好きな本の好きなところは、出会い方だった
好きな本を1冊、思い浮かべてみてほしい。
急に何かって?まあまあいいじゃん。1冊くらいあるでしょ、好きな本。
さて、「その本のどこが好きですか?」と尋ねられたとき、あなたならどう答えるだろう。
多くの人は「ストーリー」と答えると思う。あと「装丁」とか。「この本の、このフレーズが好き」という人もいるかもしれない。
私の好きな本の「好きなところ」は、その本との出会い方だ。
あれは小6の家族旅行のとき。いつも通り電車移動の道中に読む本を持っていったのだが、読みかけの本だったからか、すぐに読み終えてしまった。なぜ読みかけの本を1冊だけ持っていったのかは分からない。なにも考えていなかったのだと思う。多分。
本がないと困る。暇だもん。幸い、次の電車に乗るまでにけっこう時間が空いていたので、そこで本を買おうということになった。駅で本など買ったことがなかった私は、本棚をみて驚いた。
6段の棚が2つ。決して広いとは言えないそこに、文庫本がぎっしり並べられていた。
歴史小説、名作と名高い文学作品、学術書…。なんかよくわからないけど難しそうな本たちが大半を占める本棚の前で、「自分は小学生なんだぞ!!」と叫びたくなった。
本棚の上から下へ、下から上へと目を滑らせる。もうなんでもいいから読めそうな本が欲しいなぁ…。そう思っていたとき、ふと1冊の本に目が留まった。あ、なんか易しそう。やった。本当にそれだけ。手にとってぱらぱらと眺める。小説ではなくお悩み相談みたいな感じね、いいじゃん。とりあえず読めそうだということでその本を買った。
そういう感じなので、面白さは正直あまり期待していなかった。読めればいい。それだけ。
車内で読み始める。
あ、意外と…というか結構…いやこれ面白いじゃん。
期待していなかった分(といったら申し訳ないのだけど)、「面白い」という感動が普段の2割増しくらいで襲いかかってきて、どんどん読み進めた。気がつけば旅行の空き時間、ずっと読んでいた。
その後、家に帰ってからも2周、3周と読んだ。家族にも勧めた。見事にハマった。その作者の本を手当たり次第借りて読んだ。どれもやっぱり面白かった。「自分は本を選ぶセンスがあるなぁ」と思ったりもした。できるだけ読みやすそうな本を探しただけなのに。
そんなわけで、たまたま手に取った本、それが私の「好きな本」だ。
「読みやすそうな本」とか「面白さは期待していなかった」とかいいながら紹介するのはちょっと…と思いながらも、素敵な本なので紹介。↓
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