駒場 呵笑

週に一回ほど投稿しがちな、ただの人です。

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  • ショートショート

    短い短いお話です。暇つぶしにどうぞ。

  • 世界の寓話集

    各国で語り継がれている選りすぐりの物語を集めました。

  • 落語(その他噺)

    えー、何ともジャンル分けのしづらい噺です。

  • 落語(滑稽噺)

    えー、相変わらずの馬鹿々々しい噺をば一席…。

  • 落語(艶噺)

    えー、つまりその…ちょっぴりエッチな噺です。

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【掌編】DS-どん底の崇拝者たち-

 大統領選挙が終わった。  結果は、圧倒的な民意によって、元大統領が四年振りに返り咲いた。元来がヒーロー好きな国民たちは、このまさしく映画のような復活劇に大いに沸き上がっている。  他方で、その現象を内心苦々しく思いながら見ている者たちもいた。  日本国内某所地下○千メートルにある秘密のアジトには、『闇側勢力 日本支部』の上層部たちが、この度の大統領選結果を受け緊急集結していた。 「くそっ、何ということか……完全に元大統領の圧勝ではないか。まさかここまで完膚なきまでに

    • 寓話(4)ライオンとイノシシ一家

       荒野を、一匹のライオンと三匹のイノシシ一家が旅していた。  ライオンとイノシシ一家は、もともと知り合いだったわけではない。ではいつ知り合ったのかというと、オアシスでイノシシ一家がハイエナに襲われそうになった時に、ライオンが彼らを助けてからだ。  イノシシ一家は当初、ライオンはハイエナを追い払った後で自分たちのことを食べるつもりなのではないかと危惧したが、結果まったくそんなことはなかった。むしろイノシシ一家の旅の安全を気遣ってくれるなど、とても優しい性格であることが判った

      • 【掌編】愛憎裁判

         計五日間にわたる裁判員裁判員が終わった。 「お疲れ様でした」  地裁の正面玄関前で、沢尻軽子は共に闘ってきた五人の“戦友”に頭を下げると、近隣の地下鉄駅へと向かって歩き出した。 「終わってみれば、あっという間だったね」  そう声を掛けながら、すぐに火野が並んで歩く。利用駅が同じということで、過去四日間もこうしてこの男と何気なく話しながら帰っている。 「よかったらメシでも食べていかない? 俺、おごるよ」  裁判員を無事に務め上げたという開放感もあり、軽子は火野のそ

        • 落語(68)かっこめ熊手

          旦那「これ定吉、定吉や。ちょっとこっちへ来なさい」 定吉「へぇぇぇぇい。何でしょうか旦那さま」 旦那「いえね、お前にちょっと使いを頼みたいと思ってね」 定吉「へい、お使いですか。かしこまりました。で、どちらまで行けば?」 旦那「うむ、定吉。お前、お酉さまって知ってるだろう?」 定吉「え、お酉さま?ああ、知ってますよ。あの、毎年お寺でやってるお祭りですよね?」 旦那「そうだ。でね、今日がちょうどその『一の酉』にあたる日なんだ。そこでちょいとお前に、浅草の酉の寺まで行って、熊手を

        【掌編】DS-どん底の崇拝者たち-

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          時事川柳(10月)

          以下、カッコ内は雅号。 どこからか 甘い香りと 甘い声 (花と選挙) 清きまま 集計されよと 票投じ (不正は嫌) 人民が 人民のために 自民切り (衆院選大敗) 大敗で 石破の足場も ぐらついて (短命危機) 忙しや ポスター貼ったり 剥したり(公明代表) 神無月 自公にとって 神は無し?(過半数割れ) あざとさが 無い野田さんにも 痣ができ(右目) 立花から 大津を守れ みんつく党 (書類送検) トランプを 返せば正解か 失敗か(決戦間近) 淋しいのは

          時事川柳(10月)

