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一年ぶりの帰国

妹には娘が二人いる。

次女のほうは今年、社会人になった。
自分のやりたい分野の仕事に就くことができ、一人暮らしも楽しそう。
このお盆は親戚に初任給の内祝いを配ってくれた。
長年のお年玉などのお礼?だとか。
親戚のグダグダ宴会にも適度に付き合い、アルコールもおおいに鍛えてきていた(笑)
職場のオジサンにも可愛がられそうだ。
学生時代より柔らかい雰囲気で、確実に大人になっていた。
よきよき。

長女はいまだ大学生。
彼女は、妹夫婦は当然ながら、祖父母、私たち夫婦、いとこである私の娘たち、妹の夫のほうの親戚も、それはそれはみんなをハラハラさせながら大きくなった。
紆余曲折ありの現在、海外の大学に在学中。

「痩せたら(体重が落ちたら)即帰国!」「留年したら即退学!」の親との約束も毎度ギリギリクリアし、9月から3回生に進級する。

そんなギリギリガール長女Cちゃんが一年ぶりに帰国した。

今回はCちゃんのこと。




知識欲のカタマリ

Cちゃんは小さい時から好奇心旺盛だった。
動物や昆虫の図鑑が大好きで、本を読みだしたら止まらない。
博物館に行こうものならすべての説明を読まなければ前に進めない。
この知識欲に加え、運動も、ピアノも、なにをさせてもよく出来た。

「どんな大人になるんかのう。」
祖父(私たち姉妹の父)は、Cちゃんとウマが合い、その先を楽しみにしていた。
妹家族が帰省すると、祖父はCちゃんの大好物の回転寿司屋(ちょっと高級なとこ)に連れて行った。
喜ぶCちゃんを見て、喜ぶオジイチャン。
Cちゃんは遠慮なく食べて、「これとこれは美味しかったけど、あれとあれは△△(別の寿司屋)が美味しいわ。」と素直すぎる感想を述べる。

その遠慮のない素直な感想は、どうなん?
私は(周りの友達とうまくやれるのかなあ、、、)と若干の心配をしつつも、将来が楽しみだと思っていた。

ただねぇ、、、性格が真っすぐすぎるんだよなあ、、、

いじめ・挫折

中学校では運動部に入部した。
あっという間に1年生ながら試合に出るようになった。
そこで、先輩や同級生と衝突した。
先生のいないところでも生真面目に練習するし、校外での試合などでも一人校則を守るCちゃん。
試合に出られない先輩はそれが気にいらない。

Cちゃんにも勿論いけないところはあったのだろう。
だんだんと部活で無視され、クラスで無視されるようになった。
2年生の夏休み明け、とうとう学校を休みがちになった。
妹夫婦は学校と何度も話し合ったけれど、状況は改善されず、妹のメンタルはボロボロになった。

自慢の孫がひきこもってしまった、、、
祖父母はショックを受け、なにもしてやれないことを気に病んだ。
私は、自宅と妹宅を1カ月交代で行き来した。
Cちゃんと妹の支えになりたかった。

「3年生からは登校するから」
Cちゃんはそう言ってはいたけれど、信じて良いの?

転校?
いや、いっそ広島の我が家でCちゃんを引き取って、環境を変えてみる?
でも3年生からは行くって言ってるんだよね。
Cちゃんの力を信じようよ、信じたいよ!

いや、信じたいと思いながら信じきれない私たち。
妹夫婦や私たちが揺れる中、塾やピアノ、お習字の先生はいつでもCちゃんの味方でいてくださった。
小学校の恩師が何度も連絡をくださった。

半年間の登校しぶりを経て、春休みに2週間の語学留学に一人で参加した。
(情けない自分自身にも嫌気がさして、誰もいないところで一人もがいてみたかったのだろう。)
留学から帰国すると、言葉どおり中3の一年間はほぼ登校した。
でも、高校は同級生の行かない高校に行くと言い、遠くの高校に入学した。

友達の作り方が分からなくなってしまったCちゃんは、高校も若干拗らせた。
でも、妹も私ももう落ち込まない。
元に戻るには、拗らせた期間の倍はかかる!
高校はリハビリ期間。
Cちゃんの社会復帰は大学だ!


