【国宝語り】国宝探訪の下調べ

 国宝探訪では下調べが重要です。所蔵先を訪ねれば見られるわけではないからです。期間限定で公開されている円覚寺舎利殿のように、建造物ですら、高い塀に囲まれていたり、非公開エリアの奥に建っていたりして、通常は見られないものもあります。「円覚寺舎利殿」は期間限定で公開されています。美術工芸品については、彫刻の大半を占める仏像は所蔵している寺院で通常拝観で見られることが多いですが、秘仏開帳として決められた日にしか公開されない仏像もあります。絵画や典籍など、他の美術工芸品については、傷みやすいものが多く、いつでも展示しているものは少ないと思っていた方がいいでしょう。「キトラ古墳壁画」「高松塚古墳壁画」のように、見るために事前申し込みが必要な場合もあります。


 建造物以外の国宝は、移動できるものが多いので、国立博物館や私設博物館等で特別展として展示されることも多いです。ただし、特別展についても、前期・後期などの展示替えが行われますので、博物館や展覧会の公式サイトで展示替えの情報を把握する必要があります。中には、展示期間が前期・後期どころではなく、1~4と言った具合に細かく分けられ、1の期間だけ、3の期間だけ展示などという時もあります。京都国立博物館で開催された「国宝展」は4つの期間に分かれていたのですが、見たい国宝の展示期間の関係で3回、この展覧会に行きました。それでも、展示期間が外れてしまい、見られなかった国宝もありました。
 また、どの国宝にも言えることですが、修復作業のため長期間見ることができなくなることもあります。現在の藤田美術館のように、所蔵している美術館・博物館が建て替えのため長期休館に入ることもあります。


 展示、公開情報については、見たいと思っている国宝やその所蔵先をインターネットで検索します。公式サイトがあれば一番ですが、無かったり、情報が載っていなかったりするので、実際に見た方のSNSが参考になることも多いです。それにより、限定公開なのか、期間はいつなのか、建造物の場合は修復工事中ではないかを確認します。また、国宝の展示、公開情報をまとめてくださったり、情報交換したりするサイトもあります。そういったサイトで展示、公開情報を把握した後、念のため、自分でも所蔵先や展示する博物館のサイト等で確認するようにしています。特に気をつけているのが、『日本書紀』、「太刀 銘正恒」と言った同じ名前で登録されているものです。このような国宝の場合は、名前だけでなく、所蔵先などをよく確認する必要があります。

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