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初めて次の人を考えてクレームを出した家づくりの思い出。#365
家を建てることになった時、担当になった営業さんはとってもいい方でした。
物腰柔らかで、話をよく聞いてくれて、すごく寄り添ってくれる。ちょっとでも自信がないことは絶対に曖昧に答えたりせず、次回までに調べますと言って確実な回答をくれる。夫婦でとても信頼していました。
いざ打ち合わせ開始!そこで、設計士さんが登場します。
私は当時、つけれる所にはなるべく収納をつけたい!という思いがありました。
せっかく家を建てたのに収納が少なくて、結局あちこちに棚を置く、ということをしたくなかったのです。
素人目で図面を眺め、ここに収納をつけられそう!と思いつくたび設計士さんにたずねました。
「ここって、収納つけられますか?」
「できません。」
「じゃあ、ここだったら…?」
「できません。」
「あっ、ここは?」
「できません。」
まるで一問一答のようでした 笑
私はだんだんとこのやり取りに違和感を覚え始めます。
プロからしたら、私の提案は「そんなのできるわけないだろ!」と一蹴したくなる内容だったのかもしれません。でもこちらも一生に一度の家づくり、真剣だし必死です。
このやり取りで、「この奥さんは相当収納をつけることにこだわっている」とは感じたと思います。
もっとこう、「ここはできないのですが、ここだったらできますよ。」とか、向こうからも提案してほしいなぁ…。
私のど素人の思いつきが全て通るなんてはなから思っていませんでした。
とりあえず私が思いつくままにバンバンボールを投げるとして、それを何らかの形で返してほしい。
そう思っていたのですが、何だかドッジボール状態というか、私が投げて「できません。」の一言で全て終わっていく感じに少しずつ不信感が募りました。
でも私はそれにはひるまずに、当時同じハウスメーカーで家を建てた方のInstagramを見漁っていたので、色々勉強しながら懲りずに提案を続けていました。
ある日、ハウスメーカーからアンケートが届きました。
「営業担当、設計士の対応はどうですか?」
営業さんについては筆が進みました。
必ずこちらの考えを尊重してくれるし、一緒に親身になって考えてくれる。それは打ち合わせが始まってからも変わらずでした。正直打ち合わせが始まってからは設計士さんメインで、営業さんは、言葉は悪いけど「同席するだけ」のようなイメージがありましたが実際全然違ったのです。私たちが「こうしたい」という要望には、設計士さんよりも真剣に一緒に考えてくれました。
営業さんへの感謝を伝えられる場があるならば!とここぞとばかりにアンケートにびっしり書きました。
そして、設計士さん。
思うことは色々とありました。
こちらの希望が全て一問一答のように「できない」の一言で終わり代替案がないこと。
私たちの一番の希望であった「リビングを吹き抜けにして大きな窓をつけること」
それすらも一度は何故かできないと言われたこと。
私がそんなはずはないとさらに押したことで結果的には叶ったけれど、もし私でなければ、これが他のお客さんだったら、諦めていたかもしれない。
みんな一生に一度の夢と思って家を建てるだろうに、あの一問一答スタイルを続けられるとこの先色んなお客さんが色んなことをあっさり諦めてしまう気がする。もっと、寄り添って提案してほしい。次のお客さんにはもっと…
次の誰かの、わくわくと「こうしたい!」という希望を一蹴されることを想像してしまい、何か伝えなければ!と、思い切って書くことにしました。言ってしまえばクレームです。
・素人の的外れな希望ばかりだったかもしれないけれど、希望一つ一つに「できない」の一言で終わらされてしまい代替案などの提案がいつもなかったこと
・もっと、AはできないけれどBだったら出来るという提案が欲しかったこと
この2つをメインに書きました。勇気がいりましたがまた同じ思いをする人が出ないようにと希望を込めました。
そのアンケートは直接本社へ返送されるようになっていました。
しばらくして、営業さんから「すみませんでした…!」と謝罪されてしまいました。
「本来あってはならないことなのですが…」営業さんは何も悪くないのに、こちらが申し訳なくなる位に申し訳なさそうにしていました。
その後設計士さんからも、謝罪がありました。こういう感じにしたかった訳ではなかったんだけども、書いてしまった以上、やはり向こうも謝らない訳にはいけなくなる。その時間は何とも居心地悪いような空気が流れましたが、その後の打ち合わせの雰囲気はガラリと変わりました。
懲りずに希望を伝えた後、設計士さんからの「できません。」がなくなりました。
多少パフォーマンスもあったように思いますが 笑 真剣に考えてくれて、「こうだったらできますけど、これも変ですよね~」代替案をしてくれるようになりました。
営業さんも変わらず真剣に考えてくれて、
「あれから図面見てたんですけど、ここをこうしたらほんの20cmだけですけどスペース取れます。」
「20cmでも有り難いです!そうしたいです!」
やっぱり営業さんを褒めたくなってしまうのですが 笑 打ち合わせ外の時間でも図面を見て考えてくれていたことに感動したし、わずかでも良くなる提案をしてくれることに感謝感謝でした。
一瞬気まずい雰囲気にはなったものの、やっぱり言ってみて良かった。その後の打ち合わせは空気が入れ替わったように楽しくできたし、最後の打ち合わせの時には全員で記念写真も撮りました。設計士さん、ずっと単身赴任でアパートで暮らしながらお仕事をしている事をポロリと話されました。そうだったんだ…家族全員で暮らす家の設計に関わるってちょっと複雑に思ってしまったりしないのだろうか…?勝手ながらその時初めて設計士さんの気持ちを想像してしまいました。
我が家に関わって下さった方一人ひとりに感謝だし、顔も名前も覚えていたい。
もちろん営業さんも設計士さんも今でも顔も名前も覚えています。
ハウスメーカーのイベントに参加して当時はいなかった子ども2人を会わせることもできました。
今もどこかの家族がわくわくと「こうしたい!」と夢見ながら、楽しく打ち合わせをしているといいなぁ…
夢に向けての打ち合わせ。
どの家族も楽しめますように。
さぁ
今日も
新しい一日が
始まります。