見出し画像

この紙をよんで、 いみが分からなかった人は、 かならず、もとにもどしてください。 おねがいします。 『ざくざくアクターズ』とフリゲ諸々 (ゲームとことば Advent Calendar 2021)

前置き

こんにちは。駒場天狗です。
私は世界に存在するあらゆるものを翻訳していて、あなたが目にする文字の七割ぐらいは私が翻訳したものです。嘘です。私がふだん何をやっているかは様々なしがらみによって公然の秘密ですが、今回の内容にはまったくかすりもしないので気にする必要はありません。

今回、ゲーム翻訳者のいはらさん(@rie_18ra)にお誘いいただいて「思い出に残るゲームのフレーズ」について書くことになりました。なったんですが……書けない! いや、私だってそこそこゲームは遊んでますし、思い出に残っているゲームのフレーズだってある……あるけど……

俺の言葉で俺の感動を伝えられる気がしない!

ここらへんゲーム音楽、あるいは映画みたいな他のメディアのセリフや音楽、ビジュアルにも付きまとってくる話だと思うんですけど、ゲームのことばをあとから振り返ったときの感動って、ゲーム体験へのブックマークみたいなところがあるじゃないですか。そのことばをきっかけに、その場面、それまでのゲームの思い出が蘇ってくる、みたいな。それを先に言葉だけで説明しちゃっていいのか。『遥かな空間へ』はそれ単体でもいい曲ですけど、やっぱり『勇者30 SECOND』の終盤でいきなり交通事故みたいに出会っちゃってほしいわけですよ(なのでまだ聞いたことない人は俺の言葉を信じて曲については一切調べずにSteamで『勇者30』と『SECOND』を買ってください。今ならウィンターセール中でDLCまでコミコミでも二作合わせて600円だから! 買え! いいな!)。それと一緒でゲームのフレーズも、できれば予期せぬ瞬間に出会ってほしい! いやまあそこまで心配するならもっとキャッチフレーズとか、ゲーム本編より先に出会っちゃっていい言葉を挙げればよかったんですけど、でも俺の大好きなフレーズはどれもこれも中盤以降に出てくるやつばっかりなんだからしょうがない! しょうがないので書きます。

『ざくざくアクターズ』

ってどんなゲーム?

えーっこれ説明しなきゃダメ!? 超有名フリゲRPGだよ!? もうみんなやってるでしょ!? まあとはいえせっかくなんでね、あらためて解説しておきましょう。

『ざくざくアクターズ』は、これまた有名な『らんだむダンジョン』を手掛けたはむすたさんが2015年に公開したRPGツクールVXAce製RPGだ。

舞台は召喚技術の発達した世界。いろんな理由でいろんな別世界から強大な力を持った異世界人がジャカジャカ召喚されたはいいものの、適当に召喚しまくったために人口がダブついてしまい、しかも召喚は一方通行で帰る手段がないからさあ大変。こうした異世界人は「ハグレ」と呼ばれ、居場所がないから安くこき使われたり排斥されたり、それに対してハグレの側も立ち上がったりと、移民問題のようなイザコザが生まれてしまっている。

そんななか、やはりハグレである主人公デーリッチが、親友ローズマリーとともに、召喚転移を自由自在に操る秘宝「キーオヴパンドラ」を手に入れる。これを使ってハグレたちが安心して暮らせる王国を作っちゃおうじゃないか、というのが本作のはじまりである。

システムの基本はオーソドックスなターン制コマンドRPGだが、8人パーティ制とデーリッチの特殊能力の組み合わせ、そして個性豊かな登場キャラクターの数々が特徴だ。

8人パーティは前列4人、後列4人で後列はバトルには参加せず、どのターンにも隊列の入れ替えが可能である。そして本作は敵の攻撃がめちゃくちゃ激しい。ザコ敵はそうでもないが、ボスクラスの攻撃はとうてい回復が追いつかず、味方に戦闘不能が出ることもしょっちゅうだ。その一方で通常の復活技は連発するには必殺技ゲージの消費が重い。そこでデーリッチの登場である。デーリッチの固有スキル、その名も「キーオヴパンドラ」は、異世界エネルギーを呼び込むことで他の前列メンバーを全員復活させることができる。これによりボス戦では、

倒れた仲間は順次後列に送りつつ、デーリッチの必殺技ゲージが溜まるまで攻め続ける

「キーオヴパンドラ」で全員復活!

という流れがうまく決まるようになっている。

そしてデーリッチは普通の回復技も一通り習得している。これがどういうことかというと、パーティには基本的に誰を入れてもいい。もちろん属性や役割の相性はあるにはあるが、そこは愛でカバー。お気に入りのキャラを引き連れていざ冒険に出かけよう!

どうやったらプレイできる?

作品本体は↓から

プレイに必要なランタイムパッケージは↓から

それぞれダウンロード可能です。ていうか窓の杜の作品紹介がめっちゃちゃんとしてるので最初からそっちに誘導すればよかったな! ごめんな!

タイトルのフレーズはどういうこと?

