大阪市の神社と狛犬 ⑯天王寺区 ⑧東高津宮~幕末の癒やし系狛犬~
大阪市天王寺区の地図と神社
大阪市には、現在24の行政区があります。天王寺区は大阪市の中南部に位置し、区域の大半は南北にのびる上町台地上にあります。区名は、聖徳太子建立の日本最古の官営寺院である四天王寺に由来します。区内には約200の社寺があるほか、名所旧跡も多く、歴史と伝統の息づく町といえます。
天王寺区には、神社が11社あります。そのうちの1社は、生野区にある弥栄神社の御旅所です。
今回は東高津宮に参拝します。かつては、現在の近鉄上本町駅辺りにありましたが、昭和7年(1932)に駅の拡張工事のために移転を余儀なくされ、駅から北へ200mほどの現在の鎮座地に遷座しました。
東高津宮
■所在地 〒543-0021 大阪市天王寺区東高津町4-8
■主祭神 仁徳天皇、磐之媛命(仁徳天皇の后)
■由緒 東高津宮の創建、沿革等は、古文書が散逸したために明確ではないが、古地図に「仁徳天皇大宮跡平野社」と記されているのを見ると、かつては「平野社」あるいは「仁徳天皇社」と称されていたようだ。現在の「東髙津宮」と改められたのは、明治維新後のことである。
大阪市中央区にある「高津宮」は、当社から遷座したとも言われ、当社を「元高津」と呼ぶこともある。
狛犬
■奉献年 嘉永五壬子歳八月建之(1852)
■作者 不明
■材質 花崗岩
■設置 拝殿前
参道の階段をのぼると、拝殿の少し手前で、穏やかな表情をした花崗岩製の狛犬が迎えてくれる。阿吽とも垂れ耳で丸目、阿形の口の開け方は控えめで、吽形の牙を出して閉じる口もこわくない。どっしりとした量感があり、とても好感がもてるいい狛犬だ。
台座には「嘉永五壬子歳八月建之」の銘があるが、石工銘は見当たらない。
たまたま出てこられた宮司さんと少し話ができたが、気軽に応対してくださりうれしかった。以前は「丹波の佐吉」の狛犬がある奈良県の丹生川上神社におられたそうだ。