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香道の面白さについて~「香を聞く会」開催に向けて~

香道においては、香りを「聞く」と表現する。なぜ「聞く」のだろうかと疑問に思っていたのだが、それは記憶と対話しているのだと、理解できたような気がする。

小倉城庭園では「香を聞く会」を11月23日に開催。

香の初心者向けの企画を、この週末の11月23日に開催するので、ぜひ参加を検討してほしい。香道はとても面白い。その説明をしたいと思うので、その面白さを少しでも伝えられたらと思う。読んで(または読まなくても)、ちょっと参加してみたいと思った人は、以下のホームページから、電話で申し込んでもらえたら嬉しい。

香りを聞く

香道とは

香道(こうどう)とは香木の香りを楽しむ芸道。香木の香りを通じて自然の声を聞き、同時に自身と向き合うこと。そう言うと難しい感じがするけれど、実際は香りを聞き分ける遊びだ。香木を温めて香りを出し、その微妙な香りの違いを楽しむゲームだ。

志野流(しのりゅう)

小倉城庭園の香道は、志野流という流派だ。東山文化のリーダーであった室町幕府第八代将軍「足利義政」の近臣だった志野宗信を流祖とする、長い歴史を持つ流派だ。初代宗信からの志野流の精神を一度も途切れることなく現家元の幽光斎宗玄まで継承してきているそうだ。

香の面白さについて

聞くことは記憶と対話していることだと、初めに書いたのだが、ここで僕の個人的体験について書いてみたいと思う。

以前、家元が「雪」の名前を付けた香を聞いたことがある。「初音の白雪」みたいな名前だったか。昔の和歌や文学などを引用して、その名前は付けられているらしい。「初音」と言えば、大河ドラマにもでてくる「源氏物語」の一章だ。

「この香木に、家元は雪の名前を付けたんだ…」と思いながら聞くと、確かに冬の匂いがしたような気がした。源氏物語の時代(1000年前)を思い出すと共に、個人的な雪の記憶が溢れてきた。

酔っぱらって歩いて越えた橋の上で、雪に気づいた瞬間のこと。小さなコートに包まり水族館に向かう3歳のわが子のこと。大学の時に彼女と歩いてバンプオブチキンのスノースマイルが流れていたこと、そして別れたこと。高校の時に無実の停学明けに雪が降っていたこと。小学生の時に真っ白な田んぼに足跡をつけて遊んだこと、友達が肥溜めに落ちたこと。

香りが記憶をダイレクトに連れてきた。これが「聞く」ということなんだと思った。

めちゃくちゃ面白い。1000年前のイメージから現代のイメージまで飛び越える瞬間を体験した。脳がいきなり覚醒したような感触があった。匂いのパワーを感じた瞬間だった。

香りを選ぶ

源氏香

今回の香を聞く会では「源氏香」を体験することができる。源氏香の成立は享保の頃と考えられ、今流行りの『源氏物語』を利用した組香だ。要するに5種類の香りを覚えるゲーム。次世代家元から直接購入した伽羅(香木の一種)なども使う。簡単ではなさそうに感じるかもしれないが、4席80名くらいの方が参加される会。初めてという方も多くいる会なので、ぜひ皆さんにも、「香」の面白さを体験してほしいと願う。申し込みはこちら。

11月23日(土・祝) 小倉城庭園 香を聞く会 - 小倉城 公式ホームページ

紅葉が始まりそうな庭園

記事を書いた人:小倉城庭園 館長 中川康文

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