＃１１　『もりおか』のはなし【後編】　１９８７年１月１７日（土）

【R-18指定：18歳未満の方はご遠慮下さい】

※以下の文章には、暴力や性的表現等、未成年には有害な情報が含まれる場合があります。

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１６０円と５１０円という、行き倒れになったらきっとニュースになるであろうという所持金しか持たない、もりちんコンビ…

ひょんなことから美女とのアダルトな一時間という幸運に恵まれようとした矢先、そこに立ちはだかる松重豊に似たその筋の人…

さて、ふたりの運命やいかに？！

まずは松重豊似と酔っ払いもりおかの会話から…

松重豊似『兄ちゃんら、すまんなぁ～。なんかうちの子ぉらと直接、話したみたいやなぁ～。それされるとなぁ～、ちょ～っと、うちらも困るんや。実はなぁ、うちは一時間、二万、ホテル代はお客さん持ち、ちゅうことでやっとるんでなぁ～。一人、一万じゃぁ、ちょ～っと、なぁ～。すまんけど、出直して来てくれるか？』

あらん限りの優しい声で優しくない条件を持ち出す松重豊似…

もりおか『あかんでぇ～っ！！おっちゃんっ！俺ら、８人の代表できてるんやっ！女の子とも約束したしぃ～♪いまさら、後には引かれへんでぇ～っ！！』

相手にとっては意味不明の理論と大きな声で、その筋の方に挑みかかる怖いもの知らずと化した、酔っ払いもりおか…

我が子の活躍を暖かい目で見守る慈父のような気持ちで、一歩、後ろに下がるこまちん…

松重豊似『しかしなぁ～、そない言われてもなぁ～』

酔っ払いのサラリーマンにはかなわんなぁ…
と、思ったのか思わないのか…
苦笑い状態の松重豊似…

もりおか『もぉ～えぇ！ここで脱いだるっ！！』

突如脈絡も無く、ベルトを外しだすもりおか…
今、『脱いだる』やったよなぁ『抜いたる』と、ちゃうよなぁ…
酔いも覚め、場違いな物思いに耽り恐怖を紛らすこまちん…
さらに一歩、後ろに下がる…

松重豊似『あ～、わかった、わかった…。ほんならこうしよ。ひとり３０分で一万や！なぁ～、これやったら文句ないやろぉ～！！』

これ以上の条件はないだろう…と、ドヤ顔に笑顔を滲ませる松重豊似…
その顔に怯えながらも『そやな、どーせ早いしな、すぐ終わるしな…』と、心で納得するこまちん…

間髪を入れず…もりおか『わかった！そのかわり女の子選ばしてやぁ～！』

そうや！ナイスもりおか！そこ一番、大事！！
息子の成長を心から喜び、胸の内で高らかな喝采をあげるこまちん…

さらに間髪を入れず…松重豊似『そら、あかんっ！女の子にも順番があるんや！！あと、チェンジも無しやっ！』

いい加減にしろ！と、いう感じの怒気を含んだ声で本職の凄みをきかせつつ、もりおかの要求を跳ね返す松重豊似…

三たび、一歩下がるこまちん…

松重豊似『まっ！そのかわりやなぁ～、ひとりはメッチャ別嬪や！もう、ひとりは、顔はちょっと落ちるけどな、そんかしテクニックは抜群やから…』

急に裏返る優しい声、まさにその筋のひとの高等テクニック…
いわゆる、アメとムチ…

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随分、会話部分が長くなってしまいました。
さて、商談も円満に成立し、松重豊似の前でじゃんけん大会決勝戦を行ったもりちんコンビ…
何故かいつもパーしか出さないもりおかにさりげなくチョキを出すこまちん。
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松重豊似『おーっ、にいちゃんどっちする？』

こまちん『テクニックの…無い方…』

少しテンションの下がるもりおか…

松重豊似『よっしゃぁ～！マリとユウコ～、出ておいで～』

扉を開けて呼び出す松重豊似。

『ハァ～イ！！』

元気に出てくる松重豊似の説明通りの女の子ふたり。

更に凹む、もりおか…

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以降３０分の実況は、諸事情を考慮し、割愛させていただきます。

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さて、この話は１９８７年１月１７日のことと明記しています。
この日は、日本で初めてAIDSでの死亡者が出た日と記憶しています。
多少のズレはあるかも知れませんが…
朝からニュースで非常に喧しく報じられており、
この頃、一般でも良く話題になったものです。
今から思えばＡＩＤＳに対する正しい知識も乏しく、信じられない話が、まことしやかにささやかれていました。
『感染したら体中にカポジ肉腫が発生して血を吹きだして死ぬ』とか…
『ホモセクシャル＝エイズ感染』とか…
『アジア系外国人＋性交＝エイズ感染』とか…
得体のしれない未知の病に誤った情報だけが先行している。
そんな時期でした。
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ちょうど３０分後、ほぼ同時に部屋を飛び出すもりちんコンビ。

争うようにふたりが向かった先は、ふたつしかない共同シャワールーム。

お互い考えることは同じ…

『局部の熱消毒！』

ほとんど同時にシャワールームに飛び込むもりちんコンビ…

そして、もりおかの入ったシャワールームから轟き渡る大絶叫…

『ウギャアァァァァァ～！！』

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もりおか、あわてていてシャワーの温度調節のカランを最大にしたらしいのね…
結果、もりおかの局部に大量の熱湯が…
もりおか股間に火傷を負いました。
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翌週、もりおかは、極度のがに股で出社してきました。

『どうなった？』

との周囲の笑いをこらえた憐れみの顔に…

『薬塗って包帯してます…』

との答え。

あの部分にどんな風に包帯巻いてるんだろう？

と、周囲の興味は尽きませんでしたが、社内で『ちょっと見せろ』と言う訳にもゆかず、その詳細を確認したものはいませんでした。

ただ暫くの間、もりおかが辛そうにがに股で、かにのように歩く様は、女性社員を中心に全社的な笑いを振り撒く原動力となったことは確かです。

とにかく、僕らは喋りまくりましたから…

愛すべきキャラもりおかに感謝…（合掌ﾁｰﾝ♪