新卒PdMが研修を受けて学んだこと
はじめまして!株式会社GA technologiesに2024年新卒で入社しました国生と申します。
4月1日に入社後、会社全体とプロダクトマネジメント部門の新卒研修を経て、この8月よりRENOSYの投資用不動産の仕入れのプロセスをサポートするプロダクトマネジメントチームに配属されました。
今回の記事では2ヶ月にわたるプロダクト研修の体験談についてまとめてまいります。新卒としてプロダクトマネージャー(以下、PdM)になりたい方や不動産テックに興味がある方にとって有益な情報となれば幸いです!
✏️趣味は筋トレ、入社の決め手は魅力的なメンバー
私は大学院でAIと睡眠に関する研究を行っており、就活では"DX"を軸に活動していました。ITコンサルタントとしてのキャリアを検討していましたが、GA technologiesと出会い、会社の成長ポテンシャルや裁量の大きさ、そして魅力的なメンバーたちに惹かれ、入社を決めました。
趣味は筋トレ、キャンプ、ゲーム、映画鑑賞で、好きなアーティストはMr.ChildrenとTWICEです。社内では筋トレサークルとスマブラサークルに所属しており、仕事以外の場でも他部署の人たちと交流を深めています。
では早速本題に入っていこうと思います!
PdM研修
PdM研修は大きく分けて
IT研修, マーケティング研修, プロジェクト企画研修の
3つの研修で構成されていました。
PdMになるために必要なスキル
PdMを目指すと、必ず出会うのが『謎の三角形』、The Product Management Triangleです。
PdMが責任をもつのはプロダクトの成功です。
この図はそのプロダクトの成功には大きく3つのドメイン(開発💻、ビジネス💼、ユーザー🧍♀️)に関する知識・経験が必要であることを示しています。
今回の研修は、開発とビジネスの基礎知識にフォーカスした内容でした。なお、ユーザーについての知識はプロダクト研修後のOJTで獲得していきます。
①IT基礎研修
IT研修では1ヶ月で以下のことに取り組みました。
ITパスポート受験(2週間)
Ruby on Railsを用いたWebアプリケーション作成(2週間)
SQLを用いたデータ活用(都度)
部分最適と全体最適
ITパスポートの合格を目指し、指定教科書を各自で学習し毎日模試を解きまくりました。
ITパスポートの合格点は60%正解ですが、初日の模試での僕の点数は…
(いや、めっちゃ解けてるやん…)
それもそう。私は大学院時代に応用情報技術者を取得していたため、事前学習せずとも高い正答率になるのは当然でした。そのため、ITパスポートの合格点は簡単にクリアできました。
さて、残りの2週間をどのように過ごそうか悩みました。
このままITパスポート研修を続けるより他の勉強に時間を費やした方がよいのではないか…?
しかし結論として、ITパスポートの学習継続を選択しました。なぜなら、会社がプロダクト研修に求めていたのは、あらかじめ準備しておいた研修内容の実行と成果だったからです。研修対象の個人が自由に動いてしまうと、研修結果を検証することが難しくなります。この研修は一度限りではなく来年度以降の研修改善が前提となっています。個人の成長も大切ですが、それ以上に、組織全体の成長を見据えることが重要です。この経験から、個人の成長が必ずしも組織全体の最適解とは限らないということに気づきました。
「理解した気になっている」という事実に直面
次に取り組んだ研修はRuby on Railsを用いたWebアプリケーション作成でした。
こちらについても私には前提知識や経験があったので、内容の理解にはそれほど時間はかかりませんでしたが、いざ同期や上司から技術的な質問を受けた際にうまく伝えることができないことが多々ありました。この時はじめて、自分が直感的にしか内容を理解していないことに気付きました。ビジネスの現場では、理解していることを他者に正確に伝えるスキルがとても重要です。この研修で正しく理解すること、理解した上で相手に伝わるように言語化する難しさを痛感しました。
「自分は知っているから知識を深める必要はない」と思っているようなことでも、いざやってみると「あれ、なんでだっけ?」とわかった気になっていただけということにハッとさせられることもあるので、自分の「知っている」ことを過信せず、常に疑う精神を持ち続けたいです。
②マーケティング研修
マーケティング研修では1ヶ月で以下のことに取り組みました。
Brand研修(2週間)
Direct研修(2週間)
弊社ではマーケティングは外注せず、すべて自ら企画し配信しています。つまり、広告運用のスペシャリスト😎が自社内にいる訳です。今回、そのような百戦錬磨の方達にメンターに入っていただき、マーケティングについて手取り足取り学ばさせていただきました!
