中国スタートアップ 資金調達Weekly Report_2021/02/05-2021/02/11_6w
新年快乐!!
中国大好きな竹内雄登です。
現在は、SPEEDAというデータベース向けに中国産業調査をしていますが、
前職は、ソフトバンクでベンチャー投資などのM&A業務をしていました。
今年の2021年から、ITjuziというデータベースの情報をもとに、
Weeklyで中国スタートアップの資金調達状況について発信することにしました。
まずは事実を整理し、定期的に投稿することを目的としていますので、投資傾向や特定企業の分析が薄くなることは予めご了承ください。
※本noteにおける中国スタートアップは、中国を拠点とする非上場企業を指します
※本noteは速報の位置付けとしています
※投資件数・金額およびその他データは本note投稿時点にITjuzi上で集計できたものを反映していますので、後日ITjuziのデータが修正・削除された場合、Weekly Reportの前後で数値のずれが発生する可能性があります。ずれが発生した場合、遡及して過去分を修正しませんので、ご了承ください
このWeekly Reportでは、主に以下3点についてまとめていきますので、
お時間がない方は気になる箇所だけでも、ぜひご覧ください。
・各週の資金調達案件まとめ
- 資金調達件数(日別、業界別、都市別、ラウンド別)
- 投資金額(日別、業界別、都市別、ラウンド別)
- 資金調達実施企業リスト
・上記資金調達により、新たにユニコーンになった企業
・投資案件数上位10の投資家
2020年までの投資動向の概況は以下をご覧ください。
では、早速本題に入りたいと思います。
1. 日別 資金調達件数・金額
2021年の第6週目である2月5日〜2月11日における、
日別の資金調達状況を見ていきます。
[資金調達件数]
2月5日〜2月11日の週では、毎日資金調達が行われており、
合計92件となりました。
また、1月1日からの資金調達件数の累計は575件となりました。
[調達金額]
非公開や曖昧な情報を除き、公開されている情報のみを集計したため、
あくまで参考としてのデータですが、2月5日〜2月11日の週では、
公開金額合計で145.7億元の資金調達が行われました。
また、1月1日からの調達金額の累計は858.5億元となりました。
なお、今週の92件のうち58件が金額非公開のため、
単純計算すると、今週の調達金額は集計できた金額の約3倍の規模になると考えられます。
2. 業界別 資金調達件数・金額
では、業界別に見ると、どうなっているのでしょうか。
[業界別 資金調達件数]
今週の92件の内訳を見ていきます。
業界別に見ると、医療・健康の資金調達が最も多く、36件となりました。
次いで、新工業、スマートハードウェア、法人向けサービスが上位に入り、
上位4業界だけで今週の件数全体のうち72.8%を占める結果になりました。
1月1日からの資金調達件数累計の内訳を見てみると、
上位4業界の医療・健康、新工業、法人向けサービス、ローカルライフサービスだけで、全体の62.1%を占めています。
[業界別 調達金額]
公開されているものだけのため、あくまで参考程度のデータですが、
今週は医療・健康、教育、新工業、自動車・交通の順に多く、
上位4業界で全体の92.8%を占めています。
1月1日からの調達金額累計を業界別に見ると、
物流、医療・健康、法人向けサービス、自動車・交通の順に多く、
上位4業界だけで全体の67.6%を占めています。
3. 都市別 資金調達件数・金額
続いて、都市別の内訳を見ていきましょう。
[都市別 資金調達件数]
今週の92件を都市別に見ると、
北京、上海、深圳の順にランクインしました。
今週は上位4都市だけで全体の60.9%を占める結果となりました。
1月1日からの資金調達件数累計の内訳を見てみると、
上位4都市の北上深杭(北京、上海、深圳、杭州)だけで66.3%を占めています。
今週も5位以下には広州、蘇州、四川、南京、武漢が安定的にランクインしています。
[都市別 調達金額]
公開されているものだけのため、あくまで参考程度にご覧いただきたいのですが、北京、広州、杭州、南通(江蘇省)の順にランクインしました。
今週は上位4都市だけで全体の71%を占める結果となりました。
1月1日からの調達金額累計の内訳を見ると、
