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これはAIの時代に対応した問題!? 大学入学共通テスト国語【実用的な文章】の試作問題を解いてみた。

令和7年度の大学入学共通テストについて

今回も解説インタビュアーのクマはちです。

 いよいよ令和7年度の大学入学共通テスト(以下共通テスト)より新課程に対応した制度がスタートします。
 もちろん国語についても大きく変更が予定されており、最大の特徴が
近代以降の文章に【実用的な文章】が追加される
ことではないでしょうか。(その分10分延長されます)
 今回は共通テストの試作問題を当研究会の先生達に解いてもらい(私も参戦しています)、分析と対策を相談していきます。

今回も同じメンバーです。左上がO先生、右上がON先生、左下がK先生、右下がH先生です。

全体的に見ていかがでしたか?

 環境問題などステレオタイプなテーマだった。色々な情報の中から関連のあるものをピックアップする能力が必要だなと感じた。問題的には標準的で良問。選択肢で生徒が迷う問題も数問あった。(O)

 時間的に10分で解けなさそう。自分はのんびり解いてしまったので30分くらいかけてしまった。細かすぎるところにこだわらない方が良い。偏差と平均の違いとか考えすぎると時間不足になりそう。共通テスト英語と同様に情報処理のスピードが必要。(クマはち)

 生徒にも触れさせてみたが、満点は難しい。選択肢の【文章には書いてあるが、図に書いていないもの】に引っかかってしまっている。例題Bの方がやりやすかったという意見が多かった。
全て資料を真面目に読み込んでしまうと時間が足りなくなってしまう。設問全体を面で見て、キーワードをピックアップ出来る能力が必要。(K)

 なかなか面白くない問題だった(笑)。国公立の中学入試に近しい問題はあるので、そういう問題に触れたことがある生徒にとっては正統進化したといえる。逆に私立中入試だけ受けてきた生徒は面くらうかも。
 自分はどのくらい読まずに解けるか試してみたが、問2以外解けたので手際よければさくさく解けそう。ただ、共通テストは攻略法は作らせない方針のようなので、今後は上手く行かないかも。(H)

 今の高校三年生が慣れていない形の出題になっている。対策しなければ爆死しそう。RST(リーディングスキルテスト)に近いのでは。(RSTについて詳しくはこちら
これからAIの時代になる、というのを意識しているのではないか。AIは膨大なデータの中から選択肢を選んでいるだけなので人間とは違う。人間は意味を考えている。【東大の入試問題はAIは解けていない】のはそこが大きい。ところが最近の学生は意味を考えていない子が多いので、AIと同じになっている。 (ON)

 AIのプロンプトについていろいろと調べたり試したりしているが、前提条件の明確化、用いる名詞や動詞、形容詞の語彙でかなり左右される。【何をどう書けばAIに伝わるのか】について考えさせるスキルが必要な時代になる。それを見越した問題ならよく出来ていると言えるのではないか。(M)

AIの時代待ったなし!ですね(画像はイメージです)

第A問から見ていきましょう

 問2の選択肢アについて。高齢者が…という表現がどこまでかかっているかが気になる。その辺を明確に書いていないのでちょっと設問の文が雑かな?と思われた。一応他の選択肢で選べるので問題としては大丈夫。(O)

 問2は選択肢アが微妙なので一旦保留して、他の選択肢で絞り込んだ。曖昧なものは一旦保留して拘りすぎない方が良い。明らかなものを選んで全体を俯瞰して解くべき。(K)

 私は深く考えずに問2の選択肢アを正しいにした(笑)。判断出来ない、という選択肢がいやらしい。実は見落としているのでは…とか考えてしまうとついつい読み返してしまい、時間を食ってしまう。(クマはち)

判断出来ないということを判断出来ないといけない。これまでの試験問題の中でそういったものに触れてこなかった生徒が多い。【誤っている】と【判断できない】の違いが分かっていない生徒が多い。(K)

 判断出来ない、という選択肢は早稲田の英語にも出てくる。TRUEorFALSEだけでないので格段に難しくなる。この問題の場合、台風の発生数と真夏日について相関関係が読み取れない。数学の【正・負の相関】などをよく理解していないと難しい。
『関連している可能性がある』という表現を理解できているか?
『因果関係があるかまでは聞かれていない』ということを理解できるか?
といった所が重要(ON)