おかげでマーケティングのマの字も知らない僕でしたが、この研修を通してマーケティングにおける考え方や実際の業務に対する解像度がめちゃくちゃ上がりました!📈
Brand広告とDirect広告の違いですが、簡単に言えばユーザーと触れるタイミングが異なります。
Brand広告では認知度やブランドイメージ、購買意向度の向上を目指し、施策を打っていきます。一方Direct広告では、ユーザーが実際に購買に至るための施策を打っていきます。
最大公約数を抽出する
Brand研修ではユーザーインタビューを通してインサイトを抽出し、広告コンセプト文を作成しました。
これは実際に広告作成の前段階で行われており、何人ものユーザーインタビュー(定性調査)を通し、共通するインサイトを探します。
この時のポイントは最大公約数をとること。
Brand広告ではメジャーな媒体を通して、多くのユーザーに広告配信を行うのでコスト💸がかかります。したがって、できるだけ多くの人に刺さる広告を打ちたいわけです。
これは頭の中では分かっていても意外と忘れがちです。例えばある1つのインタビューから斬新で興味深い発見があったとき、それがどのくらい大きな公約数なのかを吟味せず広告に採用したくなります。その結果として、インパクトの小さな広告に終わってしまう。こうならないためにも常に最大公約数をとってくるという意識づけが重要になるということを学びました。
自分ごと化させる
いくつかのボリュームのある公約数(インサイト)を得られたら、広告コンセプト文を考えます。この広告コンセプト文はユーザーが最初に触れる文章であり、ユーザーが自分ごと化できるような簡潔かつ共感を呼ぶメッセージにする必要があります。また、多様な人から見られることを想定し、誰から見ても解釈が一致するような正しい表現方法にも気を遣う必要があります。
こうして私がユーザーインタビューを通して、得られたインサイトから作成した広告コンセプト文の一例はこちらになります。
広告コンセプト文の構成は、①ターゲットを自分ごと化させるメインコピー、②メインコピーに関する自社サービスの価値・メリット、③価値・メリットの理由(RTB)となっています。
この研修を通して、Brand広告における考え方や業務についての理解を深めることができました!
予算50万円割いてもらった話
Direct研修ではWeb広告運用を実際に体験させていただきました!
Direct広告研修では、一人当たり50万円/5日の予算をもらい、実際のWeb広告運用を体験しました。1日あたり10万円を使う緊張感はありましたが、実際の業務を通じて広告の仕組みを深く理解できました。
Direct広告部門ではコストあたりのCV数を最大化させるために日々しのぎを削っています。その中で、マーケティング未経験の新卒が予算をもらうということは、大抵その実績を悪化させてしまうでしょう。
そういった痛みを飲み込んででも新卒に体験の機会をくださったことに対し非常に感謝しております。
お医者さんになる
媒体にもよりますが、基本的なWeb広告運用では大きく3つの設定項目があります。
ターゲティング
ユーザーの属性情報(年齢, 年収, 性別, …)や興味情報(車, 旅行, 投資, …)から広告を配信するターゲットを指定します。他にもオーディエンスデータという個人を特定しない過去顧客の行動データを媒体に与えることでターゲットを絞り込む方法もあります。入札設定
広告オークションにおける入札価格を設定します。目標となるCPA(Cost per Acquisition)から、入札単価をCPM(インプレッション単価)またはCPC(クリック単価)より設定します。最近では機械学習により自動入札をする戦略も選択することができます。クリエイティブ選定
クリエイティブ(画像や動画のこと)のフォーマット、選定、配信面の設定を行います。フォーマットは動画なのか画像なのか、配信面はどの画面にするのか、遷移先のLPはどこにするのか、クリエイティブはどのような内容にするか等々、様々な選択肢の組み合わせを吟味します。
Web広告運用では毎分毎秒配信実績が更新されます。そのため、常に数字に追われる感覚があり、運用期間中は家に帰ってからも管理画面の数字をひたすら眺める日々を過ごしていました笑
また出てくる数字は、どのくらい広告表示されたかを表すインプレッション、広告がクリックされた回数、お問い合わせ数を表すコンバージョン数、そして現在使われた予算などたくさんあります。
Web広告運用では常に出てくる大量の数字を元に、課題がターゲティングなのか入札設定なのかクリエイティブ選定なのかをお医者さんの問診のように診断し、適切な処置を施すことが求められます。
例えば、CV数が想定より低い場合それはどこの設定がボトルネックとなり、パフォーマンスの低下を招いているのかを探り当て、改善をしなければなりません。
そのように日々の中で恒常的にPDCAを回しながら勝ちパターンを探っていくことがDirect広告運用では重要になってきます。
勝ちパターンは続かない
ターゲットは人間なので一度勝てたパターンも繰り返すと飽きられます。そのため、常に新しい勝ちパターンを模索し続ける必要があり、その中でも共通して得られる共通項が本当の勝ちパターンなのではないでしょうか。
③模擬プロジェクト起案
最後に取り組んだのは模擬プロジェクト起案でした。5日間をかけて、課題の特定からテックを用いた打ち手の提案までを実行します。
渡されたお題はこちら。
うんうん( ^^)
………………………( ^^ )
……………………え?
