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書くことは何よりも楽しい! だから8歳からずっと小説を書いている

気になるnoteクリエイターに、國學院大學メディアnote担当が「お話を聞いてみた企画」第8弾は、noidolのいどるさんです。小説家であり、野球や囲碁などの趣味に邁進、二児の母としての顔も持ちます。
小学校2年のときに「小説家になりたい」と思ってから、その思いを絶やさず小説を書き続けてきたというnoidolさん。お忙しい日々の中でも書き続けてきた、その原動力はなんなのでしょうか?

――noidolさんのnoteを拝見しました。最初の頃、野球の話を書いていらっしゃいましたね。

私、草野球のチームに入っているんです! 楽しいんですよ〜! あまりに楽しいので、最初noteは野球のことだけ書こうとしていたんですが、野球ネタって人気がなくて……(苦笑)。それで、それ以外のことも書くようになりました。
野球を始めたきっかけは、ジムで草野球チームの監督と出会ったことです。彼が、野球のことをほんとうに楽しそうに話すので、私もやってみたくなって「チームに入れてくださいよ!」と言ったんです。そのチームには男性しかいないので、監督は最初「あ〜、そのうちね……」と及び腰だったんですが、本当にやりたいと思っていたので何度も「キャッチボールでもいいからやらせてください!」「本気でやりたいんです!」と訴え続けたら「……じゃあ、1回キャッチボールでもしに来る?」って言ってくださって。
そして実際キャッチボールしてみたらもう楽しくて! そこから通いはじめて、今は試合にも出してもらえるようになりました。

実際にnoidolさんが使用しているグローブ。

――男性ばかりのチームに飛び込んでいったんですね。監督以外のメンバーは驚いていませんでしたか?

最初は「なんだこの人は?? 監督の彼女か?(いえいえ、私結婚していますし!)」っていう目で遠巻きにされていましたが、何度も通ううちに「あ〜、この人は本当に野球が好きで来ているんだ」って分かってもらえて、今はいいチームメイトです。

――noidolさんは、お子さんが通っている囲碁教室の子どもクラスにも通っていて、そこには大人は他に誰もいないとnoteに書かれていました。一見アウェーな環境に飛び込む勇気がすごいですね。

「やってみたい、おもしろそう!」と思ったら飛び込んでしまいますね。そしておもしろかったらもう夢中でやってしまうようなところがあります。
私、転勤族の家庭に生まれたので、しょっちゅう引っ越ししていたんですよ。小学校も3〜4回変わっています。ですから、新しいところに入っていくことに抵抗がないのかもしれません。


囲碁教室で小学生と真剣勝負をするnoidolさん。

――「やってみたい」「おもしろい」という気持ちに素直なんですね。
ところで、そんなnoidolさんは小説家ですね。小説も夢中になっているものの一つですか?

はい! これこそ好きなのでずっと続けていることです。じつは小説を書きはじめたのは小学校2年のときなんです。その時から小説家を目指してました。

――小説家を目指したきっかけは?

国語の授業で、教科書に載っている『ソメコとオニ』という物語の続きを書いてみましょうと言われ、書いてみたらすごく褒められたんです。それがうれしくて「将来、小説家になる!」と思いました。それ以来、ノートに小説をたくさん書きためていたんですよ。誰にも見せませんでしたが。
でも8歳で「小説家になる」と決心して、実現するまでには長い時間がかかりました。

――2020年12月に『メチャ盛りユーチューバーアイドルいおん☆』(小学館ジュニア文庫)でデビューされていますね。おめでとうございます。これはジュブナイル(少年・少女・青少年向けの小説)ですよね。児童向けの小説家を目指していたのでしょうか?

いえ〜、とにかく文章を書くことが大好きで……。エッセイも、童話も、コピーライティングも川柳も、あらゆる文学賞に応募していたんです。そうしたら児童文学の分野でいくつも入選して、「あっ、私、このジャンルが向いているんだ」と分かりました。一番最初に賞をいただいたのはポプラ社で、このときは担当編集者が付いたのですが、デビューできなくて……。その後、出産・育児で5年ほど文章を書く時間が取れない時期があり、2人目が幼稚園に行きはじめてやっと時間が取れて書いた『メチャ盛りユーチューバーアイドルいおん☆』が、第6回小学館ジュニア文庫小説賞の金賞を受賞しました。
それまで、それこそ何百という作品を応募していましたが受賞には至らず。少し時間を置くことも大事だなと思いましたね。

『メチャ盛りユーチューバーアイドルいおん☆』(小学館ジュニア文庫)

――ずっと小説への情熱は消えなかったんですね。次はどんな内容を構想しているか、可能な範囲で教えていただけますか?

