ニチアサ総括2023
2023年も残り数日。今年も色んなことがあったが、私の中での一大イベントといえば「転職」そして「ニチアサとの出会い」である。高杉真宙目的で観始めた『仮面ライダー鎧武』にどハマりしてから早8ヶ月。まさかここまで色んな作品を観ることになるとは思わなかった。せっかくの機会なので、ここらで履修作品を総括して、自分の頭の中を整理しようと思う。
今回のノミネート作品は鎧武・ドライブ・龍騎・トッキュウジャー・ギーツ・ドンブラザーズ・キバ・エグゼイド・ビルド・555の10作品。視聴途中のキョウリュウジャー・ルパパト・剣・キングオージャー・ガッチャードは除外する。
各作品の印象・一言感想
仮面ライダー鎧武
現時点での最推しライダー作品。強大な力を手に入れてしまった子ども達とどうしようもねぇ大人達が、思想と拳をぶつけ合いながら「理由なき悪意」に立ち向かっていく物語。ギスギスした雰囲気や致命的な欠点を抱えた登場人物達は好き嫌いの分かれるポイントではあるが、丁寧な伏線仕込みと鮮やかな回収・子ども達に向けた誠実なメッセージ・「変身」という言葉へのこだわりなどを感じ取ることもできるため、エンタメ作品・ヒーロー番組としての打点は非常に高いのではないかと思う。全ての要素が”癖”に突き刺さって大変だったし、好きすぎて全話完走直後にすぐ2周目に突入した。高杉真宙のオタク全員の脳に鎧武を流し込みたい。
仮面ライダードライブ
キャストが知った顔ばかりで驚いた作品。まさか野間口さんまで出てくるとは。コメディパートに乗り切れない部分もあったが、偉大な父の意志を継ぐ泊進之介、邪悪な親父の罪を断ち切る詩島剛、人間の悪意に影響を受けた機械生命体ロイミュードの生き様を同時に描く作劇は唯一無二。爽やかでヒロイックで兄貴肌な竹内涼真を堪能することができる。
仮面ライダー龍騎
現時点で2番目に好きなライダー。決して譲れない願いを叶えるために争う仮面ライダー達を描く異色の作品。二人の大人気脚本家(小林靖子と井上敏樹)が交換日記方式で殴り合っている。シナリオ・テーマ・演出・キャラクター…全てが最高で、誰に対しても自信を持って勧められる。重いテーマを丁寧に取り扱っているのに、重すぎるという印象を抱かせない不思議。「個人的な願いを叶えるための戦いに正義などない」という結論が好きすぎる。視聴当時は井上敏樹ビギナーだったため、誰が敏樹の男で誰が靖子の男なのか把握しきれなかったのが心残り。近いうちに2周目を観たい。
烈車戦隊トッキュウジャー
保護者と大友を狙い撃つノスタルジックエモ戦隊。ニチアサ界のBUMP OF CHICKEN。子どもの頃に考えていたこと、悩んでいたこと、楽しかったこと、なくしてしまったもの…色んなことを思い起こされた。「子どもが子どもで居られないこと」の切なさや残酷さは大人にこそ刺さる。切なくも暖かい作劇に情緒を乱される大人が増えることを切に願う。たまにとんでもないトンチキ回混ざってるけど。けん玉探偵ヒカリってなに?
