国書刊行会

東都西北、様々な意味において辺疆に位置する特殊版元です。新刊・近刊について編集・営業担当者が綴ります。

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最近の記事

喜志哲雄『ミュージカル映画が《最高》であった頃』若島正による解説全文公開!

好評発売中、喜志哲雄『ミュージカル映画が《最高》であった頃』の若島正さんによる解説「喜志哲雄の体験的ミュージカル映画論」を全文公開いたします。喜志哲雄によるミュージカル論の特徴とは? ジュディ・ガーランド伝説の1961年カーネギーホール・コンサートを体験していた喜志哲雄とは一体何者なのか?  解説 喜志哲雄の体験的ミュージカル映画論 若島 正      本書は、著者である喜志哲雄が二〇〇六年に晶文社から出した『ミュージカルが《最高》であった頃』の姉妹篇である。この二冊によ

    • 【空前絶後のチャレンジング企画】『宝と夢と幻と ソロモンの秘宝を追いつづけた男、宮中要春の残影』を刊行します!

      こんにちは。国書刊行会編集部の(卵)です。 突然ですが、国書刊行会史上でも空前絶後のチャレンジング企画がついに日の目を見ました! 『宝と夢と幻と ソロモンの秘宝を追いつづけた男、宮中要春の残影』が刊行されたのです!! 剣山に眠るソロモンの秘宝探求レジェンドと称えられる、あの宮中要春(みやなかとしはる)氏の活動の全貌を明らかにした、衝撃の本が完成したのです……。 ――といっても、「いったいなんのこっちゃ」と思う人も多いことでしょう。 そこで、同書の内容について、やや回り道も

      • 【話題沸騰の大著】『物語要素事典』とはなにか?

        いわゆる《奇書・鈍器本》製造を連綿と続ける小社のラインナップのなかでも間違いなく最重量級といえる一冊、『物語要素事典』(神山重彦著)。B5判・4段組・1368頁――あまりに規格外な存在感により先日の発表後はSNSで話題沸騰となった本書は、いよいよ2024年10月末に刊行予定です。 本記事では『物語要素事典』の担当編集者(河)が、本書の魔性の魅力を以下熱く紹介します。 【★本書の詳細パンフレットは小社Webページよりダウンロードいただけます】 物語要素事典とはなにか——智識の

        • 【刊行記念】『ビロードの耳あて イーディス・ウォートン綺譚集』収録作品解説

          9月25日刊行の『ビロードの耳あて イーディス・ウォートン綺譚集』(イーディス・ウォートン著/中野善夫訳)の中野善夫さんによる各収録作品の解説を、刊行記念としてここに公開致します。 本解説は書籍巻末「訳者あとがき」にも収録されていますので、刊行後は読後の読解の一助に書籍にて再読いただければと存じます。 あとがきからは、以下の一文も引いておきましょう。 中野さんの編まれた、ヴァラエティに富んだウォートンの綺譚集。ぜひお楽しみください。 それでは、各作品の解説です。 * 

        • 喜志哲雄『ミュージカル映画が《最高》であった頃』若島正による解説全文公開!

        • 【空前絶後のチャレンジング企画】『宝と夢と幻と ソロモンの秘宝を追いつづけた男、宮中要春の残影』を刊行します!

        • 【話題沸騰の大著】『物語要素事典』とはなにか?

        • 【刊行記念】『ビロードの耳あて イーディス・ウォートン綺譚集』収録作品解説

          【刊行カウントダウン】リー・マッキンタイア『エビデンスを嫌う人たち』解説全文公開!

          2024年5月刊行予定、リー・マッキンタイア『エビデンスを嫌う人たち――科学否定論者は何を考え、どう説得できるのか?』(西尾義人訳)の刊行カウントダウンとして、いち早く内容をお届け、解説全文を公開いたします! その前に、簡単に本書のご説明を―― 地球平面説、気候変動否定、コロナ否定、反ワクチン、反GMO、そして陰謀論。 科学的証拠(エビデンス)があっても、それを真実とは認めない人々は分断を生んでいます。 彼らはなぜ荒唐無稽な物語を信じてしまうのでしょう?  その謎をさぐる

          【刊行カウントダウン】リー・マッキンタイア『エビデンスを嫌う人たち』解説全文公開!

          【圧巻20000字】奇書好き必見『教皇ハドリアヌス七世』訳者あとがき公開!

