大阪市の神社と狛犬 ➏北区⑤素盞嗚尊神社~角が取れたほんわか狛犬~(付)八阪神社
大阪市北区の地図と神社
大阪市には、現在24の行政区があります。淀川のすぐ南側には5つの区がありますが、北区はその中央にあり、大阪市役所の所在地です。北区の中心地梅田は、西日本最大の鉄道ターミナルで、JR大阪駅や阪急・阪神の梅田駅ががあります。地勢的には、北は淀川、東は大川、南は土佐堀川と三方を河川に囲まれ、西は福島区に隣接しています。北区には、神社が11社あります。
素盞嗚尊神社は、JR環状線福島駅から北西へ約500mの地に鎮座しています。通称は八坂神社。地元「浦江の八坂さん」として親しまれています。
素盞嗚尊神社
■所在地 〒531-0075 大阪市北区大淀南3-3-25
■主祭神 素盞嗚尊
■由緒 創建年代は不明。かつては牛頭天王社・祇園社と呼ばれる地元浦江の氏神だった。明治になって素盞嗚尊神社と改称する。八坂神社とも呼ばれ、社号標は「素盞嗚尊神社」だが、正面鳥居の神額には「八坂神社」とある。
狛犬1
■奉献年 于時寛政九丁巳年三月吉日(1797)
■石工 不明
■材質 花崗岩
■設置 拝殿前
丈夫な花崗岩製の狛犬だが、もともと彫りが浅いのか、200年余りの風雨・寒暖のせいか、表面の摩耗が激しい。台座の紀年銘も、ほとんど読み取れないほどに薄くなっている。奉献年は寛政9年(1797)。寛政の約12年間に寄進された狛犬は40例ほどあり、増加傾向にある。
阿形の口は幅広いU字型に広げられ、笑っているように見える。吽形の口は同じくU字型に閉じられている。頭はほとんど扁平に近く、吽形の頭上には角がある。
全体に角が取れて、ほんわかした雰囲気である。
狛犬2
■奉献年 慶應三年卯三月建(1867)
■石工 不明
■材質 砂岩
■設置 王仁神社前
応神天皇の時代に百済から渡来したという王仁を祭神とする。かつては「大仁村」と呼ばれる村があったが、それも「王仁」に由来するようだ。
台座に「慶應三年卯三月建」(1867)とある。この年は大政奉還が奏上され、ついに王政復古となる。幕末最後の狛犬だが、文政頃の最盛期の浪速狛犬の伝統を強く感じさせる。阿吽とも垂れ耳で、胴体はややほっそりしている。
狛犬3
■奉献年 大正十四年四月一日 市編入記念(1925)
■石工 不明
■材質 花崗岩
■設置 境内中央付近
拝殿正面に向かう境内の中央付近に、大正14年奉献の花崗岩製狛犬がある。阿形が玉取り、吽形が子取りで、自然石を加工して大きな台座とする。
(付)八阪神社
素盞嗚尊神社から北東に歩いて5分も離れていないところに、同じ素盞嗚尊を祭神とする八阪神社がある。素盞嗚尊神社は別名「八坂」神社で、こちらは「八阪」神社である。区別するためか、「大仁八阪神社」と呼ばれている。
創建は建久年間(1190~1199)とも、室町時代末期とも言われるが、よくわからない。天保6年(1835)造営の社殿は昭和16年(1941)には改築されたが、大阪大空襲で全焼してしまいまった。その後、昭和47年(1972)に現在の簡素な社殿が再建される。社殿前の狛犬は、そのときに奉納されたものである。