こまえのデザイン.視察日記(関西道路研究会・レポート②)
こまえのデザイン. (狛江市未来戦略室)の田代です。
前回のnoteに引き続き、関西道路研究会についてのレポート②です。
(前回記事はこちら↓↓)
会場は大阪府立中之島図書館
今回、関西道路研究会から登壇者としてお招きいただき、未来戦略室1名が大阪へ赴きました。会場である大阪府立中之島図書館に到着すると、まるでヨーロッパの美術館のような重厚な外観にまずは圧倒。
中之島図書館の成り立ちを調べると、なんと明治37年(1904年)の落成とのこと!
引用参照はこちら(外部リンク)
内装もレトロな雰囲気。まるで大正・昭和時代にタイムスリップしたかのよう。階段がぎしぎしと音が鳴るのも歴史の深みを感じさせます。
会場内は意外と現代風な会議室。今回はオンライン&リアルで約50名が参加。自治体職員だけでなく、道路関係の公的機関や建設関係の民間会社の方も多く参加されていたとのこと。
①池田市
トップバッターは池田市。ダイハツ工業本社工場があったり、日清食品の創業者である安藤百福さんがチキンラーメンを開発した地であるという縁から、カップヌードルミュージアムがあることでも有名なまち。
池田市職員・いけだプラットフォームの方から、池田駅周辺におけるウォーカブル社会実験「おさんぽマルシェ in IKEDA」についての説明がありました。
池田市では、池田駅前の将来像を示す「未来ビジョン」を策定し、「ひととまちと自然がゆるやかに繋がり過ごしたくなるいけだ駅前」をめざし、官民連携のまちづくりに取組んでいるとのことです。
②茨木市
続いて、私の第二の故郷の茨木市。茨木市では多くの人が訪れ、滞在し、活動したくなるようなまちなかにするため、市中心部のメインストリートを景観面から魅力的にしていく取組みの一環として、公共空間活用の社会実験「みちクル」を実施。JR茨木駅と阪急茨木市駅との間の中央通りと東西通りをエリアとし、将来像につながる空間のあり方等を検証することが目的とのこと。
今後は最近オープンした茨木市文化・子育て複合施設「おにクル」の集客力も活用しながら、市中心部の活性化に繋げていきたいとのこと。
③門真市
門真市はパナソニックの本社があり、最近ではららぽーとや三井アウトレットパーク、コストコなどの大型ショッピングセンターができるなど、駅前以外の再開発も注目されているまち。
門真市内のメイン駅の一つである京阪線の古川橋駅周辺エリアにおいて、様々な人材によるプラットフォームで令和5年3月に未来ビジョンが策定され、官民が連携したエリアマネジメント活動やまちなかウォーカブル推進事業が進められています。その一環で実施したウォーカブル社会実験「PLAY」の説明がありました。
なお、古川橋駅北口では大阪府内随一のタワーマンション建設と北口再開発整備事業が進行中であり、数年後にはまったく新しいまちに生まれ変っているかもしれません。
④狛江市
そして、狛江市からは令和4年度に実施したほこみち社会実験「KOMAEわくわくストリートプロジェクト」について報告しました。
この社会実験を踏まえて、令和5年3月に狛江駅周辺エリア道路利活用方針を策定し、歩行者利便増進道路制度(ほこみち)の運用開始に向けた狛江駅北口の道路改修等が現在進められています。
質疑応答では、未来戦略室で進めている“ おしチャリナッジプロジェクト ”、“ ほこみちプロジェクト ”、“ 狛江まちみらいラボ ”に関する質問がありました。特におしチャリについては多くの方から関心が寄せられました。大阪は坂が少ないエリアなので、自転車利用者が多く、放置自転車対策やおしチャリ対策がどのエリアでも課題なのだとか。
⑤大阪市
大阪市では、1970年の大阪万博を期に、車道が一方通行化された「御堂筋」を、2050年までに歩行者専用道路化する方針を打ち出し、車中心から人中心のみちへと空間再編を目指しています。そして今後の御堂筋のあり方や公民連携したまちづくりのあり方など、今後目指すべき姿を示した「御堂筋将来ビジョン」が策定されました。
この一環で、御堂筋の一部区間を歩行者利便増進道路(ほこみち)に指定し、さらになんば駅前のロータリーを廃止して歩行者用広場として再整備するなど、道路空間の大規模な変革が行われています。また「御堂筋チャレンジ2023」では、長堀通からなんば駅前までの間の御堂筋側道の歩行者空間化整備により広がった歩道空間などを活用し、2025年大阪・関西万博を目指した、最先端技術の展開(DX・GXの取り組み)、ストリートの滞在空間化、エリア周辺の回遊状況などの検証がなされています。
あとがき
今回、関西道路研究会にお招きいただき、大阪の自治体の公共空間の活用に向けたさまざまな社会実験のあり方について議論することができ、私自身も改めて社会実験を振り返る良い機会となりました。オンラインでの参加という手段もなくはなかったのですが、やはりリアルな会議は熱量の伝わり方がまったく違いました。初めて大阪の自治体職員の皆様と直接お話ができ、皆さんパワフルな熱意と柔軟な考えを持っていることにとても感銘を受けました。官民連携で公共空間のあり方に変化をもたらすことで、まちに新たな価値を創造しようという取組みは全国各地からトレンドとして注目されています。
狛江市でも同様に強い思いを持って進めてきましたが、さらに刺激をもらった気がします。
これから狛江駅前をはじめ、公共空間のあり方が大きく変わろうとしています。ぜひそのあたりも市民の皆さんには楽しみにしていただければと思います。