それだけ?
ランチ課題ってなに?^^
渡された情報はこのお題と、アウトプットに含める要件だけでした…
しかし、これも狙いがあったことが後々わかりました。
実際に現場ではこのように超ざっくりした依頼や相談が飛んでくることがあり、こうした問題を短期間で解く経験を積むことが狙いでした。
とはいえこのお題に対し、どう取り組もうか悩みました。
今新卒の自分が持ち合わせるPdM関連の武器なんてないよ…ドウシヨ…
こうなったらこれまで休日を使って読んできたPdM本達に書かれていたことを見よう見まねでやるしかねえ!🔥🔥🔥✊😡😡✊🔥🔥🔥
といった具合で、手探りの中プロジェクトの行動方針を練っていきました笑
前提・目的の確認
まず、現状の課題を解決することによってなにを実現したいのか、このプロジェクトのゴールはどこかを設定し、そこから逆算的に必要な観点を分解し、各観点の理想と現状のGAPから課題を抽出し、打ち手を採用する。そのような考えで取り組もうと考えました。また、課題の特定という前工程が間違っていると取り返しがつかない損失になるため、打ち手の確からしさよりも課題の確からしさに8割くらいの時間を使おうと決めました。
今回のプロジェクトゴールは「従業員のランチ体験の向上を通して従業員満足度を上げること」に設定しました。ゴールを決めることの利点は2つあると思います。
逆算思考で必要なアクションがわかる
誤った方向性に進んでいる時に軌道修正ができる(アンカーになる)
直感を得る
次にどのように必要な観点をMECEに分解していこうかと考えたとき、ランチ体験とはそもそもなんぞやという壁に当たりました。そこでまずは数人の方とフランクにランチの取り方や現状抱えている課題やランチに求めることなどを1on1を通してヒアリングしていきました。
そうすると美味しいご飯を食べる、安く済ませる、健康に気を遣う、誰かとコミュニケーションをとる…などさまざまなランチ体験の向上に関係ありそうな観点が見えてきました。これらを踏まえ、ランチ体験を以下のように分解しました。
さらにヒアリングを通して思ったことは
”人によってランチに求めることって違う…”
例えば、ある人は1日におけるランチの重要性は高く、毎回外で美味しいランチを食べることが楽しみと言っていますが、また別の人はランチでは節約をするため弁当を持参していました。
また、ある人は健康的なものを食べたいため社外のコンビニに出向いてでもサラダチキンを買いに行きますが、またある人は時間がもったいないのでインスタント食品をとります。
全ての人が美味しくて、値段が安くて、手軽に食べれて、健康にも良くて…そんな魔法のようなランチをとりたいに決まっています。
しかし、現実には各々が何を犠牲にし何を優先するかを天秤にかけ、結果としてわざわざコンビニに行ったり、値段が張っても美味しい外食に出向いたりしている訳です。なので、めちゃくちゃ美味しい弁当を提供するという打ち手が嬉しい人もいれば、そこまで嬉しくない人もいることになり、打ち手の効果が人それぞれになってしまうということに気付きました。
一見、確からしい打ち手も実は特定のボリュームにしか刺さらないということがあると学びました。
であれば、ランチの取り方別のボリュームを調査し、ポテンシャルのあるボリューム層に対し、彼ら特有の志向性に沿った課題と打ち手を提供することが最もインパクトがあるのではないかと仮説が得られました。
そこで仮説を検証するべく、全社員に対してアンケート調査を実施しました。
直感の確からしさを検証する
多くの方にアンケート調査へご協力いただき、181サンプルも得られることができました。みなさん、新卒に優しいです。
アンケート結果から多くのインサイトが得られました!
