家は3回建てよ、というけれど
引っ越しまで、あとひと月ちょっと。パンダがプリントされている段ボールに少しずつ荷を詰め始めてる。
まずはあんまり使ってないものから詰めよう。
子どもの絵本を段ボールに入れようとしたら、まだそれ読むからねえ、と2歳が持っていってしまう。
最近あんまり読んでなかった本から詰めたというのに。荷づくりでアルバム見返すタイプか。子どもがいるとなかなか思うように進まない。
家造りには「家は3回建てよ」という言葉があることを、母から聞いた。これから住もうとする中古の一軒家をさあリフォームだという娘へ、母からのアドバイス。
初めての家造りで後悔のない人はいないって言うし、お母さんも後悔ポイントあるからそう思うし、まあ気負わずやったら。
えー!なにそれ、とはならなくて、なんだか妙に納得してしまう。納得して、そんな考えが昔からあったんだと思って、ちょっと安心した。一生に一度のマイホーム、ではないという選択肢。
私たち家族も、1個の家で人生完結することの難しさを感じつつ、賃貸の方がいいんじゃないかと思いつつも、このたび家を買っている。
家は3回建てよ。本当にそうだとしたら、どのタイミングがわが家にとってベストだろう。
長くなっている人生は、一緒に住む人の人数や生活様式も変わる。そこへ寄り添う暮らし方とは。そんなことを考えていると、これからマイホームとなる家をリフォームしようというのに、まだ住んでもない家から出ていく時っていつだろうと考える。この家の築年数からして最期まで住むというのは難しくて、いつかは次の家が必要。そのいつか、をもう少し掘り下げて。
合理的という意味でも考えたのは、ギリギリ家の寿命が尽きる前まで住むのではなく、とある時期が来たら、この家は賃貸に出して、次の家に移るという案。今は幼い子どもを育てるのにマッチした家だと思って買ったけど、その時期ら過ぎたら、賃貸に出してみよう。わが家としては子どもが大きくなった頃、家族の暮らし方に合った家に移れる、というもの。
住む前にこんなことを考えてるなんて、変なお客さんだと思われるかな、と思ったけど、リフォーム会社さんに一応こんなことを考えていますと話をしてみると、この立地なら賃貸に出すのいいと思います、それでは賃貸シフトできるようにリフォーム内容も少し変えましょう。と、サラッとした答えが返ってきた。というわけで、わが家の新居は賃貸シフトができる仕様となっている。
われながら非常に冷静に、入口の時点で出口戦略まで考えられて、これはなかなか1回目マイホームにしてアッパレなのでは。たまたまお願いしたリフォーム会社さんが地元で長く不動産賃貸をやっていたというのも、ツイてる。
というところまでが、リフォーム前の話。
あと少しでリフォームが終わる。ということで、先週リフォーム中の家を見に行ってみた。外壁の色はマッチしてるといいな、直感で選んだ壁紙は変じゃないといいけど、と思って家に入る。一通りぐるりと見終わって、家をあとにした。
リフォーム前の賃貸シフトを考えていた頃から、もう時間が経っていて、色々妄想してしまっているということもあるんだと思うし、そもそも、これがマイホームというものが持つ威力なのかもしれない。
リフォーム中のわが家を見て、自分でも驚くけど、出来るだけ長くこの家に住みたいという気持ちが芽生えちゃっている。あれだけ合理的な賃貸シフトについて熟考したのに。
シロウトがどれだけ考えてもきっと後悔は残るから、と直感で決めた洗面所はもうこれ以上はないってくらいに見えたし、前の家主さんの趣味が反映された木目の壁と、わたしが決めた新しい壁紙のマッチングも素敵だった。きっと、出来上がったわが家見てしまったら、住んでしまったら、もう合理的な選択はどこへやらなんだろうな。
家造りって難しい。
引っ越しが楽しみ過ぎて、今週末は荷造りがはかどりそうな予感。