料理には化かす楽しみがある。創業40年の洋食「狐狸庵」様
落語家の桂歌丸さんゆかりの横浜橋通商店街近くにある隠れ家的レストラン「狐狸庵(こりあん)」様は、ご夫婦お二人で切り盛りされており、アットホームな雰囲気とおいしさで地元の方や常連さんにも支持されています。
いくつかのレストランで修行を重ねた確かな技術と、新鮮で安全な食材を使った絶品の洋食が楽しめます。珍しい店名とお使い頂いている大潟村産あきたこまち無洗米、人気メニューのひとつであるスペアリブ等についてもお聞きしました。
お店のこと
-創業された背景や、創業当時のエピソード等があればお教えください。
自宅は結構離れているんですが、こちらにいた親戚のところに小さい頃よく遊びに来ていました。馴染みのある場所ではありましたが、たまたま縁があってここでお店をやることになったんです。
それまでは何件か洋食系の飲食店でコック、調理師として勤めていたんですが、こういう物件があるという話があって、じゃあやろうということに。
-お店を続ける上で大事にしていることをお教えください。
よく言われますが、お客様の笑顔ですかね。それと、私が今までもこれからもモットーとするのは、お料理は愛情だということです。まぁ、この言葉は帝国ホテルの総料理長だった村上シェフに私が若いころ言われたことですが。
私のお料理を召し上がって頂くお客様に対し愛情をもって接し、愛情を込めてお作りすることだと。それが私の信念です。
場所柄もあって、最初は「洋食狐狸庵」という暖簾をかけたりして和風の作りでした。キッチンが真ん中にあって、座敷やテーブル席があったんですよ。
キッチンが真ん中にあったものだから20~30人の団体様になると席が二つに分かれちゃったり、座敷の接客で立ったり屈んだりもだんだん大変になってきたこともあって、テーブル席にして一つのホールにしちゃおうと。
最初のうちは、昔ながらの洋食屋という感じでやっていたんですが、そのうちお客様のニーズで、フレンチっぽいようなコース料理の予約がどんどん増えちゃったんですよね。そういったこともあって、テーブル席だけの形になりました。
-食材選びで大事にしていることをお教えください。
食は絶対に安全でなくてはいけないということです。この40年間、食中毒といったものも出したことはありませんし、そこは私の自慢のひとつでもあります。変なものは絶対に出さないということを、本当に気をつけています。
肉はもうずっと変わらず伊勢崎町にあるお肉屋さんから仕入れています。野菜や魚も新鮮なものを選びますので、市場に行って買ったり、ここの商店街で買ったりしています。
『狐狸庵(こりあん)』
-すごく珍しい店名ですが、由来をお教えください。
よく作家の遠藤周作さんの狐狸庵先生(雅号であり、「狐狸庵閑話」というエッセイのシリーズもある)と関係があるのか聞かれるんですが、別に関係はないんです。狐と狸って色々なものに化けたりしますよね。一つの食材、例えばじゃがいもにしても玉ねぎしても、そのままポンって出すんじゃなくていろんな風に変えられます。
クリームを使ったりトマトを使ったり、いろんな調理方法がある。例えば、うちでずっと40年間やっている付け合わせのじゃがいももそうです。そうやって一つの食材がいろんな形に変化することで、お客様が喜んでくれればということです。
狐狸庵という店名は、私の父がつけました。父は飲食とは全然関係のない、畑違いの建築の仕事をしていました。
お米のこと
-お米へのこだわりや弊社のお米を使って頂いている理由、きっかけをお教えください。
一言でいうと、おいしいから。ハンバーグステーキとか、セットだとご飯もスープもつきます。そうするとお客様が第一声に「ご飯がおいしい」っておっしゃるんです。お米屋さんは嬉しいだろうけど、こちらとしてみれば「おかずがおいしい」って言って欲しい(笑)。ハンバーグステーキ、ビーフシチューはおいしいとか、そうやって言ってくれたらいいんだけど。
ご飯がおいしいって言うお客様がいらっしゃるんですよ。それで「あ、ごめんなさい。ご飯じゃなくて、先にハンバーグステーキを言わなくちゃいけなかったですよね」っておっしゃる方が結構いらっしゃいます。
使うきっかけはもう何十年も前だから忘れちゃったんですが、多分、電話かなんかで一回使ってみてくださいって言うのが始まりだったんじゃないかな?