仮面ライダーギーツ
最終回を自分の意志でリアタイした初めてのニチアサ作品。ゴージャスで洗練された主人公・浮世英寿に化かされつつ、スタイリッシュな演出(戦闘描写)とバリエーション豊かな「ゲーム」を楽しむ令和のライアーゲーム的な作品なのかな…と思いきや、「願い続ければきっと叶う」というヒーロー番組らしいテーマに着地した。リアリティショーや推し活など近年の流行り要素をふんだんに盛り込んだ作劇はもちろん、様々な分野から集結させた豪華なキャスト陣からも「新しい風を吹かせたい」という気概が伝わってきた。「忍成修吾がライダーに変身した」という事実を噛み締めて今後の連ドラ視聴に挑みたい。
暴太郎戦隊ドンブラザーズ
現時点での最推し戦隊。トンチキの皮を被った人間讃歌。破茶滅茶に暴れ野郎なのにカッコよくて、でもやっぱりダメなところも沢山あるドンブラザーズが大好き。実は今作の視聴当時は転職活動真っ只中。「チガイはマチガイじゃない」「どこかの誰かのものさしじゃ計り知れない自分らしさいっちょ咲かせようぜ」というED歌詞の通り、最初から最後まで個性を貫き暴れ倒すドンブラザーズに勝手に勇気をもらっていた。イロモノだと思われがちだし否定しきれないけど、実はめちゃくちゃしっかりしたヒーロー観を掲げている作品でもあるというギャップも良い。純正の井上敏樹作品の中だととっつきやすい方だと思う。
仮面ライダーキバ
なんだかんだで愛着のある独自路線突っ走りライダー。「この世嫌い」の紅渡が主役の現代パートと、色んな意味でバイタリティ溢れる紅音也が主役の過去パートを並列して描く構造が少し複雑。ストーリーを理解するためには一気見するのが良さそうだが、一度にたくさん観すぎると「井上敏樹」の過剰摂取で胃もたれするという難儀な作品。歌劇さながらの愛憎劇と「運命の悪戯」を楽しむことができる。井上敏樹作品の中でも特に人を選ぶが、私は大好き。「芸術的」な最終回と全てにおいて「優勝」している音楽周りも一押しポイント。
仮面ライダーエグゼイド
現時点で3番目に好きなライダー作品。1つしかない命を繋ぐために大勢の人間が切磋琢磨する「医療」と命を喪ってもコンティニュー可能な「ゲーム」を通して、命の大切さと「協力」の重要さを描く。散らばりまくったピースが全て「あるべき場所」へと収まっていく緻密なパズルのような秀作。作品内の倫理観や道徳意識は私自身の理想と合致する部分も多く、信頼できる作品だと感じさせられた。また、本編・映画・Vシネを完走した後に読んだ小説版でようやく「宝生永夢」を掴んだ時の達成感は、大作ゲームをやり切った後によく似ていた。「めちゃくちゃ面白くてキャッチーな医療ドラマ」と「観る大作ゲーム」両方の性質を併せ持つ作品。
仮面ライダービルド
同脚本家の近年の作品との相性が悪かったため警戒しながら踏み込んだが、結果的には思ったより楽しめた作品。パンドラボックスとエボルトがなんでもありすぎるのは正直好みじゃなかったが、コメディパートの圧倒的な面白さやメイン4人の男子校っぽいやり取りの心地よさはさすが平成イケメンお祭りドラマを引っ張ってきた武藤将吾という感じ。終盤の展開は賛否が分かれそうだが、色んな意味で伝説的な最終回は一見の価値あり。
仮面ライダー555
「怪人」にスポットを当てた意欲作。視聴者に黙って色々背負ってた乾巧、シンプルに性格が悪い草加雅人、あくまでも「子ども」なヒロイン園田真理、ヒーローにも怪物にもなり切れない木場勇治、胸元のガードが甘すぎる北崎さん、どこまでも情けない琢磨くん、生首になる社長…人間もオルフェノクも愛おしい奴らばかりで「人間と怪物、どこに違いがあるのだろうか」と何度も思わされたニチアサ界のノートルダムの鐘。ドライな空気感の中で壮絶な展開を繰り広げつつも、「ヒーロー番組」として成立していた不思議。これも全て乾巧って奴のおかげなんだ。「ニチアサでこの表現やっていいの!?」って30回くらい言った気がする。
