制度解説「こども誰でも通園制度(仮称)」とは?
こんにちは、ここるくのやましたです。
こども・子育て関連で、これから最も注目されるであろう制度のひとつが「こども誰でも通園制度」(現段階では仮称)なのですが、こちらが2024年度から少しずつ身近になっていく見込みです。
そこで、子育て支援ベンチャーの創業から10年、子育て関係の制度や仕組みをパパママに分かりやすく解説することをライフワークとする「やました」が、この制度を利用する前に知っておきたいことを解説していきます。これが私の初投稿なので、まずは基本的なところを押さえていきたいと思います。
注)本記事は2024.3.1.時点での最新情報を元に執筆しました。注)本記事は2024.6.7に更新しました。
●「こども誰でも通園制度」は誰のため?
利用対象となるのは「0歳6ヶ月~満3歳未満」かつ「保育園等に通っていないこども」と公表されています。
つまり、専業主婦(夫)や育休中など、保育園や認定こども園などに通っていない世帯の0歳6ヶ月~満3歳未満のこどもが対象となります。
0~2歳児の約6割は就園していない(=保育園等に通っていない)というデータがあり(「未就園児等の把握、支援のためのアウトリーチの在り方に関する調査研究 報告書」より)、親が就労していることを前提とする現行の保育制度だけでなく、残りの6割のこどもへの支援を強化するために検討が進められたのが今回の「誰でも通園」なのです。
●(仮称)となっているのはなぜ?
この制度は、令和5年6月閣議決定された「こども未来戦略方針」~次元の異なる少子化対策の実現のための「こども未来戦略」の策定にむけて~の中でその創設がうたわれているもので、法整備含めた本格的な制度化はまだこれから。制度化前ということもあり(仮称)となっています。注)2024.4月の時点で、(仮称)の表記は使われなくなりました。
注)本記事は2024.3.1.時点での最新情報を元に執筆しました。
執筆時点では令和8年度(2026年度)からの制度化を目指して進められています。
よって2024年度から始まるのは、本制度化前の「試行的事業」という位置づけ。この試行的事業をまずは全国150自治体程度でやってみて、その状況を踏まえながら法整備等を固めていく計画です。2024年1月17日時点で試行的事業を実施することを決めているのは、こちらの108自治体。(こども家庭庁HP)2024年4月26日時点で試行的事業を実施することを決めているのは、こちらの115自治体。(参照:こども家庭庁HP こども誰でも通園制度の本格実施を見据えた試行的事業 実施自治体一覧)
こちらのリストによると、たとえば東京都内では港区、中野区、杉並区、多摩市の4自治体が試行的事業にエントリーしています。昨年度のモデル事業(*1)に手を上げていた文京区はこの時点では入っていませんでした。追加募集されるようなので、これから更に実施自治体が増えることに期待したいところ。
*1)試行的事業の前段階として行われた事業。モデル事業は全国31自治体で実施され、その状況をもとに試行的事業の在り方が検討された。
追記)ここるくnoteでは、試行的事業の最新情報を調査し、エリア毎に分けて実施自治体・実施園リストを公開しています。ここるくnoteトップからご覧ください。↓↓↓
●制度の実施内容について:利用時間や費用は?
こども誰でも通園制度では、対象者(先述)が月一定時間まで通園することができる、ということになっています。この「月一定時間」というのが何時間までなのか、については未定です。現時点で決まっているのは試行的事業に関するルールのみで、試行的事業中は「こども一人あたり月10時間まで」です。
月10時間は実際に利用してみると少し物足りないと感じるかも知れませんが、あくまでもこれは試行的事業に関する上限。2023年内に行われた制度実施の検討過程でも「10時間は少なすぎる!」という意見が多数上がっており、政府としてもなるべく上限を引き上げようとしているのではないかと期待しているところですが、2024年度からの試行的事業では保育現場での運用面も考えての10時間という判断だったようです。
費用については、おそらく多くの施設で「利用者負担」が設定されると思います。1時間あたり300円程度の利用料が発生するところが多いでしょう。
(自治体ごとの独自の判断にはなりますが、利用者負担が300円より安くなるような助成を設ける自治体も出てくるかもしれません。)
※追記:利用時間や料金については、自治体によって独自ルールを設けている場合もあり、ご利用前に必ず自治体からの情報をご確認ください。各自治体情報のリンク先は、ここるくnoteエリア毎実施自治体・実施園リストにも掲載しています。
●どうすれば利用できる?チャートを作りました
続いて、こども誰でも通園制度を利用する方法について解説していきます!
ですがその前に、注意していただきたいのが2024年度中に利用できるのは試行的事業に手を上げている自治体にお住まいの方のみ、という点(くどいようですが重要なので)。先述のとおり、2026年度から制度として本格実施することを目指しているので、2024年度~2025年度中はまだ限られた自治体(=試行的事業を実施している自治体)でしか利用できません。
※本格実施の時期が前倒しになる可能性もありますので、そういった動向についてもこちらのnoteでアップデートしていきたいと思っています。
まずは、今回の試行的事業の利用対象者かどうかを確かめるための「利用者要件確認チャート」を用意したので、ご自身でぜひチェックしてみてください。
試行的事業でご自身が対象となることが分かったら、下記の要領で予約して利用します。
●利用要件を満たした方の【予約方法】
試行的事業を実施している施設に問い合わせる自治体のHPを確認後、記載されている受付先(自治体や実施園)へ申請・問い合わせをするお住まいの自治体で試行的事業を実施している施設(保育園、認定こども園、支援センターなど)に直接問い合わせて利用します。保育園への入園申込みとは異なり、役所申込みではありませんのでご注意ください。自治体によって、役所で受付をする場合、もしくは実施園で直接受付を行う場合があります。まずはお住まいの試行的事業実施自治体のHPをご確認ください。☆試行的事業を実施する施設のリストが公表されたら、こちらにリンクを貼っていく予定です。※ここるくnoteから、エリア毎の施行的事業実施自治体・実施園リストをご覧いただけるようになりました。「事前面談」の日時を予約する
利用する前に実施施設での事前面談を済ませる必要があります。もし複数の施設で利用したい場合は、それぞれの施設で事前面談が必要になります。この事前面談は、お子さんのアレルギーの情報や普段の様子などを園側が予め理解しておくことでしっかり保育体制を整えるためのもの。パパママも、初めての園生活を前に不安や心配ごとが出てきやすいので、事前にそれらを解消しておくことができます。誰でも通園の利用枠を予約する
実際に利用する日時を決めます。お子さんが慣れるまでは「親子通園」といって保護者も一緒に園内で過ごすことも出来るので、状況に応じて通園スタイルを選んでみてください。
試行的事業を実施する自治体にお住まいの方は、全国区での制度化に先駆けて利用できるちょっと特別なチャンスでもあるので、是非トライしてみていただきたいなと思っています!
●最後に
「こども誰でも通園制度」はこれから見聞きする機会がどんどん増えていくと思いますので、最新の情報を元に基本的な制度そのものについて解説しました。制度に関する動向や詳細情報が届きましたら随時アップしてきますので、今後もチェックしていただけると嬉しいです。
ここるく やました