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仕事の流儀#04 ワークプレイス事業 営業職 【 長田 寛文】

文具メーカー、空間設計の老舗企業として100年の歴史を持つコクヨは今、次の100年を目指して、大きな変革を起こそうとしています。

人々の創造性の解放へ挑戦を続けてきたコクヨがこれからの時代で目指すのは、「一人ひとりの価値観が尊重され、​社会や人とのつながりも​大切にされる自律協働社会​」を創ること。

本企画、「仕事の流儀」では、そんな自律協働社会を創るコクヨの様々な職種のメンバーにインタビューを行い、これまでの挑戦や経験の中から生まれた未来を創るための仕事の流儀を明らかにしていきます。

第4回ではワークプレイス事業から営業職の長田さんにご登場いただきお話をお伺いしました。

長田 寛文(ながた ひろふみ)ワークプレイス事業 営業職
2009年にコクヨへ入社し、新卒採用担当として事務系、技術系の採用活動に従事。入社6年目からワークプレイス事業に営業職として異動し、大手金融系企業を中心に顧客の課題解決に奔走。
2022年には社内の労務改善プロジェクトへの参画などを通じてさらに仕事の幅を広げながら、現在はワークプレイス事業のグループリーダーとして後進の育成にも注力している。

採用活動を通じて垣間見たビジネスの世界

ーー長田さんはワークプレイス事業の営業職に異動される前は、人事部で新卒採用をご担当されていたとのことですが、当時はどのようなお仕事をされていたのでしょうか。

長田さん:新卒採用の仕事では1-2年目は事務系職種、3-5年目は技術系職種を担当していました。採用活動は各事業メンバーとの連携を取る機会も多く、会社の理念を咀嚼したり、各事業の理解を深める機会に恵まれながら仕事をしていましたね。

ーー当時の採用活動では、今とは違った取り組みをされていたともお聞きしましたが、どのような内容なのでしょうか?

長田さん:「ジョブスタディ」という「人事担当者が本音で語る」をコンセプトにした合同説明会をコクヨ採用チームが幹事企業として事務局運営まで行っていました。よくある人材・就活サービスを運営している企業が主催する合同説明会とは異なり、30~40社の想いある人事担当者が集まって手作りで開催するのですが、想いに共感し出展して頂ける企業を探し、出展費用を頂戴する営業的な動きから、合同説明会の会場選定/設計(ブース装飾や導線設計)、集客、内定者の学生にアルバイトとして協力してもらいながらの当日運営まで、全て自分たちで行なっていたんです。

ーー想像するだけで大変そうだと感じますし、かなりチャレンジングな取り組みだなという印象ですが、ご自身としては学びの多い機会になったのでしょうか?

長田さん:今思えば入社して早々、二足の草鞋で仕事をしていたようなものだったので(今でいうと20%チャレンジや副業的な感覚かもしれません)、単純に忙しかったですし、責任感に押しつぶされそうなことも多かったですが、非常に多くの学びがありました。

「ジョブスタディ」全体として世の中に価値提供できるよう、30~40社の経験豊富な人事担当者と議論を重ねて作り上げていく側面と、自社を含めた参画企業各社にとってメリットある活動にしなければならない側面がありましたので、様々な視点で目の前にある仕事に取組む経験を積めたことが大きかったです。こんなチャレンジングな取り組みが出来ることにコクヨという会社の度量の広さを感じましたし、営業職につながっているという面では、採用という現場にいながら営業的な動きをする機会を得られていたことと、合同説明会の会場もいわば一つの空間なので、空間構築という領域の一端に触れるような体験でもあったかなと感じていますね。

営業への異動。苦しみを抱えた5年間

ーー新卒採用担当を経て、6年目の途中からワークプレイス事業に営業職としてご異動されていますが、営業職として働き出した当時の率直な感想を教えてください。

長田さん:8年たった今は、日々の業務に難しさを感じつつも、それを楽しめるというか、全てが未来の自分につながっていると解釈出来ますし前向きに取り組めているのですが、異動してから5年間は、ずっと”苦しかった”ですね。

ーーまさかの感想で驚きですが、どんな意味で苦しかったのか教えていただけますか…?