特に印象に残ったキャラクター
呉島光実(仮面ライダー鎧武/高杉真宙)
鎧武において「始まりの男」といえば某神様を指すが、私にとっての始まりの男はこの子。ミッチが高杉真宙じゃなかったらそもそもこんなことにはなってない。全てが癖(ヘキ)で困ってしまう。冷静になって振り返ると本当にめんどくさい子どもだが、そこがめちゃくちゃ魅力的。ミッチが闇深言動をするたびにペンライトを振って応援していた。目にハイライトがない系高杉真宙の原液。
詩島剛(仮面ライダードライブ/稲葉友)
大胆不敵な雰囲気と爽やかなビジュと軽やかな態度で素顔を隠す仮面ライダードライブの加湿器。「道化を演じてるやつが実は一番重い」という女性向けコンテンツあるあるを忠実に守る男。苦しむ詩島剛はかわいいが、父親の呪縛を祓って吹っ切れた詩島剛はもっとかわいい。喪ってからようやくチェイスへの素直な感情を口にすることができた幼さも推しポイント。
北岡秀一(仮面ライダー龍騎/涼平)
大人気ない悪徳弁護士で、初めて浴びた「井上敏樹の男」。「ビジュが竹野内豊に似てる〜」と思いながら目で追っているうちに、いつの間にかどっぷりハマっていた。「不治の病に罹った男が永遠の命を得るために戦う」というストーリーからしてもう推せるのだが、「どこまで行っても自分が一番可愛いですよ〜」というポーズをとっておきながら他者を見捨てきれない甘さも備えているのが沼。でも爆撃ロボで歳下のライダー達を全員まとめて吹っ飛ばしたりもする。おもしれー男。
浮世英寿(仮面ライダーギーツ/簡秀吉)
とにかくズルい男。ゴージャスで洗練されたイケメンに化かされるのが楽しい序盤、「母親に会うために輪廻転生を繰り返してきた子ども」の顔をしてこちらの情緒を揺さぶってくる中盤、みんなの願いを受け止める全知全能の「神様」になってしまった終盤、神様としてあり続けながらも人間らしい一面を見せつけてくる本編後時空…時期によって全く違う旨味がある。浮世英寿に振り回されるのは楽しい。
吾妻道長(仮面ライダーギーツ/杢代和人)
「クソッタレな世界も強大な力も全て自分1人で背負ってやる」という気概を持った青年。「何も言わずに単独行動する」「人の話を聞かない」を拗らせた結果、地雷ファッションの未来人に目をつけられ魔王にまでなってしまった男。ただ本質的には世話焼きで高潔な良い子なので、本編後時空では無限に可愛さを盛られ続けている。Vシネで散らないか心配。
桃井タロウ(暴太郎戦隊ドンブラザーズ/樋口幸平)
やたら縁を結んでこようとする神輿に乗った妖怪…だったはずが、最終回を迎える頃にはすっかり桃井タロウに忠誠を誓っていた。1人でなんでもできちゃうような強い男が他者との繋がりを切望し、お供達との時間に「幸せ」を感じ始めるまでの流れが大好き。拒まれて傷ついても、どうしようもない失敗を繰り返す様を間近で見続けたとしても、決して「人間」を諦めない彼の姿はまさにヒーロー。ドンブラザーズが一部のオタクから「人間讃歌」と呼ばれる理由は桃井タロウにこそあると思う。
鬼頭はるか(暴太郎戦隊ドンブラザーズ/志田こはく)
ドンブラザーズの紅一点で今作のヒロイン。職業/高校生 兼 漫画家。底なしの明るさとメンタルの強さと予測不可能な言動で視聴者を魅了する一番星の生まれ変わり。漫画に対する情熱は岸辺露伴ばりでヒーローとしての意識も高い。最終回で彼女が発した「前より人間を好きになった」という台詞は私自身がドンブラザーズという作品自体に抱く印象と合致しており、「やっぱりはるか先生はもう1人の主人公なんだな」と思わされた。
登太牙(仮面ライダーキバ/山本匠馬)