勉強したい

希望の大学、、、とはいかなかったけれど、短大に入学した。
おかしな感染症が蔓延した。
入学式も大学生活も友達付き合いもリモートの世の中になった、、、。

しかし、コロナはCちゃんにとって人との丁度良い距離感を作らせてくれた。
人と群れなくていい、一人でいても目立たない。
距離感が密でないコロナの世の中が、Cちゃんには心地が良く、少しづつ本来のCちゃんを取り戻し始めた。

短大卒業後、海外の大学を受験した。
留学ではなく一からの入学を選んだのは、学生時代に色々な事から逃げてしまい、努力らしい努力を何もしてこなかった後悔もあるらしい。
日本だと甘えてしまう。(親も助けてしまう)
この頃には妹も強くなって、
「私の人生じゃないし、Cの好きに生きたらいい。」と送り出した。

決して放任ではなく、黙って見守っている妹。
(時々大文句を言ってるけど!笑)
囲って手を引いて後押しをしていた関係から、黙って見守るスタンスへ。

私が子育て真っ最中の頃、ある講演会で講演者の先生が仰っていた。

【親】という漢字は、『木の上に立って(子どもを)見まもる』という意味です。

妹はいつのまにか立派な親になっている。


海外で一人

1回生の時のCちゃんは、辛くて淋しくて、何度か帰国した。

「おばちゃん、ご飯がねもう無理なんよ、、、」

「丸亀製麺って留学生には最強の味方よ。
私、丸亀が海外から撤退しないように株買って応援したい!と思うわ。」

「虫がすごすぎるーーー!」

「〇〇人(在留国)のここが嫌だーーー!!」

文句だらけのCちゃん。
絶対逃げ帰ってくる、もしくは留年すると誰もが思っていた。

でも、少しずつ変わっていった。

「おばちゃん、日本人は恵まれとるんよ。
日本の食べ物は(割高でも)コンビニにあるけど、
マレーシアとか、インドネシアの友達は、お国の食べ物が恋しくてもコンビニに売ってないからさぁ。」

外国人とのルームシェアで色々感じたこともあるようだった。


去年の9月に渡航する時、
「2回生は帰らない、途中で帰らずに一年間頑張る!」
Cちゃんは宣言した。
ホンマかいな、無理せんでええんじゃない?
しかし、本当に帰ってこなかった。
(妹夫婦のほうが2回行ったけど!笑)

そして先週、Cちゃんは一年ぶりに帰国した。
もう在留国の食事や文化に文句は言わない。

「〇〇国のこれは悪いとこだけど、こんないいこともあるんよ。」

「逆に日本のこんなとこは〇〇に負けていると思う。」

なんだか、急に立派になっちゃって。

一人が淋しい事もあるけれど、中学校の時のような”精神的一人”に比べたらなんでもない、と。
言葉の苦労もあるけれど、今、Cちゃんは勉強が楽しいらしい。
勉強をやめてしまった学生時代を、彼女は今取り戻している。

いろんな挫折と貴重な経験をしてきたCちゃんは、今や最強なんじゃなかろうか!笑


卒業したら日本で就職したいらしい。
(食べ物はやはり日本食がサイコーーー!なんだそう)

祖母「Cがちゃんと就職するのを見届けんと、おばあちゃん安心して死なりゃあせんわ。」
C「おばあちゃんが死なんように、就職せんとこうか?笑」
私&妹「そんなんええけん!
頼むけん、就職しておばあちゃんを成仏させたってくれ!!!」
(いや、マジで、ホンマに〜!)


昨日は祖父母とCちゃんは回転寿司屋に行った。
(私はアッシー)
Cちゃんは昔の食べっぷり復活で、じいちゃんばあちゃんを安心させた。

はい、昔の食べっぷりの14皿🤣

Cちゃん。
元気をチャージして、また自分らしく大学生活を楽しんでこい!!


今年初めにnotoと出会った私。
noteには子育て奮闘中の方の日常や、外国で生活している方、今を頑張っている方々が大勢いらっしゃる。
そんなnoteを拝見していると、まるでかつての妹やCちゃんを見ているよう。
読みながら胸がつまるし、いいぞいいぞ!と嬉しくもなる。
そんなnote投稿に、応援とリスペクトを込めてグイっとスキをして、陰ながら応援させてもらっている。

久しぶりに成長した姪っ子に会って、ちょっと昔のことを書いてみたくなりました。




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