パン屋がナースやってます。(いつも、迷い考え続けていることについて)
私が働いている訪問看護という仕事は
5割くらいガンの末期の方や
難病の方をみている。
いわゆる終末期のケア、
ターミナルケアをしている。
ガンの診断を受け
多くの方が化学療法、手術、
放射線治療を行う。
原発部位や深度、転移状況などで
治療効果や予後が変わる
ガン診断を受けてから
十年以上過ごされてる方もいれば
診断を受け、旅立ちまでの猶予が
ない方もいる
病院での治療をやり尽くし
治療効果が得られない
これ以上の治療ができない
治療に耐えうる体力がない
(検査データが改善されない)
など、
病院でできうることがなくなる
そうなると、
大きな病院では長期の入院が
できないため、
在宅に戻るか
施設に入るか
転院するかの選択を迫られる
訪看をしていて
いつも介入が難しいな、と思う
ターミナルケアでのことがある
病院から主治医に今後の選択を聞かれ
もうこれ以上の治療は望みません
最後は住み慣れた家で
家族とゆっくり過ごしたいと
選択された方は
ガンの末期を専門とした往診医がつく
そして訪看がつく
ヘルパーや訪問入浴、福祉用具が
大抵必要となるのでケアマネージャーがつく
大体、このチームでお客様をみていく
ガンの末期と記載された
主治医からの指示書があれば
訪看は介護保険でなく、
医療保険で入ることができるので
毎日行くことも
1日何度も行くことも
1回90分で行くこともできる
ここまで、お客様が自分の病状を
受け入れ、
最後まで自宅で過ごしたいと
はっきり意思表示してらもらえると
私たちもベクトルが合い、
がっちり苦痛を取り除く
緩和ケアを行うことができる
退院して在宅に戻ると
ほとんどの方が
表情がよくなり、食欲が増し
活気がでる
在宅の先生は
苦痛の緩和ケアが上手い
状態に合わせて麻薬管理をすると
穏やかにご家族と過ごすことができ
その間にご本人もご家族も
生き切ること、旅立つことを
受け入れることができ
旅立ちの最後に立ち合い、
悲しみはあるが、やりきったという
気持ちで終えることが多い
難しいのは
まだ、治療ができると思い
(言われ、または説明を受けていない)
在宅に戻ってくる場合、
予後も知らされず
帰ってくる場合、
治療を諦めたくない
諦めないことを生きる希望とし
帰ってくる場合、
大きな病院から在宅に戻る場合
これらのケースがある
特に若い方、ガン診断を受けて
間もない方などが多い
病院では退院直前まで
1000〜1500mlの点滴を投与していたり、
何種類もの内服薬をのみながら
退院する
緩和ケアに入ると
最優先順位が苦痛を取り除くになる
痛み、呼吸苦、嘔気、
身の置き所のない強い倦怠感など
を色んな種類や方法で麻薬を使用し
穏やかに過ごせる状態に持っていく
ことができる
内服薬は必要最小限のものだけにする
食べ飲みができなくなるのが
時間の問題となり
口から飲めるうちは負担がかからないよう
量、種類を減らす
今まで症状緩和のために内服していた
症状は状態変化に伴い出なくなるので
内服する必要がなくなったりする
体への負担をなくすことが優先なので
点滴は最小限か止める
体が弱ると体を休めるため眠くなります
内臓を休めるために食欲がなくなります
昔、親が体が弱ると栄養つけなきゃと
食べろ食べろ攻撃しましたが
せっかく内臓休めるために体が
食欲をなくしているのに
栄養のあるものを食べたら
体がたくさん仕事してしまい
逆に負担がかかってしまいます
食べない方が体は楽だし
穏やかに過ごせるものです
弱ってる状態の人に点滴すると
痰を増やしてしまう
腹水や浮腫をふやしてしまうので
体に負担がかかります
予後や病状説明をはっきりされず、
治療を選ぶと
緩和ケアがしっかり行えない
状況になります。
苦痛を取り除く治療は、鎮静がかかり
眠くなります。
しっかりしてたいという思いが強い場合、
緩やかな苦痛緩和しかできず
ずっと苦痛が続き、食べられなかったり
家族とゆっくり過ごせなかったりするのです。
化学療法や放射線治療を
ぎりぎりまでするので
癌により体力が落ちている上に
治療の負担がかかります。
とにかく、ずっと、ものすごく
苦しいのです。
予後をはっきり告げられないので、
突然の旅立ちになることが
ほとんどです。
突然、別れが訪れるため
ご家族はもっと早く聞いておきたかった
もっと優しくすればよかった
もっと話しておけばよかった、、など
ご家族の悲しみと後悔は大きいのです。
私達もいつもとても無念です。
このようなケースはとても多く、
退院後、2週間以内、長くて1ヶ月
で旅立たれることが本当に多いです。
看護師は診断はできません。
治療の指示も出せません。
でも、アセスメントは常にします。
治療内容も考えます。
そうしてもらえるように
医師が診断できるような情報を集めて
治療、指示が出るように
情報提供します。
今、どういう状況で、
予後はどれくらいなどの説明は
医師しかできません。
医師がしてないのに
看護師がいうことはできないのです。
でも、決めるのはご本人やご家族です。
選択に寄り添うしかありません。
ただ、このようなケースが続くと
考えてしまいます。
医師が話していなくても、
タイミングを図って
関係性を作りながら
個人の見解として
色んな方を看てきて
自分の家族ならどうするか
など話す場合も出て来てます。
これについてはいつも話し合いますが、
この前、所長と話しながら
癌の診断を受けたと同時に
外科や内科の急性期の治療医が
関わるだけでなく
全員に緩和ケアの治療医がつけば
いいのにという話になりました。
各科、病院、在宅など役割が
違います。
在宅を知らない急性期の治療医に
急性期医療の外の治療の説明は
難しいかもしれません。
緩和の医師が入ると
自分はいよいよ死ぬのかと落胆
するでしょう。
でも、初めから両方に診てもらってれば
それぞれの役割でフォローができ、
適切なタイミングと治療が
はかれると思うのです。
ただ、これには時間がかかるし
必要性を感じてる医療者も
少ないでしょう。
そう思うと、
まずは自分の現場で
時にはご本人やご家族と
真剣に、本気で話していかなきゃ
いけないなと思い、
少しずつ始めているところなのです。
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