とにかく感情と台詞が重く、情緒を崩しがちなファンガイアの王様。紅渡の兄でもある。父譲りの高圧的な空気感を纏って渡と深央(クイーン)を囲おうとするモラ気質男だが、その本質は愛に飢えた子ども。愛されたいから愛を囁くし、一度愛すると決めた相手にはとことん一途。言葉選びがストレートすぎて渡を演じた瀬戸康史にまで「重い」と言われる始末。そんなお兄ちゃんの素直さと重さがたまらなく愛しい。
九条貴利矢(仮面ライダーエグゼイド/小野塚勇人)
残酷な真実から他者を守るために嘘をつき続ける光のオオカミ青年。自責の念を拗らせまくった結果、嘘と軽薄な態度で自分を覆う羽目になった善良な男なんて好きに決まってる。察しが良すぎたため早々に退場させられたり、本人の意思に反してバグスターとして復活させられたりと「脚本という名の運命に翻弄されている」感が強いところも不憫で推せる。自己犠牲に走る際は律儀にそのことを匂わせるので、永夢と視聴者にいつも察されてしまうのがかわいい。自分を殺した相手である檀黎斗の存在を最後まで否定せず「才能の使い方を間違えた」と言い切った懐の深さが大好き。
鏡飛彩(仮面ライダーエグゼイド/瀬戸利樹)
世界で一番のドクターを目指す天才外科医。医者としての意識の高さと不器用な優しさで、私の中の「舎弟になりたい欲」をバッチバチに刺激してきた先輩。後半のおいたわしさは歴代最高レベルで、こっちも割と深めのダメージを負った。未来だけを見てストイックに走る先輩の姿は最高にかっこいいけど、たまには休んだって良いんだよ。ちょっと早退してコメダのクソデカシロノワール食べに行きましょう先輩。
万丈龍我(仮面ライダービルド/赤楚衛二)
単純な性格で語彙力の足りない筋肉バカでありながらも、メンブレしがちな戦兎の心にクリティカルヒットする言葉を放ちまくったビルドのヒロイン。1人で突っ走って敵の術中にハマるという囚われの姫のような言動を繰り返していたが、なんだか全く憎めない可愛い男。謎のオーラを纏いながらステゴロで戦う「万丈が如く」スタイルが好きすぎて、ライダーに変身した時は少し寂しかった。
乾巧(仮面ライダー555/半田健人)
秘密と涙を隠しながら人類のために戦う男。彼の真実を知った時は「水臭いな!!言ってよ!!」と菊池啓太郎になってしまった。でも仲間にも視聴者にも大切なことを教えず、1人で走って行ってしまう「つれなさ」がたっくんの魅力でもある。ぶっきらぼうな態度に反してピュアで誠実。人に傷つけられることよりも、人を傷つけてしまうことを恐れる優しいヒーロー。ビジュアルが完成されすぎていて全く18歳に見えない。終盤で突然18歳の顔を見せられた時は衝撃のあまり爆散してしまった。決して振り向いてくれない乾巧を追いかけたい。
特に印象に残った曲
・乱舞Escalation(仮面ライダー鎧武)
仮面ライダー鎧武の全てを語っている曲。「鎧武ってどんな作品?」って聞かれたら、とりあえずこれ聴かせとけば間違いない。
・Revolution(仮面ライダー龍騎)
挿入歌の1つ。とにかくメロディが良くて流れてくるだけでブチ上がるが、よく聴くと歌詞もめちゃくちゃ仮面ライダー龍騎でしんど良い。
・Lonely Soldier(仮面ライダー龍騎)
秋山蓮のキャラソン。本編で急に流れてきてびっくりした。歌詞がやたら重い。
・俺こそオンリーワン(暴太郎戦隊ドンブラザーズ)
よく考えると「そりゃそうだろ」ってタイトルでいい。「破茶滅茶に暴れ野郎」を世界一オシャレに歌える男、森崎ウィン。
・Don't Boo!ドンブラザーズ(暴太郎戦隊ドンブラザーズ)
どんなに破茶滅茶な話でも最後にこれを流せばなんか良い感じにまとまる最強のED曲。転職活動中のズタボロメンタルに沁みる歌詞に何度も救われた。私の人生のエンドロールでも流して欲しい。
・アバターパーティー!ドンブラザーズ(暴太郎戦隊ドンブラザーズ)
