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静かに漂う不安の理由

寒さが強まってきて冬の訪れを感じると、少し安堵する。
毎年、暑さは過ぎ去ったけど芯から凍えるほどでもない季節の間、気分の落ち込みが激しい。
歩いている自分の様子がおかしく見えていないかとか、周囲の人たちから何か否定的な評価をされているのではないかとか、そういう被害妄想じみた不安感。
陸橋が崩れて下敷きにならないかなとか、空き巣や通り魔と鉢合わせしたらすべて任せようとか、目の前の適当な電車に乗って遠くへ行きたい、けどどこに?とか、くだらない妄想が進む。
呼吸が浅く短くなっていることに気づいて、静かに修正する。
生きたいとも死にたいとも積極的に思ってはいないけれど、この季節にはその天秤も少し傾く。
過去の言行への後悔とか、昔言われたこと、されたことを思い出してまた同じようなことを繰り返してしまったらと僅かに怯える気持ちもある。

昔、同じような季節に境遇の変化が多かったことが原因だろうと思っている。
そして、本当はその季節に起きたのではないかもしれないことも、『苦い記憶』として集約され、のしかかってくるようになってしまった。
この季節は嫌いではないけれど、檻のようで少し苦しい。

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呼吸と巣
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