最初の頃に取っていたお米は無洗米じゃなかったんですよね。それで途中から無洗米っていうのがありますよ、だったか出来ましたとか言われて、一度試してみてから今もずっと無洗米です。無洗米は楽ですし、本当にね、おいしいですよ。つやもあってね、粘りもちょうど良いし。
おいしいお米をいつもありがとうございます。お米を作られている方の手紙、こまち通信(毎月同送している会報誌)を拝見しますけど、苦労して作ってるんだなぁって思いますよね。
-お米の炊き方についてポイントがあればお教えください。
無洗米と言っても、研がないということに最初はちょっと抵抗あったんですよ。だけど、抵抗がある方は普通に研いでも構いません、その場合は研ぐ時間は短くても大丈夫ですよっていうただし書きがあって。だから私はいつも2~3回、水を替えてやっています。
他には、夏場はなるべく冷たいお水で炊かないと本当にすぐ炊飯器が上がっちゃうので、氷を入れたりしています。でもそれはこまち通信の中に書いてあったので、あきたこまち協会さんに教わりました。
あとうちはそんなに忙しい店じゃないので、炊きたてももちろんお出ししていますけれども、一度に一升ぐらい炊いてすぐ冷ましちゃうんです。その日のランチ分以外はすぐ冷まして、冷めたらラップをかけて電子レンジを使って温めなおす。それでも本当においしい。だから保温機にずっとご飯を入れておくという形は取っていません。
-ずっと保温しておくのはあまり良くないので、家庭では冷凍される方もいらっしゃると思います。
大人気スペアリブの秘密
-人気メニューのスペアリブを、家庭でおいしくつくるコツがあればお教えください。
家庭ではだいたい、お肉屋さんで買った生のスペアリブをそのまま焼いて、バーベキューソースかなんかをつけたりすると思うんですが、うちの場合は一度蒸すんですよ。(本当は企業秘密のところ特別にお教え頂きました!)
スペアリブってけっこう油も入っているので、かなり小さくなっちゃいますけど、うちは余分な油を落とすために一度蒸します。一時間半ほど蒸して、一緒に長ネギとか生姜とかニンニクとか色々な野菜を入れて特製のタレに一晩漬け込んでから炭火で焼いて、真空パックをかけます。
そのタレというのは、もうずっと40年間継ぎ足して使っている特製のタレです。そこに一晩漬け込んで、次の日に炭火で焼きます。だから、家庭ではなかなか難しいかもしれませんね。
キャンプとかだったら外で炭火で焼けるので、おいしく出来るかもしれません。炭火で焼くっていうのはね、本当においしいんですよ。
酉の市って聞いたことありますか?すぐそこに大鷲神社があるんですけど、毎年11月に開かれるお祭りのメイン通りがここになっています。(神奈川県横浜市南区で行われている金刀比羅大鷲神社の酉の市。1991年(平成3)年11月1日に『無形民俗文化財』に登録。2023年の開催日等、詳細はこちらの公式ホームページへ▽)
酉の市の期間中に店の前に屋台を出して、仕込んであるスペアリブを炭火で焼いて出しています。その時は本当にすごい行列ができるので、もうひたすら、すごい焼いて出すんですよ。
-お正月もすごかったんじゃないですか?
初詣はそこの神社行きますけど、お正月はというよりは酉の市がメインですね。お祭りに来たら多分ビックリしちゃいますよ。もう街並み全部、街の景色が変わっちゃいますからね。一年に一回しか来られないお客様も結構いらっしゃるんですが、場所が分かららなくなるくらい屋台がでます。コロナ禍で去年、一昨年はやりませんでしたけどね。
=インタビュアー実食!=
常連さんにも長く愛されている人気メニューのハンバーグとスペアリブ、おすすめのコーンスープをいただきました。
丁寧に仕上げられたデミグラスソースと、たっぷりのフライドオニオンが乗ったハンバーグはとても綺麗に盛り付けられており、食べた時に肉の旨味とデミグラスソースの旨味が口全体に広がります。付け合せのじゃがいもは一手間かけたミルフィーユ状になっており、旨味のある味わいに仕上がっていました。
酉の市でも大人気のスペアリブは、香味野菜を使った特製ダレに一晩つけてから炭火で香ばしく仕上げたこだわりの逸品。ナイフを入れるとホロホロと崩れるほど軟らかく、ソースが染み渡った絶品の味わいでした。
毎日お店でハンドドリップしているコーヒーは、香りが良く食後の余韻を楽しませてくれます。店内は落ち着いた雰囲気でゆっくり食事を味わえる、何度でも通いたくなるお店でした。
店舗情報
洋食 狐狸庵(こりあん)
インタビューを通じ、大潟村あきたこまち生産者協会のお米やパスタを選んだ理由、おすすめの調理法などを紹介します。
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