まさかのメンバー紹介ソング。新生ドンブラはアイドルだった…??めちゃくちゃ良い声で「完全無欠のファッションリーダー」と歌い上げるソノイが好きすぎる。
・Supernova(仮面ライダーキバ)
戦闘の山場で使われる名物挿入歌。これが流れると反射的にテンションが上がる。未熟だった渡の成長物語・時を超えて築かれた親子の絆とリンクする歌詞を、疾走感のあるメロディに乗せて歌い上げる瀬戸康史が最高。つまり優勝。
・Roots of the King(仮面ライダーキバ)
仮面ライダーサガのテーマ。ファンガイアのキングの矜持を綴った歌詞と重厚なアレンジがまさに登太牙。サガと性(サガ)をかけたフレーズもオサレ。兄弟歌唱verも存在するが、あまりに良すぎてぶっ倒れてしまった。やはり優勝。
・This Love never ends(仮面ライダーキバ)
紅音也のキャラソン。「音也ってこういう男だよな…」と思わされる歌詞が秀逸。武田航平のちょっとカッコつけた感じの歌い方も音也らしくて素晴らしい。要所要所で印象的な旋律を奏でるバイオリンも最高。要するに優勝。
特に印象に残った関係性
呉島貴虎・呉島光実(仮面ライダー鎧武)
ミッチ論文で散々語ったので割愛するが、とにかく良質なバッドコミュニケーションが最高な兄弟であることだけはお伝えしておきたい。兄の心、弟知らず。
桃井タロウ・鬼頭はるか(暴太郎戦隊ドンブラザーズ)
恋愛感情の絡まないW主人公コンビ。タロウがはるかからクッキーをもらって大喜びしたり、はるかがタロウに飛びついたりと距離自体は割と近いが、兄妹っぽい空気感を纏っているから意味深な感じにならない。それでいて、椎名ナオキ(別の世界線のはるか)にとっての「初恋ヒーロー」は桃井タロウだった…ということが『新初恋ヒーロー』を通して示唆されるのが粋。本編の2人はそうはならないけど、可能性として全くない訳では無いという絶妙な塩梅。
雉野つよし・犬塚翼・倉持夏美・鶴の獣人(暴太郎戦隊ドンブラザーズ)
所謂なつみほ問題。かなりリアルな空気感で「恋愛」が描かれていてめちゃくちゃ面白かった。特に印象的だったのは、犬塚が雉野家でつぶやいた「などと申しており」、雉野との生活を通して学んだ人間の性質をタロウに語る鶴の獣人、犬塚を警察に売る雉野、犬塚に別れを告げる夏美。恋愛と友情と異種族理解と。色んな要素が詰まったなつみほ問題はドンブラの重要な柱の1つだった。
名護啓介・麻生恵(仮面ライダーキバ)
恋愛フラグが立たない微険悪・美男女コンビ良いよね〜〜と思ってたら、ラスト2,3話で一気にフラグ撒いて回収して結婚までしてて爆笑した。敏樹は男女カプ成立タイムアタックでもやってたの?ケンカップル漫才自体は割とずっとやってたからこそできた芸当だと思う。
宝生永夢・鏡飛彩(仮面ライダーエグゼイド)
人懐っこいようで実はガードが硬い後輩と、自分の世界を確立してる先輩1年生。男男のクソデカ感情が盛られがちなライダー界隈において、ビジネスライクな距離感を保っていた2人は逆に新鮮で心地よかった。だからこそ、小説版の「お前にどんな事情があろうが、俺とお前は俺とお前だ」で爆散してしまった。そういうの本人に直接言わないのがカッケェんだよな飛彩先輩…。
花家大我・西馬ニコ(仮面ライダーエグゼイド)
エグゼイドが誇る距離感バグコンビ。年頃の女の子のベッドでゴロゴロするな。あれだけ距離感近くて、告白まがいのエピソードまであるのに、最終的には「主治医と患者」の関係性で落ち着いちゃったのもつれなくて好き。大我はニコちゃんの結婚式でもらったバウムーヘンをなんとも言えない顔で食べて欲しい。多分ちょっとだけ寂しそうに、でも満足したような顔で笑うんだよあの男。そういうとこだぞ。
草加雅人・園田真理(仮面ライダー555)
