真夜中
大人になって幾分の時が過ぎ、
体力に自信がなくなってきてから
夜更かしをすることはなくなった
それでもたまに
家族みんなで夏の夜空の天体観測に出かけたときや、
仲のよい友人たちとの飲み会の後に食べた
ファミレスのパフェの美味しさは
特別なきらめきを持って
記憶を彩ってくれている
遠い子どもの頃の
夜道を歩く心細さや、
精霊流しが終わったあとの
道々に散らかった爆竹
闇夜に切り取られた情景に
その頃の想いが重なる
これからずっと先、
年老いてから思い返すのは
子どもが幼かった頃に
毎年、家族と一緒に
大晦日に除夜の鐘をつきにいったこと
だろうか
真夜中は人の思いを
あらわにして
妖しく鮮烈で大切な記憶として
刻んでいく