中国スタートアップ 資金調達Weekly Report_2021/01/22-2021/01/28_4w
こんにちは。
中国大好きな竹内雄登です。
現在は、SPEEDAというデータベース向けに中国産業調査をしていますが、
前職は、ソフトバンクでベンチャー投資などのM&A業務をしていました。
今年の2021年から、ITjuziというデータベースの情報をもとに、
Weeklyで中国スタートアップの資金調達状況について発信することにしました。
まずは事実を整理し、定期的に投稿することを目的としていますので、投資傾向や特定企業の分析が薄くなることは予めご了承ください。
※本noteにおける中国スタートアップは、中国を拠点とする非上場企業を指します
※本noteは速報の位置付けとしています
※投資件数・金額およびその他データは本note投稿時点にITjuzi上で集計できたものを反映していますので、後日ITjuziのデータが修正・削除された場合、Weekly Reportの前後で数値のずれが発生する可能性があります。ずれが発生した場合、遡及して過去分を修正しませんので、ご了承ください
このWeekly Reportでは、主に以下3点についてまとめていきますので、
お時間がない方は気になる箇所だけでも、ぜひご覧ください。
・各週の資金調達案件まとめ
- 資金調達件数(日別、業界別、都市別、ラウンド別)
- 投資金額(日別、業界別、都市別、ラウンド別)
- 資金調達実施企業リスト
・上記資金調達により、新たにユニコーンになった企業
・投資案件数上位10の投資家
2020年までの投資動向の概況は以下をご覧ください。
では、早速本題に入りたいと思います。
1. 日別 資金調達件数・金額
2021年の第4週目である1月22日〜1月28日における、
日別の資金調達状況を見ていきます。
[資金調達件数]
1月22日〜1月28日の週では、毎日資金調達が行われており、
合計101件となりました。
また、1月1日からの資金調達件数の累計は386件となりました。
[調達金額]
非公開や曖昧な情報を除き、公開されている情報のみを集計したため、
あくまで参考としてのデータですが、1月22日〜1月28日の週では、
公開金額合計で313.5億元の資金調達が行われました。
また、1月1日からの調達金額の累計は716.7億元となりました。
なお、101件のうち67件が金額非公開のため、
単純計算すると、集計できた金額の約3倍の規模になると考えられます。
2. 業界別 資金調達件数・金額
では、業界別に見ると、どうなっているのでしょうか。
[業界別 資金調達件数]
今週の101件の内訳を見ていきます。
業界別に見ると、先週に引き続き、
新工業の企業による資金調達が最も多く、15件となりました。
次いで、医療・健康、法人向けサービス、ローカルライフサービスが上位に入り、上位4業界だけで今週の件数全体のうち52.5%以上を占める結果になりました。
1月1日からの資金調達件数累計の内訳を見てみると、
上位4業界の新工業、法人向けサービス、医療・健康、ローカルライフサービスだけで、全体の60.4%を占めています。
[業界別 調達金額]
公開されているものだけのため、あくまで参考程度のデータですが、
今週は物流、自動車・交通、法人向けサービス、医療・健康の順に多く、
上位4業界で全体の80.5%を占めています。
上位3業界の物流、自動車・交通、法人向けサービスの金額が高い理由は、それぞれ大型の資金調達が行われたためです。
大型資金調達を行なった企業を見てみると、
DiDiグループが2社入っていました。
1社目は、物流を手掛ける滴滴货运で、
IDG Capital、雲鋒基金(ジャック・マー氏が設立)、
テマセクなどから15億米ドル(約97.5億元、約1,550億円)を調達しました。
2社目は、自動運転関連の滴滴自动驾驶で、
IDG Capital、CITIC PEなどから3億米ドル(約20億元、約310億円)を調達しました。
1月1日からの調達金額累計を業界別に見ると、
上記の通り、物流、自動車・交通、法人向けサービスで、
それぞれ大型の資金調達が行われた結果、
徐々に上位の業界に資金が偏ってきました。
3. 都市別 資金調達件数・金額
続いて、都市別の内訳を見ていきましょう。
[都市別 資金調達件数]
今週の101件を都市別に見ると、今週もいわゆる北上深杭(北京、上海、深圳、杭州)での資金調達が多いことがわかりました。
今週は上位4都市だけで全体の71.3%を占める結果となりました。
1月1日からの資金調達件数累計の内訳を見てみると、
北上深杭(北京、上海、深圳、杭州)だけで68.7%を占めています。
[都市別 調達金額]
公開されているものだけのため、あくまで参考程度にご覧いただきたいのですが、北京、杭州、上海、深圳の順にランクインしました。
今週は上位4都市だけで全体の89.6%を占める結果となりました。
1月1日からの調達金額累計の内訳を見ると、
北京、深圳、上海に集中していることがわかります。
次いで、杭州と広州が多く、いわゆる北上深杭(北京、上海、深圳、杭州)や北上広深(北京、上海、広州、深圳)に大きく偏っており、
上位5都市だけで全体の88%以上を占めています。