16歳の少女に「母親」を求める男と、あくまでも子どもであり続ける少女。この二人の良さは決して交わらないこと。真理は草加の陰湿な言動を見逃し続けるが、「俺はずっと君を見てきた。君にも俺を見てほしい。」という草加の願いも決して叶わない。「俺のことを好きにならない人間は邪魔なんだよ」と言い放った草加が、いつまでも自分を見てくれない真理のために戦って命を散らした事実があまりにも美しい。
特に印象に残ったエピソード
バロン 究極の変身!(仮面ライダー鎧武43話)
伝説の「羽」回。ヨモツヘグリロックシードと共に破滅へと向かうミッチの攻撃をわざと受け、静かになったミッチに言葉を届けようとする紘汰の「光」っぷりに泣いた。紘太はとっくにミッチのこと赦してるのに、ミッチは「舞さんを救えたら、こんな自分でも紘汰さんに赦される価値のある人間になれる」と思い込んでしまっているのが切ない。そしてタイトルの通り、ついに人間をやめてしまう駆紋戒斗。「悪い子どもこそ本当に悪い大人の格好の餌食になる」「私のドライバーに頼らずに人間を越えるなど許さん」と吠える戦極凌馬が戦極凌馬すぎるし、それを「つまらん」と一蹴する戒斗が最高にかっこいい。
運命の勝者(仮面ライダー鎧武46話)
インベスゲーム→オレンジとバナナ→極とロードバロン…と本編の歴史を振り返るかのようにフォームを変えながら戦う葛葉紘汰と駆紋戒斗の最終決戦はまさに鎧武の大トロ。涙を流す紘汰を見て「お前は本当に強い」と言葉を遺す戒斗の最期が美しすぎる。そして人間を辞めて強くなりすぎたが故に、厄介ごと全てを引き受けて故郷を離れる道を選んだ紘汰の覚悟にも泣いてしまう。ここで因縁の対決に決着をつけ、最終回で紘汰が去った後の世界とミッチの再起を描く構成も含めて大好き。
彼らはなぜ戦わなければならなかったのか(仮面ライダードライブ46話)
邪悪な父親と彼が生み出した存在であるロイミュードを受け入れられない詩島剛と、人間を守りたいロイミュード・チェイスの関係性のゴール。チェイスが自分を守るためにロイミュードの姿を再び晒し命を落としたことで、ようやく素直な気持ち(チェイスは友達である)を口にすることができた剛が、その勢いのままチェイスの武器で父親との決着をつける…という王道ながらも切ない展開が良い。チェイスの意志を代弁したかのようなシンゴウアックスの「イッテイーヨ」とそれに対する「いっていーってさ」も印象的だった。稲葉友の演技が上手すぎる。
ガラスの幸福(仮面ライダー龍騎44話)
「ライダーバトルが終わる前に夢を叶えてしまったらどうなるのか」を描いたエピソード。「裕福な暮らし」のためにライダーバトルに参戦した佐野。その願いはライダーバトルでの勝利ではなく、企業の社長であった父親の訃報によって叶えられる。バトルから離脱しようとする佐野だったが、カードデッキはクーリングオフの対象外であった。「一度戦いに身を投じてしまったら逃げたくても逃げられない」過酷なルールと「大切な相手を自らの手で葬ることで悲しみを背負い英雄となる」東條悟理論のマリアージュが美しい。詐欺まがいの契約先延ばしを堂々とやってのける北岡秀一が最高に悪徳弁護士で、北岡推しとしても大好きなエピソード。
キケンなあいのり(暴太郎戦隊ドンブラザーズ40話)
犬塚翼誕や「脈がない!死んでます!やったー!」とも迷ったが、ドンブラらしい破茶滅茶回を選ばずにはいられなかった。「鬼頭はるかと教官の危険極まりないドライブ(自動車教習)」と「犬塚翼とソノニの危険な逃避行」を並列で描く脚本を一言で示すタイトルが秀逸。全く違う空気感を纏った2つのエピソードが「ムラサメを轢く鬼頭はるか」で繋がった瞬間のカタルシスは今でもはっきりと覚えている。努力!!!!!未来!!!!!a beatiful star!!!!!!
