近年の小学校お受験試験内容の動向5 ペーパーテストの留意点 お受験合格への道2022
今回は近年の小学校お受験試験内容の動向の第5弾としてペーパーテスト2として前回の補足で、ペーパーテスト対策における留意点をお伝えさせて頂けたらなと思います。
学習の仕方については、いろいろと細かい配慮も必要になりますが、今回は典型的な子どものためにならない学習の仕方について解説していきます。
家庭学習でよくあるケースですが、お子さまに学力を身に付けさせようとして夢中になってしまい、自分のいっていること、やっていることが、わからなくなる場合があります。
例えば、難易度の高い「図形」の問題などで、子どもがよく理解できていないときに、以下のようなことが起きるケースが多いと言われています。
解き方を説明したことでお子さまが理解できたと思い、問題に取り組むのですが、できません。1回ぐらいの間違いは許容範囲ですが、何回も同じ間違いが続くと、教え方の口調や態度も変わり、
「何回、教えたらわかるの!」
「こんな簡単な問題が、どうしてできないの!」
と、なるケースがあります。
幼児が「わからない」というときは、本当にわからない、理解できていないのです。教える側は、教え方や説明が不十分であることを認識し、お子さまがわかるように工夫してあげることが大切です。特にお子さまを責めることがないように留意しましょう。できた箇所はしっかりと褒めることも大切です。
※理解できる準備が整っている段階にあるかも重要です
また、昨日教えたことが、今日はできないという場合もあります。それはお子さん自身が経験していないことを、記憶だけに頼って憶えさせている場合に多く認められます。子どもは、興味や関心のないことをやっても、すぐに忘れがちなのです。
※短期記憶は反復して長期記憶へと変わります。記憶のメカニズムを理解して作業記憶なども効率的に活用しながら効果的に学習しましょう
本来、幼児が、興味のないことを机の上で学習するのは、向いていない手法であると言えます。そのため、生活体験や体験学習を交えながら興味・関心を持たせ、体験から取得していく学習に力を割いていく方が、より効果的と言えます。
お子さまを教育する際にプリントの反復学習だけでは、知的教育としての効果は低く、暗記学習の結果として、未学習の子ども達より成績が良い、と言った結果になってしまうケースも散見されます。
この様な方法は、一種の条件反射的なトレーニングと言えます。これらで、自ら考える力が養えるかというと、難しいと言わざるを得ません。
そして、行動観察型のテストにも対応できない恐れもあります。自ら考え、答えを導く力は、自発性や探求心、意欲といった物事(学習)に向き合う姿勢を養うことが大切だからです。
しかし、問題集などの反復学習が必要ないかと言えば、そうではありません。ペーパーテストを実施しない小学校であっても、対策は必ず必要です。
単に問題に○や×をつけるだけではなく、行動観察型の試験のように、「どうしてそうなったか」など、言葉で回答する口頭試問に対する準備に必要となります。
また、最近の入試問題の傾向は、
「幼稚園での生活能力があればできるテストを実施したい」
と考える学校が増えている状況があります。
例を挙げると、
部屋の一角にじゅうたんが敷いてあり、机の上に紙に包まれたお菓子が置いてあって、ペットボトルに入った麦茶らしきものとコップが用意され、 「さぁ、おやつですよ」
といって試験が開始されます。
チェックポイントは、
・手を洗い、ハンカチで拭き、たたんでポケットにしまえるか
・靴を脱いで、キチンと揃えられるか
・包装紙でくるまれたお菓子を出すのにてこずらないか
・せんべいやクッキーであれば、ボロボロとこぼさないで食べられるか
・ペットボトルから、うまく麦茶をコップに注げるか
・「いただきます」、「ごちそうさま」を言えるか
・後片付けができるか
と、なっています。
小学校の先生方は、テストが始まると、子どもたちの姿勢と筆記用具の持ち方を見るそうです。姿勢がよければ、ご両親がよいお手本を見せており、筆記用具を正しく持てていれば、おはしをきちんと持って食事をしているはずですから、その様な点から養育の方針や状況がわかるわけです。
これらのことは、基本的な生活習慣から表面化されてしまうことになりますので、特に小学校お受験をする家庭に関しては日頃からの養育環境が重要となってきます。
つまり、ペーパーテストといっても、点数だけを評価・判定しているのではありません。
受験生は、幼児ですのでペーパーテストを通じて、その背景にある家庭の養育に対する姿勢も評価・判定しています。
ペーパーテストを実施する小学校は今後も、減少していくことと考えられます。しかし、学校側はペーパーテスト以上の多角的な視点からの評価・判定に移行していると言えます。
それらは、今までのペーパーテストでは判断できなかった非認知能力を評価・判定していると言い換えることもできます。
そのため、反復学習のみならず、それに向かう姿勢もお子さまを通じて評価・判定されています。
これからの受験日までの毎日の積み重ねはとても大切です。特に年中から年長にかけては、将来の学習意欲も培われていく大切な時期であり、人格形成に大きな影響を与える時期でもあるからです。
家庭内では、お子さまを慈しみながらも、生活習慣や養育環境を整え、反復学習に偏らない、体験学習を中心とした情緒教育を実践していくと効果的だと考えています。
特に、ペーパーテスト主体の私立名門難関校でない限りはペーパーテストの水準はそれほど高くありませんので、お子さまのバランスの良い成長を意識して様々な成長機会を演出していくことが大切だと思います。
個人的な経験則では、反復学習2割、体験(運動や遊び含む)学習8割程度がお受験に成功されている方には多いかなと感じています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今回のコラムも私の個人的な知見に基づくものですので、必ずしも正しいとは言えませんし、他で主張されている理論を批判するものではないことをご理解いただいたうえで、一考察として受け止めて頂き、大切なお子様のお受験に役立てて頂けたらと思います。
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