          「冴えない中年作家がある日突然教皇になって宗教改革を始める」。そんな「なろう小説」のような内容が話題の奇書『教皇ハドリアヌス七世』(コルヴォー男爵/フレデリック・ロルフ)の刊行を記念して、大野露井さんによる「訳者あとがき」を公開します。 奇人作家「コルヴォー男爵」とは、どのような生涯を送った人物だったのか? 『教皇ハドリアヌス七世』とは、いったいどのような内容の「奇書」なのか? あとがきのボリュームは、圧巻の約20000字。 またとない大盤振る舞いの機会ですので、ぜひ本書購

          【圧巻20000字】奇書好き必見『教皇ハドリアヌス七世』訳者あとがき公開!

          【話題書】川端裕人さん『ドードー鳥と孤独鳥』装幀制作小話

          新刊の川端裕人さん著『ドードー鳥と孤独鳥』は、科学記者「タマキ」とゲノム研究者「ケイナ」の幼馴染ふたりが、かつて江戸時代の日本に来ていた絶滅鳥「ドードー鳥」の足跡と謎を追う長編小説。 ノンフィクションのような味わいの科学小説でもあり、謎を追った先に驚きの結末が待つミステリでもあり、ジュブナイル、あるいはお仕事小説のような主人公たちの成長物語でもある、多面的で豊かな味わいをもつ本作は、おかげさまで話題を呼び、さまざまな雑誌・webメディア・動画サイトで取り上げられ、多くの読者の

          【話題書】川端裕人さん『ドードー鳥と孤独鳥』装幀制作小話

          【100年前の「なろう小説」⁉】伝説的奇書『教皇ハドリアヌス七世』がついに邦訳!

          編集部(昂)です。 鈍器・奇書製造に定評ある弊社から、またしても恐るべき奇書が刊行されました。 その名は『教皇ハドリアヌス七世』。 この奇妙な題名の小説の作者は、「コルヴォー男爵」というこれまた奇妙で怪しげな名の人物。 『教皇ハドリアヌス七世』とはいかなる書物なのか? 「コルヴォー男爵」とは果たしていったい何者なのか? そして、「100年前のなろう小説」とは一体どういうことなのか? これより、100年の時を経て令和に翻訳召喚された恐るべき奇書の正体と、その秘密を明かします

          【100年前の「なろう小説」⁉】伝説的奇書『教皇ハドリアヌス七世』がついに邦訳!

          『吉田健一に就て』刊行記念・「序文」「あとがき」公開

          2023年10月、『吉田健一に就て』(川本直/樫原辰郎/武田将明 編)が刊行されました。 19人におよぶ執筆者が、《最後の文士》と言われる吉田健一をさまざまな観点から論じた、550頁を超える破格の本です。 本書の成り立ちおよび各論の特色について書かれた、川本直さんによる「序文」と、本書の読みどころに触れた、武田将明さんの「あとがき」を、ここに全文公開いたします。 序文 川本直  吉田健一(1912~1977)は様々な顔を持つ。英文学、フランス文学、日本文学を自在に往還し

          『吉田健一に就て』刊行記念・「序文」「あとがき」公開

          【スパニッシュ・ホラー文芸】マリアーナ・エンリケス/宮﨑真紀訳『寝煙草の危険』訳者あとがき公開

          このほど現代アルゼンチン文学を代表する作家マリアーナ・エンリケスの第1短篇集『寝煙草の危険』(宮﨑真紀訳)を、エルビラ・ナバロ『兎の島』に続く〈スパニッシュ・ホラー文芸〉第2弾として邦訳刊行しました。幸い、刊行以来好評を博しております。 ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロも「ガーディアン」「ニューヨーク・タイムズ」などの錚々たるメディアで折に触れ絶賛、英訳は2021年度の国際ブッカー賞の最終候補にもなった、世界的にも大いに売れているホラー文芸短編集です。 刊行を記念しまして

          【スパニッシュ・ホラー文芸】マリアーナ・エンリケス/宮﨑真紀訳『寝煙草の危険』訳者あとがき公開

          【新装版『愛』『ロマン』重版記念大公開!】ウラジーミル・ソローキン関連文献リスト

          国書刊行会創業50周年記念として復刊した、ウラジーミル・ソローキン『愛』(亀山郁夫訳)、『ロマン』(望月哲男訳)が、お陰さまでたいへん好評です。 ソローキンは、《現代ロシア文学のモンスター》の異名を持つ通り、「狂気」「異常」といった言葉が似合う、過激で実験的な現代ロシア文学を代表するポストモダン作家。 その初期の代表的な2冊が『愛』と『ロマン』です。 刊行直後から、想定以上の異常な速度で初版在庫が消えてゆき、『愛』はたった3日で、分厚くて重い『ロマン』も1か月弱で完売。

