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ゴミ山はなくすべき?葛藤


*スモーキーマウンテン

フィリピンに行って1番衝撃的で、たくさんのことを考えさせられたのはゴミ山の訪問だった。
見た目がわかりやすいからそう思っただけかもしれないけど…


着いたときにはそこまで臭いはきつくなかったけど、少し奥に進むとどんどん臭いがきつくなって、これ以上進めない、そう感じた。これまで見たことがないくらいたくさんのハエが集まっている。音もうるさくて、早くここから移動したいと思った。

そんな環境でも、わずかな収入を得るためにゴミの中から売れるものを探して生活をしている人たちがいる。
衛生的に悪い環境であることはもちろん、ゴミでできた山の上に登って作業をしている途中で足を踏み外して転落死することもあるそう。

「汚い、危険。」私が初めに抱いた印象はこの2つだった。

そもそも、どうしてゴミ山ができるのかというと、焼却整備が整っていないから。ゴミを処理する方法が山に持っていくほかないらしい。では、焼却施設を整えればいいのではないか、と思うがそう簡単にはいかない。2つの葛藤が生まれた。

まずは、ゴミがなくなると生活に困る人がいること。
ゴミ山があることで生計を立てている人がいる限り、彼らの仕事を奪い生活の基盤を奪ってしまう。
他に就ける仕事があれば良いが、学校に行っていない、中退といった理由で教育は受けられていない。
教育経験もスキルも持たない彼らが新しく職に就くことは難しい。
そもそも、親がそのように生活してきたからゴミ山での暮らししか知らず、他の選択肢を選ぶ余地がないこともある。

2つ目は子どもたちの自信と誇り。
学校に行きながら家族を助けるために放課後や週末にゴミ山で活動する子どもたちと話す機会があった。
「あそこに登ろう」そう言われて少し高くなって山全体が見渡せる場所に誘われた。そこに登ると反対側には、ごく一般的な山の姿を見ることができた。それを見て子どもたちは「きれいでしょ〜?」とキラキラした笑顔で言ってくる。


ここでの暮らしや与えられた仕事をどう思っているのか知りたくて話していると、「仕事は大変だけど、家族を助けられるから好き。ここも自分が生まれた場所だから好き」
これが答えだった。

なんて素敵なんだろう。
私にとっては「汚い、危険な」ゴミ山だったけど、彼らにとっては大切な場所。
この場所と自分の仕事に自信をもっている。
あのキラキラした笑顔で話してくれたことが忘れられなくて、この子たちからこの場を奪ってしまうことが果たして良いことなのかわからなくなった。

もちろん、病気への感染や転落死のリスクがあり生命の危機にさらされる場所であることも確か。けれどもそこには生活している人の思いがあって、何も知らない外部の人がゴミ山をなくそうとか焼却炉を作ろうとかで簡単に解決して良いものなのか。

安全に暮らせる環境は整えてあげたい。他に収入を得る方法があることを教えてあげたい。でも大切にしているものを奪いたくもない。
一度変えたものを元に戻すのはほぼ不可能だと思うと、どうするのが正解か慎重に考えないといけない。
難しい。

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