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#6 カブトの幼虫のはなし 昭和46年初夏


みなさんは『かたぬき』というのをご存知だろうか ?

昔は良く縁日なんかでみかけたんですが…
最近は、どうなんでしょう?


小学生の頃、学校の校門前にかたぬき屋さんが出没したんですね。

まだ、テレビゲームも何も無い時代だった(任天堂は花札とかトランプ作ってたし…)から、学校帰りの子供たちが、夢中でやったんですよ。

証明写真サイズのパリパリで割れやすくて薄いラムネ状の物体の中にチューリップや車、飛行機なんかが型どってあって、それをまち針でカリカリやって型を抜くんだけど…


一枚、いくらかで買って(値段は忘れたけど…)、綺麗に型を抜くとおっちゃんが景品をくれるんです。

プラモデルとかベッタン(メンコ)とかコマとか… 


その日、かたぬきやのおっちゃん、カブトの幼虫くれたのね…

当時は、大阪市内に住む小学校一年だったからカブトの幼虫なんてなかなか見たことなくって…

めちゃくちゃ嬉しかったんですよね…


しかし、母親は、何故か虫が大嫌い。(まぁ、嫌いになるだけのことをこまちんがさんざんしたんだけど…)


とにかく、若干6歳のこまちんは、毎日、道端で出会う電池不要の動く手頃な物体は、ほとんど持ち帰っていました。

カメ、ザリガニ、カエル、トンボ、カマキリ、カミキリ、バッタにチョウチョ…

見つかっては捨てられるんで、カメの時は、ベランダに置いて、バケツかぶせといたら夜中にバケツが一人でに動いてるって大騒ぎになったり…

カエルは、春先に大きなバケツに半分くらいになるまで放り込んで、田んぼの水とオタマジャクシまで入れて、ベランダに置いて蓋かぶせて漬物石置いて…
2、3日忘れて放置しといたらベランダから異臭がするって近所の人に言われて母親がバケツ開けて腰抜かしたり…

しょっちゅう、こっぴどく叱られていました。


カブトの幼虫、持って帰ってバレたら、きっと捨てられるって、思ったんですね…


だけど、このカブトの幼虫だけは何とか飼いたい!

カブトムシが、幼虫からサナギに、サナギから成虫になるところを生まれて初めて見たい!!


そこで、こまちんは考えた…

まず幼虫と腐葉土を金魚すくいの金魚を持ち帰る袋に入れる…

そして、それを洋服ダンスの父親のスーツのポケットに入れる…(うちの親父は工場勤めで、普段スーツは着なかった…)

これで完璧だぁー!(まぁ、まだ小学一年生ですからね、当時は、なかなかの思いつきだったんでしょう。)

はい。すぐバレました。 

何気に膨らんだスーツのポケットが、もぞもぞ蠢いていたそうです… 

はい。叱られました。

父母ツープラトンで…

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