          【掌編】鞠つき少女マリちゃん

           この度の衆院選における『与党過半数割れ』という惨憺たる結果を受け、首相は頭を抱えていた。 「はあ、参った……このままでは本当に短命政権で終わってしまうぞ……」  すると、そんな彼を励まそうと、 「まあ、それもいいじゃないですか総理。もうこの際きっぱりと辞めちゃって、どうせなら歴代一位の短命内閣を目指しましょうよ」  と、秘書官が言った。 「君、何を言ってるんだっ。そんなことをすれば、世間のいい笑い物ではないかっ……うむ、待てよ。それはそれで後々語り継がれるし、ある

          【掌編】鞠つき少女マリちゃん

          寓話(3)蛙一家と不肖の鷹

           ある山奥の森に、蛙の一家が暮らしていた。  ある晩、どこからか呻くような声がするので、父蛙が近くまで様子を見に行ってみると、そこにはなんと大きな鷹が横たわりながら、苦しそうにもがいていた。父蛙は、鷹だと思って一瞬息を呑んだが、その辛そうな姿があまりにも哀れに思え、思わず大丈夫かと声を掛けた。すると、鷹は父蛙の顔を見て息も絶え絶えに、 「お願いだ、助けてくれ……」  と懇願した。  困っている者を放っておけない性分の父蛙は、きっとこの鷹は怪我をしたのに違いないと思い、

          寓話(3)蛙一家と不肖の鷹

          寓話(2)器用な猿と不器用なキリン

           ある大陸のサバンナに、器用な猿と不器用なキリンが暮らしていた。  猿はとても賢く、何でも易々とこなすことが出来た。一方、キリンにはあまり取り柄がなく、おまけに何をするにも要領が悪いので、猿からいつも馬鹿にされていた。  猿はわざとキリンの目の前で木に登ってみせたり、または湖で泳いでみせたり、または二足立ちで踊ってみせたりして、すっかり優越感に浸っていた。一方でキリンは、猿には出来ることが自分には出来ないと、すっかり落ち込んでいた。 「ああ、どうしてこう僕は何も出来ない

          寓話(2)器用な猿と不器用なキリン

          寓話(1)熊の親子と人間

           ある子熊が、腹をすかせて人里へ下りた。この時期は主食である木の実がなりにくいため、ついに山から餌がほとんど無くなってしまったのだ。 「いいかい、坊や。人間はとても野蛮で凶暴な生き物なのよ。だから、絶対に一人でこの山を下りては駄目よ」  子熊はまだ物心がつく以前より、母熊から人里には決して近付くなと口酸っぱく言われていた。けれども、いよいよお腹と背中がくっつきそうで、どうしても我慢が出来なかった。 「ああ、お腹すいたなあ。どこかに食べ物はないかなあ」  子熊は、人間に

          寓話(1)熊の親子と人間

          【掌編】踵を一瞬だけ浮かせて止めてから歩くことについて語る時に私が語ること

           私は普段から道を歩く際、自分の前を行く人間の足元をしょっちゅう観察している。何故かというと、特に理由はない。ただ、私は今どきの人間の多くがしている『ながらスマホ』なるものが大嫌いな性分であるため、『歩く時は歩く』に徹している結果として、必然的に周囲の状況を把握しやすくなっているのかもしれない。  そんな中で私が最近ふと発見したのが、世の中には踵を一瞬だけ浮かせて止めてから歩く人間が、一定数いるということである。 (え? 踵を一瞬だけ浮かせて止めてから歩くって、いったい何

          【掌編】踵を一瞬だけ浮かせて止めてから歩くことについて語る時に私が語ること

          落語(67)九里香

          義助「(千鳥足で)うぇ〜い、ひっく…いやぁ、呑んだ呑んだぁ〜」 萬作「呑んだなぁ〜、ひっく…うーん、やっぱり酒はいいねぇ〜。こう、何というか、魂が解放される感じがするよなぁ」 義助「そう、それな。子曰く、『酒に害なし、恐るるに足らず』ってやつだ」 萬作「おいおい、何だそりゃ。それを言うなら『酒は量なし、乱に及ばず』だろ?」 義助「お、若者知ってるねぇ。ひょっとしてお主、学があるのかい?」 萬作「ありもあり、大ありよぉ。こちとら天下の昌平坂学問所の学生だい」 義助「昌平坂?ほぉ

