うちの夫はバイタク運転手?!バンコクでバイクに乗ったお話。〜旅行記 再びバンコク編①〜
バンコクでバイクに乗れたらきっと、もっと楽しいだろう、と、わたしと夫はそう思っていた。
と言っても、夫は自分で運転がしたくて、わたしは後ろに乗りたいけれどどちらかというと、もし事故にでもあったらどうしようという不安のほうが大きかった。
乗るか乗らないかはおいておいて、とりあえず国際免許はとっておくと夫が言うので、出発の1週間前に免許センターに行った。(申請してその日にすぐ取れる)
いままで海外で、車やバイクなんて運転したことはないし、何より恐れているのは、あのバンコクでバイクに乗るからだ。
バンコクと言えば、すごい量のバイクだし、日本みたいな秩序もなさそうだ。我先に我先にと隙間を縫って前に出てきたり、平気で逆走したり(実際に結構目撃した)、免許も持っていない人がたくさん普通に運転している、などと言う。
バンコクに来たのは約半年ぶりだ。午前中に、ナーナー駅ちかくにあるレンタルバイク店を訪ねた。実はこの時点でも、わたしは夫の後ろに乗るだけなのに、まだ覚悟が決まっていなかった。(あとで思えば、なんだかんだ理由を付けて乗らない方向に持って行こうと思っていた自分が、情けない)
夫は、バイクは乗り慣れているものが良いからホンダのPCXか、それに近いものがあれば借りると言った。そこにはPCXはなかったけれど、ホンダのバイクはいくつかあって、夫は似ているものを見つけて借りると言った。
やりたいことは挑戦してみなければ気が済まない夫だ。それならわたしは夫の運転技術と、自分たちの運命(トラブルや事故に遭わないこと)を信じるしかないと、この時やっと腹をくくった。(ちょっと大袈裟?)
レンタル代は24時間で400バーツ。(24時間なので翌日の借りた時間までに返せば良いとのこと。そのお店は24時間営業していると言っていた)
パスポート2人分のコピーを取られ、保証金3000バーツ(約1万2000円)、LINEをやっているか聞かれ、アドレスも交換した。
最後にバイクの前でわたしたちの写真を撮ると言われ、危うくピースをするところだったけれど、これはわたしたちのための記念撮影ではない。もしバイクが返ってこなかったときにでも使うのだろうか。ガソリンはメーターをメモしていて同じところまで入れて戻せば良いとのこと。ヘルメットは無料で貸してくれた。
もうここまでくれば、ワクワクしかない!不安なんてすっかり忘れていた。
ところで、せっかく取った国際免許は、求められることはなかった。
店の敷地から大通りに出た時、さすがに少し緊張した。
まるで、わたしたちがもし、金魚だったら、熱帯魚たちがたくさん泳ぐ水槽のなかに生まれて初めて、いきなり放り込まれたみたいな気分だった。
最初こそ違和を感じても、わたしたちはすぐその環境に慣れ、以前の水槽となんら変わりなくスイスイ泳ぎだしたのだった。
まずはとにかく走ってみて、アソークやスクンビットそしてトーンローのあたりをぐるぐる走った。バイクだから小道には入れるのだけれど、繋がった先は一方通行の大通りが多かったり、行きたい方向に行くのにすこし厄介な部分もあったらしい。夫は少し苦戦していたらしいが、後ろに乗るわたしは、あちこち見ることが出来て、のんきなものだった。
しばらく街中を走り回って、トーンローの【スパンニガー】でお昼ご飯を食べた。
そのあとは行ってみたかった【ワット・サケート】に行ってみることにした。
【ワット・サケート】はカオサンとか、最寄り駅で言うとサムヨート駅の近くにあるのでトーンローからちょっと走った。
このころになると、夫はもう現地のバイタク(バイクタクシー)のおじさんにしか見えなくなった。
もともと前へ前へ行きたがる性質なので、信号待ちや渋滞があっても車の間を縫うようにすり抜けて一番前に行こうとする夫。明日からでもこの地で、バイタク運転手としてやっていけそうだとおもった。
【ワット・サケート】は思っていた以上に、素敵なところだった。高台から、バンコクの街が一望できて、展望台としてもおもしろい。
眺望を楽しんで降りてくると、日は少し暮れかけていて、でも最後にまだもう一ヶ所わたしの大好きな場所に連れて行ってくれるという。バイク旅、最後のフィナーレは中華街だ!
【ワット・プラケオ(王宮)】の前を走り、巨大な雨雲がすぐ後ろに迫る中(雨季だからか真っ黒で大きなカミナリ雲)、私たちは中華街へと向けて走った。
途中、中華街のディープな場所に迷い込み、でもこんなところに来れるのもバイクだったからだろう。そしていよいよ、行き先が明るくなってきた。
まさか、ヤワラート(中華街のメイン通り)をバイクで走る日が来るとは!!
光輝くのネオンの下、たくさんの車やバイクに混じった。(とても混んでいるので走り抜けたと言うよりは、あいだを縫ったという感じ)
帰り道、バンク中心部は、トゥクトゥクまで増えていっそう大混雑だったけれど、それはすでにもうわたしたちの日常のワンシーンのようだった。(あっという間に慣れる)
自分だと踏み出せていなかっただろうことが、夫のおかげで特別な体験ができたと思っている。
そこにリスクはあるかもしれないけれど、踏み出してみる大切さに、その日、改めて気づかされた。
バイクを返却して、夫が言った。「運転には自信あったんだよね」
ああ、なるほどね。
この体験は病みつきになりそうだ。
※今回はベトナムとセットの旅でした。こちらもぜひ読んでいただけると嬉しいです☺️↓↓↓