どこに住んでもいいよって言われたら、どうする?
どこでも住めるとしたら、どこに住む?
このお題を目にした時、思いました。
そういえば私、今まで自分で住む場所を決めたこと、なかったなぁ。
魔女の宅急便の主人公キキのように、「この町に住みます!」って決めて住み始めた町は1箇所もありません。
でも、現実、ほとんどの人がそうかもしれないですね。
住むところは、通っている学校や仕事に依存していることがほとんどなのではないでしょうか。
もし何も制限がなかったとしたら、どんな町に住みたいかなぁ?
いろいろ考えると理想が膨らんでいきます。
そんな中、こんなことを考えました。
でも、自分で決めないからこそ、出会えた町があったなぁ。
住むところは決まってた
こんにちは、元国語教員、現ライターの国語の庭です。
テレビやネットで紹介されている町を見て、「いいなぁ、いつかあんな町に住んでみたいなぁ」と思うことはあっても、実行はできなかった私。
はじめて住んだのは、アパートでした。
もともと両親が住んでいたアパートです。
そこで生まれて、少しずつ大きくなりました。
間取りはぼんやり覚えているけれど、それでも小さいころだから細かいことはあんまり覚えてないなぁ。
少し大きくなって物心がついたころ、一軒家に引っ越しました。
高校を卒業するまで住んでいたから、この家とはかなり長い付き合いになりました。
目をつぶってても、どこに何があるかわかります。
何歩くらいでリビングが通過できて、このタイミングで曲がればキッチン。みたいな。
たまに帰省すると床のキズや壁のシミが目立つようになってきて、時の流れを感じます。
高校卒業後、はじめての一人暮らしが始まりました。
きっかけは、大学進学。
大学の近くの下宿を借りました。
自炊、掃除、洗濯すべてが新鮮で、ひたすら楽しい下宿生活だったと思います。
そして大学卒業後。
教員になって、各地を転々としました。
非常勤講師や常勤講師の仕事は基本1年契約。
そのため「来年はあの学校ね」と勤務地域の端から端に引っ越したこともあります。
正規教員になってからも定期的に転勤の話は来るので(基本的にお断りできない自治体でした)結構な頻度で引っ越しを繰り返していました。
引っ越し費用も敷金礼金も、決して安くはないですよね。
家計簿を見直す度に、「あれ、私ってもしかして引っ越しするために働いてる?」なんて思うこともしょっちゅうでした。
そして数年後、教員を辞めてフリーライターとして活動を始めました。
仕事場は、家。
今振り返ると、はじめて、場所に縛りのない生活がスタートしていました。
でも、引っ越しませんでした。
今住んでいるのは教員時代に住んでいた下宿のまま。
なぜ?住みたいところに住めばいいのに。
確かに。
でも今住んでいるところに慣れちゃってて。
居心地が悪いわけじゃないから、引っ越す理由も特にないかな、なんて。
決められてるから、住んでいる
どこに住んでもいい、と言われると逆にどこにも住めない、というのが私の性格なのかもしれません。
もちろん、「どんなところに住みたい?」って聞かれたら、いろいろ候補は挙がりますよ。
ほどよく都会で、ほどよく田舎。
行列や満員というわけではないけれど、人の流れがほどほどにある町。
○時に電車が来るから〇分前には家を出て…とかじゃなくて、出かけたいときに駅に行けば乗れる電車に出会える町。
特産品があって食に困らない町。
お土産や贈り物をするとき、その土地の名産品があると嬉しいな。
安めのスーパーもあって、地元で有名な名物店もあって、土日は混むから平日の有給を使ってまったり満喫できるようなお店もあるといいな。
近場で気軽に楽しめる町。
フラっと立ち寄れるカフェ、大きめの本屋さん、朝ごはんに焼き立てパンが食べられるベーカリー。
海か山が見渡せて、犬の散歩もできる景色のいい公園。日用品が揃うショッピングモール。
こんな町がいい、を書き始めると理想が止まりません。
でも、全部を満たそうって思うと、難しいんですよね。
ここはイイけどここがちょっと…と引っかかってしまうと、なかなか引っ越しに手が出せないといいますか。
だから私の場合、生まれた地域とか学校とか仕事とか、ある程度制限があるからこそ住む町が決められるのかもしれません。
実際、どの町も、住んでみたらとってもよかった!って思う町がほとんどでした。
毎日行きも帰りも満員電車でヘトヘト、でも駅前で匂いにつられてたまたま入った個人経営の定食屋さんのメニューが全部絶品、とか。
電車やバスが通ってない地域でも、近くの河原でぼーっとしながら道の駅で買ったお団子を食べる時間が最高、とか。
どの町も、私の理想からはちょっと外れてて、でも住んでみると予想外のところでステキと思えるポイントがたくさん出てくるんですよね。
もし「仕事で」とか「学校で」とかいう制限がなかったら、この町たちは住む候補には挙がってこなかった町かもしれません。
私が引っ越しをするとしたら、また新しい制限が出てきたころかも。
だから、今は現状維持。
どこに住みたい?と聞かれたら、私の場合、今のところ、「ここ」です。