プレイして確かめろ!

……と言いたいのですが、まあ6年前のゲームだし、ちょっとぐらいは書いてもバチは当たらんよね。ネタバレネタバレなのでネタバレが気になる人は

プレイして確かめろ!



……



……



ハグレ王国の国王にして文字通りの要(かなめ)であったデーリッチ、しかし彼女はある事件がきっかけてさらなる異世界に飛ばされてしまう。一行は彼女が飛ばされた世界をなんとか見つけ出し、足を踏み入れた先で見つけた置き手紙の最初に書かれているのがこれである。

いやーーーーーーーーどう言ったらいいのか分からないんですけど、デーリッチは基本的にノーテンキなわけですよ。それが仲間たちと切り離され、プレイヤーの代行者(いや、俺たちプレイヤーがデーリッチの代行者なのか? まあいいや)としてでなく第三者として行動しているときの、しかも仲間たちじゃない他人が置き手紙を拾ったときのためのよそ行きの言葉!

ストーリー上もゲームシステム上も本作の中心であるデーリッチを欠いた喪失感を抱えながら、この書き出しを見たときの仲間たちの気持ち! ストーリー上は仲間にサポートされ、ゲームシステム上は仲間をサポートする、仲間ありきのキャラでありながら、ひとりぼっちの異世界で不安にさいなまれながら、届くかもわからない手紙を書いているときのデーリッチの気持ち! そして俺の気持ち! いやまあ俺の気持ちはどうでもいいのですが、そういったこの瞬間のあらゆる気持ちがこの書き出しには集約されていると思います。私の言葉ではこれが限界なのであとはプレイして確かめろ!



……



……



ついでのフリゲのはなし

ついでなのでこれまでの人生で思い出深かったフリゲを紹介します。紹介させろ。

盗人講座

俺のフリゲはここから始まった。インディーズでもストーリーと独自のシステムが合わさったゲームが作れるんだ!ということを初めて知った名作。「誰からでも盗める」というシステムはすでにオープンワールドだったと思うぜ。

長らくダウンロードできない状態が続いていたが、いまは作者であるw-nさんがゲームアツマールで公開しているのでみんなもプレイできる。すごい時代だ。

王様な日々

(スクショすら見つけられなかった)

戴冠したばかりの王様になって国を統治するゲーム。ゲーム内の説明だけでは効果のよくわからないふんわりした「おふれ」を駆使して、食料や兵力、森林や人口が割とシビアに増減する国家運営をしていくギャップがたまらない。いまはコンテストパークのサイトがなくなった関係でダウンロードできない。かなしいね。

SPY

政治スパイ活劇! といいつつ潜入先の新聞記者業に熱中してしまうのはお約束。ストーリー、新聞記者の取材、スパイ活動のドキドキ感、戦闘システム、そのどれもが高水準なのでまたプレイしたいのだがこれも今はダウンロードできない。遊べないゲームの話を聞かされるあなたもかわいそうだ。

AIRAM EVA

「独特」と言うにはあまりにも独特なアンディーメンテ作品の中ではこれが一番とっつきやすいと思う(次点は『ウトナと3人の騎士』)。できることがどんどん増えてって風邪薬の処方から開頭手術までなんでもござれのスーパードクターになれるぞ。問診と治療からなる医者ゲーはだいたいこいつの影響を受けている、多分。改めてサイト見てみたけど作品数すごいね……。

シルフェイド幻想譚

今は『片道勇者』の作者といったほうが通りがよいかもしれないSmokingWOLFさんの作品。ストーリーも時間制限のギミックも戦闘システムもすごいけど、特筆すべきはやっぱり操作が即座に画面へと反映されるキビキビ感で、このキビキビ感はのちのウディタ(WOLF RPGエディター)へとつながっていく。
シルフェイド幻想譚は今も絶賛公開中。やったあ!

Ruina 廃都の物語

Ruinaとか紹介するまでもないでしょ!?とかお思いになるかもしれませんがこれも2008年公開とかですからね。ゲームブック調のグラフィックにマップシステム、そして地の文の使い方! ダンジョンモノカルチャー(小さな町に財宝ワンサカのダンジョンが見つかっていびつな経済発展が起きる現象。今だと『ダンジョン飯』とかもその系譜)を意識的に描いたという点ではかなり先進的だったと思う。スキルや道具の扱いも「TRPGっぽさ」をよく押さえていてワクワクするよね。
こちらも絶賛公開中。やはり最後の砦は個人ホームページなんだよ……。

めっちゃクラシックなフリゲばかり紹介してしまいましたが(えーっキャンディリミットも6年前なの!?)、ちょっと記事公開の〆切がアレなので今日はここまで。気が向いたらまた追加します。最近の面白いフリゲは全然追えてないので皆さんのオススメもぜひ教えて下さい。ではまた!


この記事は、いはらさん(@rie_18ra)主催の「ゲームとことば Advent Calendar 2021」のために書かれたものです。いよいよ明日は主催者いはらさんによる大トリ記事!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?