地域とつながる。世界とつながる。PCM研修富山×ケニア編!
みなさんこんにちは!国際協力サロンです。今回はシリーズ化しつつある「オンラインでPCM研修」の記事をお届けします!「PCMって何?」という方は、下記の記事をご覧ください!
今回のテーマは「ケニアの漁村部での所得向上」。前回同様、このテーマを中心問題に解決策をみなさんで考えていきます。最後には、実際にケニアの漁村部でNGO職員として働く現地の方と繋いで、アイデアの発表を行いました。
今回特別だったのは、日本の地域とも繋がれたこと。富山県氷見市を拠点に置くフィッシュレザーブランド・tototo代表の野口朋寿さんにご参加&ご登壇いただきました。
1993年、香川県高松市生まれ。富山大学芸術文化学部入学を機に富山県へ。大学では漆工芸を専門に学ぶも、卒業年次に魚の革、フィッシュレザーの研究を始めたことが氷見市を訪れるきっかけになる。2018年春に氷見市地域おこし協力隊として活動を始める。2020年、フィッシュレザーブランド「tototo」を立ち上げ、ネット販売事業をスタート。
日本の富山県氷見市という「ローカル」から生まれたフィッシュレザーは、ケニア現地の方にも大きな刺激となったようでした。今回の記事では、「グローバル×ローカル」の可能性を大いに紹介できればと思います!
PCMの「弱点!?」横の論理と縦の論理
今回も前回と同じように、PCM専門家の三好崇弘さんをお招きして研修を進めていきました。
三好さんとサロンファシリのみなさん
もう何十年も国際協力や地域おこしの現場で活躍されてきた三好さん。PCMという武器を手に、さまざまな場所で問題解決に取り組まれて来たからこそ、生まれた一つの実感があります。
それは、PCMは「縦の論理」であり「横の論理」の発想をすることが難しいということ。PCMは発想法として「問題をどう解決するか」を問題をひっくり返して(目的分析)考えるため合理的なロジックは構築されますが、発想の範囲が限られます。
「Aという問題を解決するためには解決策Bが必要」「解決策Bのためには解決策Cが必要」という発想はPCMで可能ですが、「Aという問題を解決するために、Xという解決策も必要では?」という発想は、PCMの外からもたらされるものであり、これが「横の論理」的な考え方です。
そして「フィッシュレザー」という画期的なアイデアを実践した野口さんは、この「横の論理」のとてもいい例です。
野口さんは富山県の氷見市で地域おこし協力隊として活動していましたが、例えばPCM的に「氷見市の特産品が少ない」という問題分析・目的分析をすることで「フィッシュレザー」という回答が出るでしょうか。なかなか難しいのではないかと思います。
「PCMはあくまで発想法の一つであり、他の発想法でアイデアを取り入れる柔軟性を持っておくこと」が重要です。突然のひらめきやインスピレーションが世の中を大きく変えることって、結構ありますよね。
捨てられる魚の皮を活かして
今回のPCM研修のテーマは「ケニアの漁村部での所得向上」。みなさんで中心問題の「漁村の漁師の所得が低い」の原因を考え、それをどうやって解決するかを考えていきます。それにあたって、上にも書いた「横の論理」を展開するために、野口さんからのお話をいただきました。
野口さんが代表を務めるフィッシュレザーブランドのtototoは「廃棄された魚の皮を加工する」という新しい発想で、財布やカードケースを作っています。
加工の様子と完成品。クオリティがすごい…
発想を膨らますために、野口さんからはフィッシュレザー缶バッチとレザーの端切れを事前に郵送していただきました。実際に触ってみると、魚の皮とは思えないくらいの頑丈さがあります。
引っ張っても全然破れません。色鮮やか!
こうした斬新な考え方をPCMの論理に組み込むために、参加者の皆さんでアイデアを出し合います。「フィッシュレザーでボトルホルダーを作るのはどうか?」「ケニアと日本をオンラインで繋いで、ファッションショーをする」などなど、多種多様な所得向上のための案が生まれました。
新しいアイデアが続々!
「縦」から「横」に。「ローカル」から「グローバル」に。
研修の最後には、ケニアでHIV予防活動を行う現地の方に完成したプロジェクト表を英語でプレゼンしました。
たくさんのフィードバックをいただきましたが、特にフィッシュレザーには大きな関心を持ってくれたようで、日本ではどれくらい売られているか、ケニアでもできそうか、など、たくさんの質問が飛び交いました。
こうした日本の「ローカル」な場所で生まれたアイデアが海を超えて「グローバル」に交流することで、新しい何かが生まれるかもしれません。
「横」と「縦」。「ローカル」と「グローバル」。一見お互い離れ離れに見えていても、交わることで大きなインパクトが生まれるのではないかと実感できた研修でした。
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