先週に引き続き、北京、深圳、上海に集中していることがわかります。
次いで、広州と杭州が多く、いわゆる北上深杭(北京、上海、深圳、杭州)や北上広深(北京、上海、広州、深圳)に大きく偏っています。
上位5都市だけで全体の85.5%を占めています。
4. ラウンド別 資金調達件数・金額
ラウンド別に見るとどうなっているのでしょうか。
[ラウンド別 資金調達件数]
今週の92件では、シリーズAと戦略投資がそれぞれ25件で1位タイとなりました。
これら上位2つのラウンドだけで全体の54.3%を占めています。
1月1日からの資金調達件数累計の内訳を見てみると、
先週に引き続い、シリーズA、戦略投資、シリーズBの順に多く、
アーリーステージの企業による資金調達が活発であることがわかります。
[ラウンド別 調達金額]
公開情報のみをもとに集計した調達金額をラウンド別に見ると、
シリーズCが最も多い41.0億元となり、全体の28.1%を占めています。
次いで、シリーズEが31.5億元で2位となり、全体の21.6%を占める形となりました。
この2つのラウンドで全体の49.8%を占める結果となりました。
1月1日からの調達金額累計の内訳を見ると、
現状、シリーズA、戦略投資、シリーズFの順に多く、
上位3ラウンドでの合計は全体の56.6%を占めています。
※シリーズFは件数は少ないものの、1ショットが大きいため、
金額ベースでは比率が大きめになっています。
5. 今週、新たにユニコーンになった企業
今週は1社が新たにユニコーン企業になり、
中国のユニコーン企業数は2021年2月11日時点で273社*になりました。
*ITjuziが公開しているデータのため、その他データベース等がまとめている数値と異なる可能性があります
企業名:粉笔教育
業界:教育
拠点:北京
設立時期:2012年3月
バリュエーション:19.5億米ドル/126.8億元
主要な投資家:IDG资本, 挚信资本,
华兴新经济基金
企業HP:http://www.fenbi.com
6. 今週、資金調達を行った企業リスト
次に、2021年2月5日〜2月11日に資金調達を行った企業リストを見ていきたいと思います。
今週のメイントピックは、医薬品関連プラットフォームやオンライン診療プラットフォームなどを運営する圆心科技による資金調達だと思います。
今回のラウンドでは、テンセント、セコイアチャイナ、CITIC証券(中信证券)、CICC Capital(中金资本)、OrbiMed、Qiming Venture Partners(启明创投)などから、30億元(約465億円, 1元=15.5円で換算)を調達しました。
同社は医療サービス・薬事サービス・保険サービスの統合を目指しており、
主要事業は以下の通りです。
[妙手医生、妙手医库]
・オンライン医療情報/診療プラットフォーム
・登録医師は130万人以上
・1日あたりのサイト訪問者数は約700万人
[圆心药房]
・オンライン薬事プラットフォーム
・DTP (Direct to Patient)サービスを展開
・全国80都市以上をカバー
・370を超える三次病院をカバー
[圆心惠保]
・保険サービス
・保険会社と協力し、患者の治療および投薬データを分析
・保険サービスの利用者は3,000万人以上
7. 今週末時点での投資件数TOP10の投資家
2021年の投資件数TOP10の投資家は以下の通りとなりました。
※順位の矢印は先週との比較を表しています
テンセントは今週7件の投資を行い、
先週に引き続き1位にランクインしました。
今週の投資先の業界は、ゲーミングが最も多く4件でした。
セコイアチャイナも先週同様2位にランクインしました。
今週の投資案件は4件となっており、
医療・健康に3件、スマートハードウェアに1件投資しています。
上述の通り、テンセントとセコイアチャイナは共同でリードインベスターとなり、圆心科技へ出資をしています。
以上、今週の中国スタートアップ資金調達レポートでした。
今後も毎週レポートしていきたいと思いますので、よかったらスキとフォローをお願いします。
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竹内 雄登(Yuto Takeuchi)
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