4. ラウンド別 資金調達件数・金額
ラウンド別に見るとどうなっているのでしょうか。
[ラウンド別 資金調達件数]
今週の101件では、戦略投資が29件で1位となり、
次いでシリーズAが28件で2位になりました。
また、これら上位2つのラウンドだけで全体の約56%を占めています。
1月1日からの資金調達件数累計の内訳を見てみると、
シリーズA、戦略投資、シリーズBの順に多く、
アーリーステージの企業による資金調達が活発であることがわかります。
[ラウンド別 調達金額]
公開情報のみをもとに集計した調達金額をラウンド別に見ると、
シリーズAが最も多い138.7億元となり、全体の44.2%を占めています。
次いで、シリーズBが69.8億元で2位となり、全体の22.2%を占める形となりました。
この2つのラウンドで全体の66.5%を占める結果となりました。
1月1日からの調達金額累計の内訳を見ると、
各ラウンドに分散していることがわかります。
シリーズDやシリーズFは件数は少ないものの、
1ショットが大きいため、金額ベースでは比率が大きめになっています。
5. 今週、新たにユニコーンになった企業
今週は4社が新たにユニコーン企業になり、
中国のユニコーン企業数は2021年1月28日時点で272社*になりました。
*ITjuziが公開しているデータのため、その他データベース等がまとめている数値と異なる可能性があります
[1社目:驭势科技UISEE]
業界:自動車・交通
拠点:北京
設立時期:2016年2月
バリュエーション:10.8億米ドル/70.0億元
主要な投資家:
国开金融-国开开元,
深创投, 七匹狼, 中金资本, 博世中国, 江北嘴基金,创新工场, 真格基金, 青山资本, 澜亭资本
企業HP:http://www.uisee.com/
[2社目:天地汇]
業界:物流
拠点:上海
設立時期:2013年6月
バリュエーション:10.8億米ドル/70.0億元
主要な投資家:
盈实股权投资,启赋资本, 联通, 中信证券, 铭霄资本,中金资本, 启创资本QC Capital,鸿沛资本,万融资本, 长江会基金
企業HP:http://www.56pingtai.net/
[3社目:云学堂]
業界:法人向けサービス
拠点:苏州
設立時期:2011年12月
バリュエーション:10.0億米ドル/65.0億元
主要な投資家:
腾讯投资, SIG海纳亚洲,云锋基金, 大钲资本,喜马拉雅
企業HP:http://www.yunxuetang.cn
[4社目:滴滴货运]
業界:物流
拠点:北京
設立時期:2020年4月
バリュエーション:60.0億米ドル/390.0億元
主要な投資家:
IDG资本, 云锋基金, Temasek淡马锡, 中信产业基金, 普洛斯隐山资本, 中关村龙门基金, 碧桂园创投, 鼎珮投资VMS, 国泰君安国际
企業HP:http://www.didihuoyun.com/
6. 今週、資金調達を行った企業リスト
次に、2021年1月22日〜1月28日に資金調達を行った企業リストを見ていきたいと思います。
今週のメイントピックは、先述のDiDiグループ2社による資金調達だと思います。
1社目の滴滴货运はシティ・ロジスティクスを手掛けています。
近年、中国では、シティ・ロジスティクス市場が盛り上がりを見せており、同業者の満幇集団(Full Truck Alliance Group)や貨拉拉(Lalamove)も大型の資金調達を行い、ユニコーン企業となっています。
貨拉拉(Lalamove)については、以下noteにてご紹介していますので、ご関心があればぜひご覧ください。
2社目の滴滴自动驾驶はDiDiの自動運転部門が分社化した法人です。
自動運転の研究開発・実証実験を積極的に進めており、2020年6月からは上海市嘉定区で同社ロボタクシーの試験サービスが開始されています。
7. 今週末時点での投資件数TOP10の投資家
2021年の投資件数TOP10の投資家は以下の通りとなりました。
※順位の矢印は先週との比較を表しています
テンセントは今週11件の投資を行い、1位にランクインしました。
今週の投資先の業界は、ゲーミングが最も多く5件でした。
次いで、法人向けサービスが多く3件でした。
うち1件は、上記ユニコーン企業の「云学堂」(法人向けサービス)への投資です。
その他、教育に2件、金融に1件の投資がありました。
セコイアチャイナは先週同様2位にランクインしました。
今週の投資案件は8件となっており、うち医療・健康とスマートハードウェアには2件ずつ投資しています。
また、今週、大型資金調達を行なった「第四范式」(法人向けサービス)へも投資しています。
以上、今週も多くのスタートアップが資金調達をしており、
各種ビッグプレイヤーが各業界へ投資していることがわかりました。
今後も毎週レポートしていきたいと思いますので、よかったらスキとフォローをお願いします。
お問い合わせは以下にて受け付けております。
竹内 雄登(Yuto Takeuchi)
Twitter:https://twitter.com/yuto_takeuchi01
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