まず最初に前提としてあった、ランチにおいて重要視することはランチの取り方の違いに現れるといった仮説は正しかったことがわかりました。これは直感的には当然そうだろうと言う話(外にランチに行く人はコンビニに行く人より味を重視しているなど)ですが、それを定量的に示せるデータを得られて初めてそれは説得力のある事実となります。
私個人の意見としては、直感的に正しいと思われることは結構合っている感覚がありますが、会社のようなチームでビジネスを創っていくときに「直感的にこれは正しいと思われます。」と言って、誰が納得するでしょうか笑
PdMはプロジェクトを推進していく立場にあります。その際にファクトベースの説明を心がけることが非常に重要なのだと思います。
しかし、自身の直感やひらめきには多くのヒントが詰まっているとも思います。直感を大切にしつつも、なぜそれが正しいのかを突き詰める柔軟さがPdM、ないしは企画する側の人には必要なんだと感じました。
ボトルネック(解くべき課題)の特定
こうして得られたランチの現状から、ボトルネックを探します。
ボトルネックの見つけ方は想定インパクトと実行難易度から決定します。
「解決することでインパクトが大きいかつ実行難易度は低い」課題が理想的な課題になります。
今回のプロジェクトでは、ランチ時に外出する人のボリュームが非常に大きいかつ、移動時間の削減効果が非常に大きいので、「外出する人の移動時間の削減」を課題にしました。実行難易度はそれほど低くはないですが、インパクトがそれに勝るほど大きいです。
最後に特定した解くべき課題に対し、打ち手を考えるのですがこれには苦戦しました。課題の特定にあまりに多くの時間を費やしたため、打ち手を検証する時間をつくることができませんでした…
企画プレゼンでも打ち手の薄さについて、難色を示され苦い経験となりました。ああ、こうして、プロジェクトは納期通りに進まないんだなあ、、、と痛感させられました。
どのような打ち手を提案したのかはトップシークレットとさせていただきます。決して、打ち手の出来があまりにひどいからではないです!😇
おわりに
今回は新卒PdM研修の体験記を通して、得られた学びをシェアさせていただきました。
最後に「RENOSYにおけるPdMという職種の魅力はなに?」という問いに対し、部署配属3ヶ月目ではありますが私の考えを書いて終えようと思います。
経営、事業部、テクノロジー方面ともガッツリ関われる
事業を大きくしていく楽しさを味わえる
若手が活躍・成長できる環境
まず、そもそも新卒からPdMを育成する会社は日本では少ないです。PdMとして入社できること自体が大きな魅力ではありますが、その中でもこの会社だからこその魅力はあります。
PdMは多くのステークホルダーとの合意形成を図り、プロジェクトを実行させなければなりません。そのため、営業の現場の方やマーケティング部門の方、事業部マネージャー、開発エンジニアの方など幅広い方と関わることができます。
弊社は変化が激しいです。先月、新しい事業が発表されたと思いきや突然今月、有名企業とのM&Aが発表されるといった具合です。
この目まぐるしい変化スピードは滅多に味わえないと思います。日々、会社および事業フェーズが変わっていくのを実感できるのはベンチャーならではであり、私自身大きなモチベーションとなっています。
弊社では、新卒入社してから異例の速度で重要なポジションを任されている事例が数多くあります。組織が拡大フェーズということもあり、若くても結果を出している社員にはどんどん重要な仕事を任せる文化があります。若いうちから裁量を持って働きたい方にはぴったりな職場だと思います!
私自身まだまだ未熟ではありますが、少しずつ自身のできる範囲を広げていきたいと思います!
もし興味を持たれた方がいましたら、お気軽にお問い合わせいただければと思います!