えんができたな(暴太郎戦隊ドンブラザーズ最終話)
49話で「ドンブラザーズでの日々こそが彼が知りたがっていた”幸せ”そのものだった」と明かされたタロウが、それを忘れてしまうという衝撃の最終回。記憶を失い始めたタロウがお供達の元を訪れ「ドンブラザーズに入ったことをどう思うか」と聞いて回る開幕からもうエモい。誰よりも暴れていた雉野の口から飛び出した「ドンブラザーズは僕の誇りです」で堪え切れずに泣いてしまった。鬼頭はるかが「漫画」という形でドンブラザーズの記憶を未来に遺したのも、少し声の高い宅配人の「縁ができたな」で締めるラストも最高に粋で大好き。
フィナーレ・キバを継ぐ者(仮面ライダーキバ最終話)
やりたいことやったもんがち最終回。どう考えても違法だろってレベルの圧縮技術と謎の勢いで、これまでの「全て」をまとめ上げていて大爆笑してしまった。武田航平を最終回に出すための孫世代登場、それに付随して生えてきた謎概念ネオファンガイア、爆速で結婚する名護夫妻が大好き。井上敏樹のアクロバットなストーリー運びに振り落とされかける感覚を味わいたい人は仮面ライダーキバを全話観ろ。謎の爽快感と達成感がそこにある。
涙のperiod(仮面ライダーエグゼイド38話)
「恋人の復活」を人質に取られ檀正宗の操り人形状態になっていた鏡飛彩が、医者として返り咲く回。「ちゃんと愛してやれなかった恋人にもう一度会って償う」と「彼女の遺言通り世界一のドクターとして患者の命を救う」どちらを捨てても後悔するような状況で、医者として生きる道を選んだ飛彩先輩の覚悟に泣いた。「世界で一番のドクターになること」は本当に彼自身の望みだったのか、最愛の恋人の遺言を無視する選択肢なんてそもそも最初からなかったんじゃないか、自分の選択を後悔して眠れなくなる夜が来るんじゃないか…つい色んなことを考えてしまうが、世界一のドクターを名乗った時の先輩は最高にかっこよかった。
夢の守り人(仮面ライダー555 8話)
夢を持たない乾巧と木場勇治が、他人の夢を守るために戦う名エピソード。立場の違う(と当時は思っていた)2人が共通して持っているのが「他人の夢を尊ぶ精神」だと示す話運びが最高に好み。夢を追いかける最中にある真理の「夢を持つと時々すごく切なくなるが、時々すごくアツくなる」と、他者の悪意によって夢破れた海堂の「夢ってのは呪いと同じなんだよ。呪いを解くには夢を叶えなければならない。」もそれぞれの立場と考え方を象徴する名台詞である。
印象的だった武器・アイテム
・火縄大橙DJ銃(仮面ライダー鎧武)
声に出して読みたい日本語。武将なのにDJという謎のセンスで絶大なインパクトを残した。
・ソニックアロー(仮面ライダー鎧武)
便利弓。みんな使ってたから「鎧武といえばソニックアロー」のイメージがある。
・ヨモツヘグリアームズ(仮面ライダー鎧武)
未成年に使わすな。黄泉竈食ひ(死者の国の食べ物を食べたら現世に戻れなくなるってやつ)から名前取ってるのエグい。
・シンゴウアックス(仮面ライダードライブ)
「イッテイーヨ!」のアレ。いっていいってさ。
・チェイスの免許証(仮面ライダードライブ)
詩島剛に預けられた遺品。当時の映画の入場者特典にもなったらしい。正気の沙汰じゃない。
・ドラグレッダー(仮面ライダー龍騎)
なんだかんだで城戸くんのことをおやつにしなかったかしこいドラゴン。かわいい。
・神崎結衣の絵(仮面ライダー龍騎)
全てはここから始まった。神崎士郎がタイムベントしてでも修復した大切な思い出でもある。
・定期券(烈車戦隊トッキュウジャー)
幼少期にみんなで作った紙の定期券がレインボーラインの乗車パスになるという、幼馴染戦隊でしか許されない所業に息を呑んだ。
・ゾンビバックル(仮面ライダーギーツ)
ミッチーの相棒。Vシネでも添い遂げて欲しい。
・めちゃデカフラスコ(仮面ライダーギーツ)
五十鈴大智の装備品。普通のカバンから出てきた時のインパクトよ。
・新初恋ヒーロー(暴太郎戦隊ドンブラザーズ)
椎名ナオキが"ハッピーエンド"に辿り着くために残した作品。これがなかったらドンブラは終われなかった。最終回の最後のコマを別の世界線の自分(鬼頭はるか)に書かせる流れ大好き。