長田さん:5年間って長いですよね、あくまで私個人の感覚ですよ(笑)。間違って伝わってほしくないので言いますと、決して営業としての仕事が楽しくなかったわけではないし、やりがいや喜びを感じる瞬間もたくさんありました。

ただ、新卒採用担当時代にイメージしていた自分が理想とするコクヨの営業職像に近づく道のりが予想以上に難しかったというのが、”ずっと”苦しかった”という想いの背景にあります。
コクヨのワークプレイス営業の本質的な価値は、クライアント企業で働く社員の方々の「働き方」にアプローチし、人の創造性を解放したり人生の充実度を高めていくことです。そのために、①クライアント企業のありたい姿「働き方を提案(コンサルティング)」し、②その実現のために「必要な空間を設計する」、③そしてその空間を構築する「オフィス家具や間仕切を中心とした製品・サービスを提供する」というのが理想の営業職のイメージだと思っているのですが、この理想を体現するには2つの難しさがあるんです。

まず一つ目は、如何に①の「働き方を提案する」という上流の工程に食い込んでいくかということです。営業をしていく中で、相対する全てのクライアントが最初からコクヨに「働き方提案」を求めているわけではありませんし、最初から経営層と会話ができる機会に恵まれるわけではないんです。
実際に下流の工程である「オフィス家具の納品」だけを求められる場合がたくさんある中で、どうやってこの「点のオーダー」から信頼を勝ち取りつつ、コクヨの価値を認めて頂きながら上流に登って「線や面を作っていく」か、常に大局的な視点を持ちながらも、現場でブレずに価値を提供する、そんな道のりを一歩ずつ進んでいく必要があります。

二つ目はメーカー営業の側面として、ワークプレイス事業における利益の源泉を如何に確保するかということです。僕らはクライアントの「働き方」からアプローチしていますが、その実現プロセスの中で必ずコクヨの価値を認めて頂き、価値に見合った利益を獲得していかなければなりません。コンサルティングや設計提案に目が行きがちですが、メーカーとして基盤にしているオフィス家具や間仕切りを購入して頂くまで、社内外の関係者に対する泥臭い部分も含めた営業一人一人の言動が利益確保の重要なポイントになってきます。
 
このように、幅広い視点に立って、その時々で自分のポジションを的確に捉え、クライアント企業への価値提供と自社の利益確保を両立させる動きをするというのが、なかなかすぐにできるようにはならず、悩むことがたくさんありましたが、振り返ってみると必要な悩みだったんだと理解できますし、数々の失敗を含め無駄なことは一つもなかったと感じています。
また、苦しい場面でほんとに周りの人に支えてもらえた感覚があるので、一緒に働く仲間にも感謝の想いが強いです。

五里霧中の日々を、暗中模索し続ける

ーー自分の理想とのギャップに悩み、もがき続けるということが成長には不可欠という部分はあるかと思うのですが、それでも苦しみから逃げたくなったことはないのでしょうか…?

長田さん:一度だけ、逃げました。営業に異動して3年目の時に1つだけ転職の面接を受けに行ったんですよ。ただ、ここである種の失敗経験というか自分の甘さに気づけたことが大きくて、ワークプレイス営業という仕事の面白みや、成長環境としてのポテンシャルに気づくことのきっかけになっていたなと思っています。

ーー長田さんがどんな企業の面接を受けたのか、その失敗経験も気になるところですが、それはまた別の機会ということで(笑)。ご自身の中で悩みながら走ってきた長いトンネルを抜け出すきっかけになるようなプロジェクトなどあったのでしょうか?

長田さん:担当している金融系クライアントのプロジェクトに携われたことが大きなきっかけになっていると思います。私が担当した当初から中期経営計画のなかで数十億円の予算をかけて全国の支店オフィスを新たな仕様にリニューアルするという大きな舵を切られたクライアントだったのですが、コクヨでも「空間構築」の領域を軸にしながら、フリーアドレスにも対応出来るオフィス空間の提案など「働き方提案」の領域まで一部踏み込んだプロジェクトとして今も取り組んでいます。

中でも、昨年完遂したオフィス統合移転案件は自分の中で自信になったと感じています。
とにかく案件全体としてコクヨが関与する幅が広く、関係者も多い中、その時々の状況と相手の立場、自分の立場を理解しながら柔軟に対応することが求められました。社内のプロジェクトメンバーとも密にコミュニケーションをとって、提供する価値とクオリティをぶらさないように自分の役割を常に意識して取り組めたことが自信につながりましたね。

コクヨのワークプレイス事業における営業、課題解決提案は果てしない道のりでどこまで行っても理想とのギャップが生まれる、という感覚を今でも持っていますが、このプロジェクトを通じて「ここまではできた」、「この範囲は自分でやり切った」、「そしてそれはなぜできたのか」がスッと自分の中で腹落ちした気がして、理想とのギャップを感じても「まだまだ伸びしろしかないな」というポジティブな感覚に変換された感じです。
 
