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近年の小学校お受験試験内容の動向4 ペーパーテストの内容 お受験合格への道2022

 今回は近年の小学校お受験試験内容の動向の第4弾として、5つの試験形式から1.ペーパーテストについて詳しく掘り下げていきたいと思います。

小学校お受験5つの試験形式

 現在の有名小学校の入学試験は、原則5つの試験形式から構成されています。
 ※小学校によっては実施していない項目ものもあります。

1.ペーパーテスト
2.個別テスト
3.集団テスト
4.運動テスト
5.面接テスト

 過去においては、ペーパーテストだけを実施している小学校もありましたが、現在は、
 ・ペーパーテストを廃止した小学校
 ・個別テストのない小学校
 ・5つの試験形式を実施する小学校
 ・面接テストを実施しない小学校
 ・推薦状と面接だけの小学校
 など、様々な形式で実施しています。

 これは、各校の「建学の精神」や「教育方針」に、様々な特徴があり、それらにより教育が実践されているため、試験内容もその学校独自の特色が反映されています。

 今回は小学校お受験の評価・判定尺度となる5つの試験形式を具体的に掘り下げていきたいと思います。

1.ペーパーテスト

 20人から30人程度のグループで、オーディオの音声や動画、または口頭での説明を聞きながら、一斉に答える筆記テストです。

 受験者はペーパーテストの実施時には、原則として、文字を読み書きできません。そのため、プリントには文字で書かれた設問はありません。

 絵や図形などを使いダミーも含めて、答えが描かれています。そして説明を聞いて、用意された筆記用具を使い、○や△、□や×などの記号を書いたり、線を引いたり、色を塗って解答します。

 ペーパーテストの「常識の領域」から例を挙げてみると、
 B4サイズのプリントに、門松や節分、七夕、七五三、クリスマスといった四季を表現する行事が描いてあります。

 解答はクレヨンを使用しなさいと指示があり、
 「春の仲間にはピンク色で○を、夏の仲間には青色で△をつけなさい」
 といったコメントが、スピーカーで放送されます。

 これが設問となります。

 出題は一回きりで、制限時間は30秒程度です。
「春は、○だったかな?」「何か行っていたかな?」
などと悩んでいたり、ぼんやりしていては解答できません。

 設問は、どこにも書かれていないからです。
 前にも紹介しましたが、中学、高校、大学の試験のように、わからない問題は飛ばしておいて、「後でやろう」といったことはできません。

 その様な状況を鑑みると、条件としては厳しい試験の一つと言えます。

 指示を正確に聞き取り、速やかに解答しなければ得点になりません。他のことに気をとられていて制限時間を過ぎれば、次の問題に移ってしまうため「集中力」と「持続力」なども大切になります。

 また、テストを開始すると同時に、普段の生活習慣やしつけなど育児の姿勢もわかります。

 ・話を静かに聞く姿勢が身についているか
 ・正しい姿勢でテストを行えているか
 ・筆記用具を正しく持っているか
 ・落ち着いてテストを受けているか

 など、いろいろな様子が観察できるからです。学校側は単に、常識や記憶力を見ているわけではないのです。

ペーパーテストの問題点

 ペーパーテストのメリットは、子どものあらゆる能力を判定することはできませんが、一定の側面は定量的に確実に評価できます。さらに、試験実施の効率も高く、少ない労力で多くの人数の評価ができます。これは、ペーパーテストのメリットと言えるでしょう。
 ※論述式などの一部のテストは除く

 しかし、ペーパーテストだけでは、受験者の社会性や協調性、自主性、基本的な生活習慣やしつけなどを判定することは困難です。逆に、記憶能力だけが高い、偏ったプロフィールの集団になる恐れもあるからです。 

 過去には以下の様な例もありました。

 ペーパーテストの結果に従って、高得点者から順番に合格者を選んだところ、早生れの子どもが少なくなり、翌年から生年月日を考慮するようになりました。

 4月2日生まれと翌年の4月1日生まれは、学年が一緒です。実質約1年間の差がありますから、当然、早生れの子には、不利になります。

 特に乳幼児期の1年はとても大きな差が開いていることもありますので、お子さまの月齢によっては受験校の考査方法をしっかりと把握しておくことも大切です。

 近年は、多くの小学校お受験で月齢での配慮をしている旨の表明がありますが、必ず説明会に参加し、確認することをお勧めします。

 また、小学校お受験対策に関しては商用的な面が強調され、ペーパーテストの対策や受験準備などが過激になっていることも大きな問題です。

 確かに、試験内容の難易度が高く、入念な準備と対策が必要な小学校もあるのは事実です。効果的なカリキュラムのもとに指導を受けているお子さんは、心配ありませんが、幼児教室や塾を掛け持ちする子ども達には弊害があることもあります。

 例を挙げると、数を数える問題で、
A教室「線などを引かないで数える」
B塾 「線を引いて数える」
 といったように、違うプロセスを学ぶ場合もあります。この様なパラドックスは緊張感を伴う試験会場の場で子どもの混乱を助長させてしまうことになりかねません。

まとめ

 教育は多いほど良質という訳ではありません。多いのは質量的には効果がありますが、本質的に重要なのは教育のマネジメント能力になります。質量的な面を重視してしまう家庭は、お受験都市伝説にも影響されやすく、親子で受験地獄に陥るケースも実感として多いと感じています。

 特に私立難関校のお受験では、ペーパーテストの難易度が高いがゆえに、この様なペーパーテスト対策の商用的な目的のために振り回され、大切なお子さまを逆に混乱させてしまうケースもありますので、お受験合格は勿論のこと、お子さま本位の教育環境をマネジメントすることが大切だと感じています。
 
 次回は、「ペーパーテスト2」についてお話しさせて頂きます。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
 今回のコラムも私の個人的な知見に基づくものですので、必ずしも正しいとは言えませんし、他で主張されている理論を批判するものではないことをご理解いただいたうえで、一考察として受け止めて頂き、大切なお子様のお受験に役立てて頂けたらと思います。

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