、原画を中心にサンタの立体など約250点の作品が展示されていた。絵本ごとに小さなブースが設けられていて、それを順番にたどっていくことになる。


『サルくんとお月さま』

最初は、絵本作家としてのデビュー作品『サルくんとお月さま』。文字のない絵だけの作品だ。

自分のいろを見失ったサルくんは、いつも他の動物たちのことをうらやましがってばかり。
素敵な耳のウサギさん、
力もちのゾウさん、
大空を自由に飛べるトリさん、
水の中をスイスイ泳ぐサカナさん。
だけど自分には何もない。
そんな時、サルくんは森の中で空から落っこちて泣いているお月さまに出会って……

会場内は撮影禁止なので、展覧会のチラシから紹介します。

『サルくんとお月さま』2004年


『100にんのサンタクロース』

あるところに100にんのサンタクロースがすむまちがありました。
サンタさんは100にんみんなできょうりょくしてクリスマスのじゅんびをします。そしてみんなにプレゼントをくばりおわったあとは…?

『100にんのサンタクロース』2013年

クリスマスのプレゼントを配り終えて、自宅に戻ってきたサンタさんたちがリラックスして楽しく過ごすようすがいいね。


『まじょのルマニオさん』

まじょのルマニオさんは、いつもひとり。いっぽんのまほうのつえが、ともだちでした。あるひ、ルマニオさんはきずついたことりをみつけます。いっしょうけんめいにかんびょうするうち、ルマニオさんのこころにはあるへんかがおきていたのでした…ルマニオさんのこころにそだった、あるきもちとは?

『まじょのルマニオさん』2015年

ひとりぼっちだったルマニオさんが、満月の夜、友だちになった鳥たちと空を飛んでいる。魔法の杖はもういらないね。


『ワニのワッフルケーキやさん ワニッフル』

ここは、ワニのワッフルケーキやさん。好きな食べものをはさんで、ワッフルケーキにしてくれる。でも、作り方はぜったい秘密。どうしても知りたくなって、思わずのぞいてみると・・・。

『ワニのワッフルケーキやさん ワニッフル』2016年

その秘密は・・・。やっぱり内緒かな。
ヒントは、ワッフルのボコボコと、仲良しのワニさん夫婦の背中のボコボコが、なぜか一致するのだ!


『カメレオンのかきごおりや』

カメレオンは旅するかき氷屋さん。世界中で集めたシロップをかけたかき氷を食べると、不思議なことが! いろいろな場所でいろいろな色に変わるカメレオン。ぼくって一体何色なんだろう。悩んでいると、そこへ・・・。

谷口智則さんは絵を描くのに、黒い紙と6色のアクリル絵の具しか使わないそうだ。このカメレオンの色彩、いいな。

元気のないサルくんには「たいようかきごおり」、暑さにばて気味のシロクマくんには「うみかぜかきごおり」・・・。
いろんな色のかき氷をつくることができるけれど、「ぼくって一体何色なんだろう」と悩むカメレオン。
そんなあるとき、空に美しい虹が出た。わかった・・・。


『つきをなくしたクマくん』

いつもひとりぼっちのクマくんは、春になる前に冬眠から目を覚ましてびっくり。胸にあったはずの月のもようがありません。月を探しに出たクマくんが森の中で出会ったのは、同じく月をなくした女の子でした。

『つきをなくしたクマくん』2022年

月を探しに出た二人が見つけた、もっと大切なものとは・・・? 気になりますね。


『1・2・3・4・5・6・7・8・9・10』

「いちご 1こ、ちゅー」と、ねずみ。
「にんじん2ほん、ピョンピョン」と、うさぎ。
「みかん3つ、ミャーミャーミャー」と、みけねこ。
その後も、ウシ、ゾウ、シロクマ、サル、ハチ、ペリカンが、果物や野菜、ヨーグルト、はちみつなど、いろんな食べ物を運びます。
全部そろったら、大きなミキサーに入れて、10まで数えます。
はい、おいしいジュースが10ぱいできあがり!

『1・2・3・4・5・6・7・8・9・10』2023年

数え歌ふうの絵本はたくさんあるが、最後は谷口さんらしくなごやかに終わるのがいいね。


絵はがきいっぱい

展示場を出たところに売店がある。ここもまた別の意味での谷口ワールドだ。ふだん書店に行っても絵本コーナーを見ることがないので、谷口智則さんの絵本がこんなに並んでいることに驚いた。
展覧会を見たあとは、いつも気に入った絵はがきを2枚ほど購入する。今回はその2枚を選ぶのに迷った。かわいい絵はがきが多すぎるのだ。やっと選んだうちの1枚がこれ。みんな仲良しだな。

『サルくんとバナナのゆうえんち』


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