死が身近になった夜
入院中のコルメです。
胆嚢付近の痛みで2週間程入院しています。
今回、胆管の入り口、乳頭と言われる場所が機能不全の可能性が高いということで、乳頭切開術という内視鏡を用いる手術を受ける事になった。
前日に説明を受けたところ、
手術の中でもかなりリスクの高いものだと知らされた。
そして、去年脳の動脈瘤の手術をしているため、
私は血液サラサラの薬を飲み続け無くてはならない身体になっていた。
その為、手術には他の人より更にリスクを伴うと聞かされた。
出血が止まらなくなる人が10%くらいいると。
その時の同意書。
「手術による合併症、死亡リスクは一般よりも高い」にチェックが着いた。
頭を巡ったのはまだ5歳になったばかりの娘のことだ。
私は未婚シングルマザー、
母親も15年前に死別している。
私が死んだら娘はどうなるのか?
考えただけで気が狂いそうだった。
昨日までは幸い、姉が泊まり込みで見てくれていたが、
姉には姉の家庭があるためそれももう出来なくなった。
娘の預け先、今後について死ぬほど考え、死ぬほど泣いた。
弁護士さんにも電話し、退院したら遺言書を作る予定だった。
シッターさんや友人、出来る限りお願いして、手配をして手術に挑んだ。
手術自体は成功とのことで、翌々日退院できる…はずだった。
手術翌日の夕方、便が赤いような気がして、看護師さんを呼んだ。
写真を撮り、お医者さんが見たところ
「このくらいなら心配ないと思います」
とのことで、翌日退院の準備をしていた。
が、その日の夜、何度もトイレに行くことになる。
そして、明らかに夕方より「血」の色が濃く見える。
夜中に看護師さんが見て
「これは、下血ですね」
と。
あれ、大丈夫じゃなかったんだっけ?
と思いつつも、知らずに酷い貧血になっていて、
顔は真っ青、血圧は上が80位に下がっていた。
夜中に当直の先生が来て、血液検査に、造影剤を使ってのCT検査。輸血の準備。
薄れる意識。
久々に頭に死がよぎった。
意識が朦朧としていて、思っていたより深く考えられない。
「このまま死んだら私後悔するかな」
なんてぼんやり思った。
朝担当の先生が来て、告げられた。
「残念ながら、手術した部分から出血です。
これは受け入れるしかない。
10人に1人の1人に入ってしまいました。」
そして初めて身内が呼ばれた。
娘を見てくれている姉一家だ。
とにかく娘をどうするか、
話はそこに尽きた。
先生のお話だと、6月2日に退院できるのではないか、との事だったので、その日まで娘を見てくれる人の話し合いをした。
そして、今日の朝再び下血してしまった。
予定通りの退院も難しくなってきた。
これ以上、私も頼れる人がいない。
私は何度も疑問に思うことがある。
私のように
シングルマザーで、他に子供を見てくれる宛がない人は一体どうしているのか?
私は未婚シングルマザーのため、
父親に預けるという選択肢も、養育費なども無い。
過去に出会ってきた未婚シングルマザーは、
皆お母さんが子供を見てくれている方たちばかりだった。
私は、自分が入院したり身体を壊すたび、
自力でシッターさんを探したり、友人に頼み込んだりするしか無い。
去年から4回も入院していて、
その宛てを探すことに毎回疲弊している。
今回、流石に気弱になり、姉に弱音を送った。
姉は実際に良くやってくれていて、感謝している。
発達障害もありこだわりが強い娘を真面目に見てくれている。
でも、
そこに私への労りはない。
娘を遺して死ぬかもしれない不安は、
家庭を持った姉には分からないのかもしれない。
私は弱音も吐いてはいけないのか。
また、私は経営者でもあるので、急な入院で、お客さまをお待たせしてしまっている仕事も沢山溜まっている。
その責任も抱えながら生きている。
専業主婦の姉とはあまりに状況が違いすぎる。
理解できなくて当然なのかもしれない。
でも他の未婚シングルマザーの気持ちも代表して、敢えて言う。
未婚シングルマザーに対して、世間は冷たい。
でも、私たちにだって辛いことや限界はある。
「誰か助けて…」って叫びたい時は沢山ある。
普通のシングルマザー(離婚、又は死別)より、未婚シングルマザーの方が国からの補償が少ないことすらあまり知られていない。
私は娘が好きだ、仕事も好きだ。
でも
今回のように1人親が病気で倒れどうにもならない時、助けてくれるような制度がこの国には無いのだ。
姉が言うように、
自分に何かあったら、里子に出すしかないのかもしれない。
でも、自分が生きている限りはなんとかしたいのだ。
今回私の入院にあたり、姉含め、友人やシッターさんに沢山ご迷惑をお掛けしてしまっている。
死にたくない。
娘を遺して死ねない。
未婚シングルマザーの状況の一例として、
少しでも世間に広まって欲しいと思う。
コルメこと坂本みゆき
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