 問3の「また」と「例えば」を正しく読み取ることができれば簡単に解答できる。普段から接続語に注意して文章を読むことが大切! (K)

 実用性のある文章を読ませる、という目的の割に段落構成していない。段落構成があったのをなくしたのではと思わせる文章。
 接続語もパターンが少なく分かりにくい。実用性のある文章を読ませるという意図なのに、日本語がなっていない。問題を難しくするためのわざとでは。こういった分かりにくい文章をわざわざ作るというのは「実用性のある文章を読ませる」コンセプトからずれているのでは?(H)

 共通テストの英語に近い印象がある。普通ビジネスの現場で、あんな分かりにくい表現や間違いやすい資料は使えない。(クマはち)

マークシートは指差し確認しながらマークしてしまいます…しない?

第B問はいかがでしたか?

語彙がどれほどあるか試される。問2の要約が出来るかどうか、そのために定義と要約が入っていないといけないということをつかめるかが大事。問3の役割語の例について、『ステレオタイプ』の意味が理解できれば簡単だった。
 問4はそもそも主張が何かということが明確に出来てないといけない。分かっていれば簡単だが、そこをさらっと読んでいると読み直しになる。全体として主張が何かをつかんでいることが大事。
この問題を解いたあとしばらく時間をおいて2,3日後に解いてみるのも良い。要約とか説明の基本に戻って、この問題をつかめるようになる事もありそう。複数回解いてみてほしい。(O)

 問4はレポートの方を流し読みしてしまったので読み直した(笑)。問題の意図をつかんでから全体を俯瞰しないと難しい。Aよりは楽に解けた気がするのは、国語っぽい問題だからかな。(クマはち)

 BをAのノリで解いたら違和感があった。こちらの方が国語っぽい。設問によってアプローチが違うのではないか?(H)

結局のところ国語は何か書かれていることを読み取れば良いだけ。データであれ文書であれ、言ってることを読み取って要約させる練習をするべき。読んだものがどんな内容だったか、国語の授業ではいつも言ってもらうようにしている。正しい読解力、文書や資料データなどしっかり読み取る力を身につけないといけない。(K)

 要約は高校生には難しい。普段からそういう意識を持っていないと無理。要約とは一言で言えるか、見出しをつけることが出来るか、という力がひっすになる。それが分かっていれば資料も全て分かってまとめることができる。
問4の論拠の不足を補う問題は正直勘弁してして欲しいと思った。選択肢が簡単だったから良かったが、今後いくらでも難しく出来る、恐ろしい出題の仕方だ(笑)(O)

その他、対策など何かありますか?

 全体的に文章表現が雑では?(笑)。センター試験時代の方が遙かに練られていた。(K)
 こういった問題の対策問題集は出ているか?(H)
 共通テスト対策の予想問題もちょっとだけ有るが。まだまだ量も質もない。(ON)
 一般入試ではなく、就職の適性問題とか大学入試の総合問題などでそういうのがないか?看護大学の総合問題とかに似たような形式がありそう。FITの入試問題でそういうのがあったのでそのへんから引っ張ってくればいけるかもしれない(K)
 そのへんからかき集めてきましょう。似たような問題を集めて公開するのも良いかも知れませんね。(H)

 この第3問が入ることによって他の問題はどうなるのか?(O)
 今の所出題数はあまり変更なく、時間が延びて、他の問題の配点が削られるだけの予定らしい。(クマはち)

ただでさえ時間の戦いなのにこれを入れられると厳しい。順番としてこれは最後に解くべき。もし他を全部解いて5分しか残っていなかったら、残った時間で一気に読んで解いた方が良い。最初に解くのはない(笑)(K)

出来る子と出来ない子の差が激しそうですね、また共通テスト離れが進む…(クマはち)

 今年と同様に簡単になってスピード勝負になっていくのかな。単なる情報処理。考えさせる事があんまりない問題になりそう。読み取れる子とそうでない子で二極化が進む。(ON) 

次回は何を解きましょうか?

 共通テストについてばかり扱うのはあまり…即物的というか…(O)
 テーマが面白くないですね。お金もらわないと読みたくない。(H)
(一同笑)

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