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大阪市の神社と狛犬 ⑯天王寺区 ⑪産湯稲荷神社~参拝者を迎える狐と狸の像~
大阪市天王寺区の地図と神社
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大阪市には、現在24の行政区があります。天王寺区は大阪市の中南部に位置し、区域の大半は南北にのびる上町台地上にあります。区名は、聖徳太子建立の日本最古の官営寺院である四天王寺に由来します。区内には約200の社寺があるほか、名所旧跡も多く、歴史と伝統の息づく町といえます。
天王寺区には、神社が11社あります。そのうちの1社は、生野区にある弥栄神社の御旅所です。
今回お参りする|産湯《うぶゆ》稲荷神社は、JR環状線・近鉄鶴橋駅から北西に約500m、徒歩7分ほどの地にあります。
産湯稲荷神社
■所在地 〒543-0028 大阪市天王寺区小橋町3-1
■主祭神 宇迦之御魂神、下照比売命、大小橋命
■由緒 創建については明らかではない。この地にはかつて比売許曽神社があったが、織田信長による石山本願寺攻めの戦火により焼失してしまった。その後、比売許曽神社は別の地に遷座し、摂社であった産湯稲荷神社がこの地に再建されたという。
境内には「式内 比賣許曽神社御旅所」と刻まれた石碑が建つ。並んで建つ「桃山跡」の石碑は、この辺りの丘陵にかつては「桃山」と呼ばれる広大な桃の林があり、神社の北にあった「味原池」とともに景勝の地であったことを示している。
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狐像と狸像
■奉献年 不明
■作者 不明
■材質 花崗岩
■設置 鳥居内側
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赤い鳥居を潜ると長細い参道がある。鳥居の後ろ側に、小さな狐像が置かれいる。注意しないと見過ごしてしまいそうだ。
向かって右側の狐像の背後に祠が二つ並んでいる。中に石像が安置されている。
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手前の石像はどうも狸らしい。奥の祠の石像は地蔵像のようだ。赤い前掛けの中がどうなっているのか知りたいが、どうしようもない。狸像は体の下部が同石の基壇になっているように見える。
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神社の境内にお地蔵さんと狸像。日本の神さんのおおらかさが感じられる。このあと、参道の右奥にお不動さんも祀られていた。
産湯稲荷神社のすぐ南側は小橋公園だが、近所の人は「狸山公園」と呼んでいるそうだ。この狸像と何か関係があるのだろうか。
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産湯稲荷神社境内
細長い参道を進むと、左手に苔むした手水鉢がある。
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手を洗い清めて階段を数段上ると、産湯稲荷神社の社殿がある。祭神は、宇迦之御魂神、下照比売命、大小橋命の三柱。
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社殿の向かって左手には、お塚が並んでいた。玉垣の向こう側は小橋公園になる。
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先ほどの階段を下りて左手に、石の鳥居があった。鳥居の奥に見えるのは、祭神の大小橋命が産湯に使ったと伝わる「玉ノ井」である。傍らには「大小橋命産湯玉之井」と刻まれた石碑もあった。この井戸が「産湯稲荷神社」の社名の由来となっている。
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神社の北側の道は「産湯通り」と名づけられている。
境内や隣接する小橋公園には桜の木がたくさんあり、春は特に風情があるそうだ。
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