          落語(67)九里香

          時事川柳(9月)

          *以下、カッコ内は雅号。 トランプの 神経衰弱 狙う弾 (暗●未遂) 総理への 行く手を遮る 石破り (苦節16年) 早苗では 収穫できぬと 自民党 (実らぬ秋) 泥呑んで 再び総理を 目指すのだ (野田代表) 十六年目の 夏を最後に 代表辞任 (那津男) 失職し 駅前で初心を 表明し (斉藤知事) 防衛大 指導とイジメが 迷彩色 (自己防衛) 友好へ パンダ大使を 派遣する (関係憂慮?) 東大の 敷居が二割 高くなり (授業料値上げ) 大出世 能登に希

          時事川柳(9月)

          落語(66)彼岸花/サンサファ

          娘「(歩きながら)うーん、秋晴れのいい天気。(犬に向かって)タロ、今日は雨が上がって良かったね。お前の気の済むまで、いっぱいお散歩をおし。ふふっ、タロったら嬉しそう。犬も人間みたいに笑うんだね。…あ、お母さん見てほら。彼岸花だよ」 母「うん、もうすぐお彼岸だものね。きっと昨日の雨で、一気に花が咲いたんだわ」 娘「綺麗だなぁ。…あ、タロ、こらっ。食べちゃ駄目だよっ。彼岸花には毒があるんだからっ」 母「ふふ、大丈夫よ。ただ匂いを嗅いでるだけだから」 娘「なら、いいけど。…それにし

          落語(66)彼岸花/サンサファ

          時事川柳(8月)

          *以下、カッコ内は雅号。 国民に 『さらば』と岸田 文を書き (退陣表明) 三期目は 都知事の椅子にも 車輪付き (昇格) 金に賭け 金で転んで 何学ぶ  (堀井議員) ドブ板の 下のドジョウで 終わらん野田(立憲) ブロックを 重ねたお山の 大将に(河野総理?) フワちゃんも 生きてるだけで 有償です(損失) 24h走 挑んだだけで 完走です (やす子) 「有難う」 鹿がへずまに お辞儀する (@奈良) もうこれだけ… コップの青汁 見て嘆き(王子) 東

          時事川柳(8月)

          落語(65)子守の藪入り

          お涼「(赤子をおぶりながら)ね〜んね〜ん、ころ〜り〜よ〜、おこ〜ろ〜り〜よ〜♬   坊〜や〜は〜、よい〜子〜だ〜、ねん〜ね〜し〜な〜♬」 主人「これ、お涼や。ご苦労さん。ちょっとこっちへ来なさい」 お涼「あ、ご主人さま。はい、ただいま…(そばへ行き)…なんでしょうか?」 主人「おお、お前のあやし方が上手だから、赤ん坊のやつ、よく寝ておるのう。…あいや、今日はお前に少し話があってな」 お涼「あ、はい。なんでしょう。おつかいでしょうか?」 主人「いやいや、つかいじゃないんだ。早い

          落語(65)子守の藪入り

          時事川柳(7月)

          *以下、カッコ内は雅号。 ラーメンの 熱量冷ます 旭川 (醜聞多発) 内紛で 業務が出来ない スーパーも (労組) 空調服 いつ爆ぜるかと あぶら汗 (爆発事故) 鹿蹴る奴 蹴散らかすのが へずま流 (改心) 小説より 奇なる敗訴に 無念の作家 (知念氏) うな重で 成瀬は天下を 取りにいく (急成長) 精つけて 精根尽きる こともある (鰻食中毒) 統合で 出張するのが 集スト軍団(統失制限) 立ちんぼが 夜戦相手を 待つ病院 (@新宿) Xで 細々発信

          時事川柳(7月)