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【国宝語り】関東地方の国宝

関東地方の国宝の特徴は、東京を中心に国宝を所有する国公立、私立の博物館・美術館が多いことです。来年創立150年を迎える東京国立博物館の所蔵となっている国宝は89件もあります。東京国立博物館所蔵の国宝については改めて別の機会にご紹介したいと思っています。静嘉堂文庫美術館(移転予定)、根津美術館、五島美術館などの私立の美術館・博物館では、三菱の岩崎家、東武の根津嘉一郎、東急の五島慶太など名だたる実業家のコレクションの中から、常時ではありませんが、多くの国宝の絵画や工芸品を見ることができます。特に、荏原製作所の創立者・畠山一清が収集した美術品を展示している畠山記念館(東京都)所蔵の「林檎花図」と「離洛帖」が気に入っています。

しかし、国宝の建築は少なく、彫刻は無いに等しいです。と言っても、関東だけでなく、彫刻は関西以外にはほとんどありません。深大寺(東京都)の白鳳時代に作られた釈迦如来倚像が平成29年に国宝に指定された時、関東にもこんなに古い仏像があったのかと驚きました。

数少ない建築では、鎌倉の円覚寺舎利殿(神奈川県)と陽明門をはじめとする日光東照宮の建築群(栃木県)が有名です。

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富岡製糸場(群馬県)や赤坂離宮(東京都)のように国宝の近代建築もあります。

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最後に、不思議な国宝を紹介します。それは普濟寺(東京都)にある六面石幢です(いま現在、保存修理中で拝観を停止しています。)。唯一の国宝の石幢ですが、そもそも石幢というものをほとんど見たことがなく、石幢とは何か、どこが評価されて国宝になったのか、など次々と疑問がわいた国宝でした。国宝の世界は本当に奥が深いです。


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