もちろんこのプロジェクトに取り組む前も「働き方提案のコンサル」をメインとした案件に携わった経験もありますが、このプロジェクトで上流から下流までを一気通貫で体感したことで、前段でお話させて頂いたワークプレイス営業の仕事の難しさ、面白さを言語化できるようになったことも含め、クライアントの方々が経営視点と現場視点で見ている景色の違いや抱えている背景(ミッションや期待値)、それを叶えるために越えなければならない壁、巻き込まなければいけない人などがクリアに繋がってイメージ出来るようになってきました。

「人」を知り、「自分」をわかってもらい、同じベクトルに向けて winwin で動ける道筋を立てる

ーーこれまでの8年間の営業経験、昨年の大型案件の完遂などを通じて多くの学びを経てきた中で、ご自身として確立された営業スタイルや仕事の流儀と言えるものは何か改めて教えて下さい。

長田さん:まずコクヨのワークプレイス営業は経営層から現場レイヤーまで様々な立場の人が抱えている背景(ミッションや期待値など)に対する想像力や理解力、仮説構築力が求められると思います。その中で、私の役割は単純に「ものを売ればいい」、「課題解決のための提案をすればいい」というものではなく、クライアントとコクヨが、クライアントの経営層と各事業・サポート現場が、コクヨ社内外のプロジェクに関わるプレイヤーの方々が同じベクトルに向いてWIN-WINの関係をつくっていけるように全体をプロデュースすることだと捉えています。

もう少し突き詰めると、職種なり仕事なり、何をするにも根本にあるのは「人」なので、「人」を知り、「自分」をわかってもらい、同じベクトルに向けて winwin で動ける道筋を立てようと心掛けることが大事だと考えていて、これが私の仕事の流儀になると思います。

人と向き合うことから逃げずに、成功や失敗に繋がる要因をクリアにしていく

ーーお話を聞いていくとコクヨの営業は他の企業と比べて、担う役割の幅がかなり広いと感じます。現在はグループリーダーとして後進の育成にもご尽力されている長田さんですが、マネジメントとして大切にしていることはありますか?

長田さん:おっしゃる通りコクヨの営業は非常に担う役割の幅が広く、全体像を理解するまでに時間がかかりますし、属人的な要素が差別化になっていることも多くあります。「育成」という観点では、非常に難しい状況だと思うのですが、その中でも如何に再現性高く、且つスピーディーに成長できる育成スキームをつくるかという部分に注力したいと考えています。

ーーコクヨが持続的に成長していく中でハイレベルなパフォーマーを再現性高く育てることは非常に重要ですね。ただ非常に難易度の高いチャレンジではないでしょうか?

長田さん:そうですね。非常に難易度は高いと思います。まだ明確な答えはないのですが、まずはメンバーと完了した案件ごとに全体のフローに落とし込みながら整理・視えるかし、重要or必要だったアクションをメンバーと一緒に一つずつ棚卸して言語化していこうと考えています。昨年、社内の業務改善プロジェクトに参画した際に少しトライしてみたんですが、この作業は非常に時間がかかるんです。教える方も教わる方もストレスがかかる作業だし、特に営業として成果が出ている時は「なんでこんな面倒臭い作業をしなきゃいけないんだ」と感じることもあると思います。

それでも、「人と向き合うことから逃げずに、成功や失敗に繋がる要因をクリアにしていくこと」が重要だと感じたので、この考えをマネジメントとして大切にしながら、頑張っていきたいと思います。



第4回「仕事の流儀」を最後までお読みいただき、ありがとうございます。
コクヨのワークプレイス営業職の役割とはどんな仕事なのか?その答えを8年間の営業キャリアの中で悩み、もがきながらも自分で見つけてきた長田さんだから言える仕事の流儀が見えた今回のインタビュー。

困難や高いハードルに向き合える環境で過ごすこと、その環境を見つめ直し続けることにこそ、キャリアや人生を豊かにする要素が詰まっていると感じさせて頂くことができました。

長田さん、ご協力ありがとうございました!

第4回もたくさんの金言が飛び出した「仕事の流儀」では、引き続きコクヨの様々な職種のメンバーへインタビューを行いながら、コクヨの仕事、人の魅力に迫っていきます。

みなさん、どうぞ次回もお楽しみに!(採用チーム 渡邉)


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