・ムラサメ(暴太郎戦隊ドンブラザーズ)
アイテムというかメンバーというか。母親の人格からの独り立ちというテーマがあって良かった。なぜか初恋ヒーローで封印されてしまう妖刀かわいいね。
・キバットバットⅢ世・タツロット(仮面ライダーキバ)
みんな大好きキバットさんとたっちゃん。自我のある変身アイテムという発想が斬新だった。キバは多種族共存の話でもあったけど、思えば渡は1話からずっとキバットバット族と友達だったんだなぁ。
・マイティーブラザーズXXガシャット(仮面ライダーエグゼイド)
エグゼイドが2人に分裂するとんでもアイテム。宝生永夢の二重人格の秘密(パラドとの関係性)とも関連付いててインパクトがあった。
・ドクターマイティーXXガシャット(仮面ライダーエグゼイド)
九条貴利矢と檀黎斗の因縁がたっぷり染み込んだガシャット。
・クローズドラゴン(仮面ライダービルド)
戦兎が万丈のために作ったロボドラゴン。「万丈の道標になるように作った」みたいなことを言われた時は、思わず天を仰いだ。
・園田真理の写真(仮面ライダー555)
草加と澤田の所有物。幼馴染の幼少期の写真を持ち歩く男が流星塾内に二人もいるというクソやば事実。人知れず灰になった草加の最期をたっくんに教えてくれた功労者でもある。
印象的な決め台詞・口癖・名台詞
・ここからは俺のステージだ!(仮面ライダー鎧武)
葛葉紘汰の決め台詞。ダンス要素にかかってて好き。「ここは俺たちのステージだ」などの活用形も印象的だった。
・変身だよ貴虎!今の自分が許せないなら、新しい自分に変わればいい(仮面ライダー鎧武)
味方側含め殆ど全てのキャラクターの中に致命的な欠点を描いていた鎧武と、変化し続ける葛葉紘汰を象徴する台詞。貴虎への台詞ではあるが、視聴者に向けた真っ直ぐなメッセージでもある。
・追跡!撲滅!いずれもマッハ!(仮面ライダードライブ)
詩島剛の決め台詞。割と物騒なこと言ってて好き。
・英雄ってのはさぁ、なろうとした瞬間に失格なのよ(仮面ライダー龍騎)
北岡秀一の名台詞。悪徳弁護士のヒーロー観と大人気なさが垣間見えてキュンとする。
・私は強い…私は強い…私は強い!!(烈車戦隊トッキュウジャー)
カグラが自分を奮い立たせるためによく使う台詞。「俺は不死身の杉元だ!」みたいなもん。
・ここからがハイライトだ(仮面ライダーギーツ)
浮世英寿の決め台詞。「ハイライト」ってワードチョイスがあまりにも令和。そして使い勝手が良すぎる。
・縁ができたな!(暴太郎戦隊ドンブラザーズ)
桃井タロウの口癖。妖怪縁結びの代名詞…だったが、最終回ではめちゃくちゃ泣かせてきた。1話の声色再現はずるいよ樋口幸平。
・その命、神に返しなさい!(仮面ライダーキバ)
名護啓介の決め台詞。悪役のやつなのよ。
・あなたの夜が来る(仮面ライダーキバ)
ファンガイアのクイーンが裏切り者を処刑する際に使う決め台詞。「死」を「夜」に置き換えた言い回しがオサレすぎる。
・ノセられちゃった?(仮面ライダーエグゼイド)
九条貴利矢の口癖。バイクにかかってて上手い。私の情緒を何度も狂わせた台詞でもある。
・「Are you ready?」「できてるよ」(仮面ライダービルド)
猿渡一海の名台詞。ついブチャラティの顔が思い浮かんでしまうが、爆裂かっこいい。
・おい知ってるか。夢を持つとな、時々すっごく切なくなるが、時々すっごく熱くなる、らしいぜ(仮面ライダー555)
乾巧の名台詞。真理の台詞を素直に引用してるのが2人の関係性を表してて大好き。
他にも書きたいテーマはあったが、2024年がすぐ後ろまで迫ってきているため、今回はここまでとさせていただく。2024年も引き続き気になるニチアサ作品を視聴していく予定である。なお絶賛視聴中の『快盗戦隊ルパンレンジャーVS 警察戦隊パトレンジャー』では朝加圭一郎が日常生活にまで侵食してきており、大変危険な状態だ。社会的信用を失わない程度に気をつけつつ、視聴を継続していきたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?