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#7 酒と泪とこまちんと…第二話『禁じられた遊び』 平成2年前後

こまちんが東京でお仕事をしていた、酒と泪とこまちんと…  第一話『蟹と共に去りぬ』と同じ頃の話

その頃、こまちんはお酒を飲んで記憶を無くすことがたびたびありました。

今から思えば恐ろしいことですが、当時、まだ若かったのと、飲み会の機会がそれだけ多かったんだと思います。

とにかく何かとよく飲みました。
一ヶ月で20キロ太って、それまでの衣服が全て着れなくなったのもこの頃です。(なんせパンツ入らない、ジャージのゴムが切れるって感じで…)

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第一話では、気付いたら『カニ』でしたが、記憶を無くしたときは必ず、『朝起きたらぁ~○○♪♪』ってなことが、しょっちゅう続いていました。


冬場はロングコートのポケットに灰皿、徳利、お猪口などなどが、よく入っていたりしたものです。

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翌日、酔いが醒めて『また、やったのか…』と反省しながら、昨夜の記憶をたどっても、途中から一切思い出せず、一度、医者に診てもらったほうがいいのではないか?と、真剣に悩んだものです。(だからといって酒を控えることはなかったのですが…)


夏場は更にひどかった…

朝、目覚めるとベッドの横にとんでもないものがあったりするのです。


工事現場で使ったりするカラーコーン、薬局のサトちゃんの首、不動産屋ののぼり、いかがわしい宣伝用の捨て看などなど…

いかにも高級そうなマスクメロンが箱のままずらっと並んでいたこともありました。

食べ物以外は、翌日こっそり返しに行きましたが…

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しかし、なんといっても極めつけは…


朝、自分のベッドで寝ていたんです。

丸井のローンで買った高価なセミダブルベッドに…

寝返りを打つと硬いものにあたるんです…

しかも、おおきい…

なんだろなと寝返りを打つと…

んがぁ~っ★※◎▼〃♀…

セミダブルベッドの三分の二を占める真っ赤な自転車!

『Oh~!!!Myガァ~ッ!!』

まるで可愛がっていた馬の生首を寝てる間に足元に入れられていた、ゴッドファーザーに出てくる映画監督のように叫びながら飛び起きるこまちん!

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『落ち着け…落ち着け…』

何故?
マンションの9階に自転車が?
エレベーターに乗ってやってきたのか?
何故隣で寝てるの?
眠かったの?
淋しかったの?

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質問には一切答えてくれない…

確かに昨夜、飲みに行った…
がっ!しかぁ~し!!
思い出せない…

今から30年も前の話です。

1990年の深夜に当然ながら自転車を購入出来る機関などありません。

しかもこの自転車、明らかに新品…

サドルや車体にビニールはついたままだし、何の飾りもない鍵が二本ついたまま…

何より当時、CMで流れていた最新式の自転車『ベルトの自転車ベルレックス~♪』ってやつ…

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土曜日です。

仕事は休みです。

サイクリングに行きました。

この自転車、とても軽快で乗り心地がいいのです。


隣の隣の駅まで行きました。

自転車置き場に鍵をかけて短かった逢瀬に別れを告げ振り返らずに立ち去りました…

『ごめんよ…もとの飼い主のところにちゃんと帰るんだよ…』
と、祈りつつ…

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