          【新装版『愛』『ロマン』重版記念大公開!】ウラジーミル・ソローキン関連文献リスト

          【新装版『愛』『ロマン』重版記念大公開!】『ロマン』新装版訳者あとがき

          国書刊行会創業50周年記念として新装復刊した、ウラジーミル・ソローキン『ロマン』(望月哲男訳)が、『愛』(亀山郁夫訳)に続き重版となりました。 弊社のTwitterでの重版告知文や、『文藝』誌上での川名潤さんによる「装幀評」をご覧になった方はご存じかもしれませんが、本書と『愛』の突飛な装画は、なんとAIによって描かれています(装幀=松本久木)。 この異常装幀の秘密は、いずれどこかで詳しく語りたいと思いますが、まずはこのたびの重版に感謝を申し上げ、訳者望月さんによる、『ロマ

          【新装版『愛』『ロマン』重版記念大公開!】『ロマン』新装版訳者あとがき

          【実際に機能する魔術の教程本『モダンマジック』】其之二 所収「序文」の紹介

          ドナルド・マイケル・クレイグ『モダンマジック』第3版には、1組と3名の魔術師から序文が贈られております。その中からここで一部を抜粋してご紹介するのは、ひとつ目がジョン・マイケル・グリアのもの、ふたつ目がデヴィッド・F・ゴドウィンのもの。 ジョン・マイケル・グリアは「黄金の夜明け」系列の良書を多数出版しております。「アメリカ古代ドルイド団」のドルイド大司教でもあり、2013年には「ドルイド的結社 黄金の夜明け」団も設立しております。 デヴィッド・ゴドウィンは本書で入手を推奨され

          【実際に機能する魔術の教程本『モダンマジック』】其之二 所収「序文」の紹介

          【実際に機能する魔術の教程本『モダンマジック』】其之一 あるいは本物の儀礼魔術師になるための鈍器本

          〈本物の魔術師に、なりたくはないか?〉「Mr.マリックとか、引田天功?」って、それもすごいんだけど、それってMagicって綴るほうの魔術で、いわゆるマジシャンでしょ! 「ハリーポッター?」って、それってファンタジーの魔法のほうだし! そうじゃなくって、Magickって綴る魔術で、アレイスター・クロウリーとか、オースティン・オスマン・スペアとか、ダイアン・フォーチュンとかのやつですよ。 さて、このたび当社から刊行されますドナルド・マイケル・クレイグ著『モダンマジック』。原書は

          【実際に機能する魔術の教程本『モダンマジック』】其之一 あるいは本物の儀礼魔術師になるための鈍器本

          『長距離漫画家の孤独』製作よもやま話

          文=樽本周馬(国書刊行会編集部)   2023年1月22日(日)読売新聞朝刊の書評欄にて辛島デイヴィッドさんによるエイドリアン・トミネ/長澤あかね訳『長距離漫画家の孤独 通常版』の書評が掲載されました。去年4月に刊行された本の書評が今出るのも異例で、大変嬉しいことです。この機会に小社Twitterでポソポソとつぶやいていた本書の製作にまつわる裏話をまとめておきたいと思います。 まずは本書『長距離漫画家の孤独』について改めて簡単に紹介します。 エイドリアン・トミネは1974

          『長距離漫画家の孤独』製作よもやま話

          【スパニッシュ・ホラー文芸】奇妙で鮮烈な迷宮的悪夢を描く短篇集『兎の島』刊行!

          編集部(昂)です。うさぎ、白くてふわふわでとっても可愛い生き物ですよね。 このたび国書刊行会より、〈スパニッシュ・ホラー文芸〉の旗手エルビラ・ナバロによる、11篇の奇妙で鮮烈な短篇を収めた怪奇幻想作品集『兎の島』(宮﨑真紀訳)を刊行します。 川の中洲で共食いを繰り返す異常繁殖した白兎たち、 耳から生えてきた肢に身体を乗っ取られた作家、 レストランで供される怪しい肉料理と太古の絶滅動物の目撃譚、 死んだ母親から届いたフェイスブックの友達申請…… 現代文芸やホラー、あるいは

          【スパニッシュ・ホラー文芸】奇妙で鮮烈な迷宮的悪夢を描く短篇集『兎の島』刊行!