ハーブガーデンや魔女、吸血鬼ものとか。でも吸血鬼の作品は「すでにたくさんあるから、他にないものを」と言われて、違う内容を考えています。イケメンヴァンパイアもの、結構多いんですよね。

――児童文学ではそういうジャンルが流行っているんですね。
noidolさんのデビュー作は小学生YouTuberが主人公でしたが、実際に配信している小学生のチャンネルを見て参考にしましたか?

娘がよく小学生YouTuberのチャンネルを見ているので、一緒に見ていました。娘が見ているのはコスメやメイクのチャンネルで「今の女の子はこういうものが好きなんだなぁ」と思い、デビュー作には、娘が好きなものを全部詰め込みました。

――本が出版されたとき、娘さんも喜ばれたでしょうね。

そうですね! 本が出たとき、ちょうど娘が小学生で、学校で「お母さんの本です」って紹介してくれて、うれしかったです。娘の友達にプレゼントしたら「サインください!」と言われて、サインなんて書いたことがないのでオロオロしたりして……(笑)。
娘の下に息子もいるんですが、息子は、3年ぐらい経ってからようやく読んでくれて、「おもしろかったよ」と、ひとこと言ってくれて、それもうれしかったです!

――お子さんたちも応援されているのですね。noidolさんご自身は、小説家を続けることを目指しているのでしょうか?

というわけでもなくて、とにかく小学校2年のときから、ずっとブレずに文章を書くことが好きで、楽しいんです。
小説を書いていて行き詰まるとnoteを書いて気晴らししたり……。好きだし、やりたいと思っていることをやるというのが自分のスタンスなので、文章に関してはその気持ちがずっと続いているという感じでしょうか。だから本が出ないとしても、ずっとこの先も書き続けると思いますね。

――8歳からずっと、文章を書くことの楽しさが持続している。

はい。今までいろいろやりたくて始めて、その後やらなくなってしまったもの(キックボクシングとか)もありますが、文章はずっと私の中で「いちばんやりたいこと」です。
だから小説を書く時間の確保は大事です。もちろん、野球と囲碁、あとずっと通っているジムにも行きたいし、子どもが学校から帰って来る時間には家にいたい。少し前まではカフェの店員もやっていました。今、新しい仕事をしようとしていますが、それも週2日、5時間以内という条件で探しました。小説を書く時間は絶対確保したいので。

――徹底していますね。忙しい中でもやっぱり文章を書くことの優先順位は高いようですね。ちなみに、小説とnoteはまた違うと思いますが、noteの方ではどういう内容を書こうとか決めていらっしゃいますか?

小説のプロットを書いていて「書けない!」ってなると、エッセイが書きたいな……という気分になるので、noteを書いていたんです。そうしたらエッセイを書くのも楽しくなって、noteにも力を入れるようになってしまいましたね。書くタイミングは、日常の中でふっと「あ、これネタになるな」と思う出来事があったときで、不定期です。

noidolさんの執筆風景。PCを前に熟考中。

――文章を書いていることで得たもの、学んだものはなんでしょうか?

学びというか、書き続けて感じていることは、やっぱり楽しくやるということが私には大事なんだなと思います。出産で何年も書く時間が取れなくて、ようやく書けたときにもう書くことが楽しすぎたんです。デビュー作も書いている間、楽しくて仕方なかったです。

――そういうときは、いわゆるゾーンに入っている感じですか?

そうですね、そういう感じはあります。というか、そういう状態にならないと、やっぱり書いたものもおもしろくないんですよね。ゾーンに入って書けたものは、読み直して自分で「あれっ、こんなにうまく書けてる」って思うこともあって、そういうときはうれしいですね。

――お話を伺って、noidolさんにとって文を書くことがとても大切であることがよく分かりました。記事を読んでいる方も、好きなことを持つ大切さを感じたかもしれません。
次回作を國學院大學メディアnote担当一同楽しみにしております!

noidol
文筆家。野球女子、習い事は囲碁。山本李奈名義で著書にエッセイ集『胸を張れ!小心者』(文芸社)、児童文学『メチャ盛りユーチューバーアイドルいおん☆』(小学館ジュニア文庫)がある。
noidolは、高校時代に作っていたホームページに使っていたペンネーム。noとidolに分かれて「イドラがない」=偏見や先入観がないという意味(本来はidolaが正しいスペルだが、自己造語としてnoidolとしていた)。

https://note.com/rinpon931(note)

取材・文:有川美紀子 編集:篠宮奈々子(DECO)
企画制作:國學院大學