ダイエット9 ―楽して痩せたい?―
(読了目安10分)
今回は以下の内容です。
◎楽して痩せたい?
◎ダイエット業界裏話
◎ダイエット特集がなくならないわけ
・・・
ダイエット食品が置いてあるドラッグストアの店員は、みんなスリムなのか考えてみてください。
そうでもなさそうですよね。
なぜでしょうか・・・
今回はそんな疑問のヒントになる内容です。
◎楽して痩せたい?
「体重を減らさないといけないなあ・・・楽して10キロ落としたいなあ」
あなたが仮に、増えすぎてしまった体重を気にして、10キロダイエットしたいと考えていたとします。
そんなとき、ある人から「寝ている間に10キロ減!楽して痩せるダイエットサプリ」という商品をもらいました。
飲めば一晩で確実に痩せられるということでした。
それを飲んで寝た翌朝、鏡を見ると、たしかに痩せています。
本当に体重が10キロ減っていたんです。
質問1:あなたは自分をほめることができますか?
質問2:その体重を維持できますか?
なんだか、楽をして痩せると自分をほめられない気がしませんか?
そして、減った体重を維持するのも大変かもしれません。
では質問1と2について考えてみましょう。
質問1:あなたは自分をほめることができますか?
以下、マスターの体験と、オリンピックの例え話です。
マスターが10年ほど前に再認識したことです。
娘が4歳になる1ヶ月ぐらい前から、日常の会話に「4歳」というキーワードをちりばめ、「4歳になることは楽しいこと、お姉さんになることなんだよ」と言い聞かせました。
就寝前、「明日は誕生日だね」と眠りにつきます。
誕生日当日、娘が起床してすぐ、嬉しそうに言います。
「お父さん!4歳になったよ!」
「歳をとる」ということについてまだなにもわかっていない娘が、周りの言葉を素直に信じ、無邪気に喜んでいる様子でした。
そのときです。
喜ぶ娘を見るマスターも、とても嬉しかったんです。
なぜこんなに嬉しいのか・・・すぐに答えが見つかりました。
マスターの喜び・感動・充実感を支えていたのは、「歴史」、言い換えると「日々の努力」でした。
妻と協力しながら、一緒に子育てをした日々がありました。
ミルクを作り、オムツを換え、夜中に泣けばどんなに寝不足でも、すぐに起きて対応しました。
散歩して、遊んで、バイクの上に乗せてあやしたりもしました。
マスターの幸せは、そんな「歴史」がくれたものなんです。
もし独身のマスターの目の前に、4歳になった女の子とその母親が現れ、「あなたの子よ、今日は4歳の誕生日なの」と言われても、マスターの充実感はなかったはずです。
そしてもうひとつ、みなさんは、オリンピックやスポーツの試合を見て優勝シーンなどに感動したことはありませんか?
戦って、競り合って、努力した結果の勝利にみなさんは感動するわけです。
ですから、たとえば相手の「欠場」によって優勝した選手は、戦わず、競り合わず、楽をして優勝したことになります。
その場合、「優勝」という結果は同じでも、感動はなくなります。
感動を支えているのは、「努力・それまでの歴史」と言っていいわけです。
選手も観戦する人も、それまでの過程があるからこそ、感動があるんです。
これは、ダイエットについても同じことが言えます。
世の中には、「楽して痩せる」という「うたい文句」があり、それに頼る女性も多くいます。
しかし、楽をして10キロ減るというのは、スポーツで言えば、戦わずして優勝してしまうようなものです。
楽をして、あなたは自分をほめることができるでしょうか。
心から自分をほめることができなければ、自信や誇りを持つことはできません。
心から自分をほめるために必要なことは、他人からの評価ではありませんよね。
誇れる自分になるためにダイエットをするのに、楽をすると自分を誇れないんです。
「楽して10キロ減」・・・他人は細くなったあなたの体型をほめてくれるかもしれませんが、あなたが本当に欲しいものは、「他人からの評価」ではないはずです。
ということで、ここまでちょっと長くなりましたが、「質問1」については、
「楽なダイエットでは自分をほめることはできない」
「自分をほめられないから充実感は得られない」
ということになります。
先日書いたように、そもそもダイエットは、楽をして成功するものではありません。
そして、もし仮に楽をして成功しても、充実感は味わえません。
愛をベースに努力し、苦労して目標を達成してこそ、あなたは自分をほめることができ、充実感を味わうことができます。
では次です。
質問2:その体重を維持できますか?
翌日に10キロ減っていて、その体重を維持できるでしょうか。
10キロ減の体重を維持するということは、それまでより少ない食事量で充分ということです。
しかし気持ち的には前日と変わっていませんから、それまでと同じように食べたくなります。
・・・が、同じ量を食べてしまうと、やがて10キロ太り、元の体重に戻るわけです。
苦労して手に入れた体重ではないですから、あなたにとってその価値も低く、目先の欲を優先し、結局はすぐに食べ始めてしまうかもしれません。
「太ったらまた痩せればいい」と言いながら、10キロ分食べてしまう・・・
これがリバウンドを生む考え方のひとつです。
また、いつでも10キロ痩せられるなら、食べる前に10キロ痩せておき、その分を思う存分食べるという方法も選べますよね。
しかし、「食べるために痩せる」としたら、それこそ本末転倒です。
「食べるために生きている」ということになるからです。
人間は本来「生きるために食べている」んです。
ということで、楽してダイエットした場合、おそらくあなたはダイエット後の体重を維持することはできません。
太ったら、「あのサプリがある」と、また楽に体重を減らす方法を選んでしまうからです。
そして太ったり痩せたりを繰り返すあなたを見て、他人はあなたを「神経が不安定な人」と判断し、あなたから離れていきます。
・・・やっぱりイヤですよね、そんなの。
朝起きて10キロ減っていると、つかの間の喜びの後、それを維持しようとしたとたん、「不安」との戦いになってしまいます。
努力せず得たものだと、それを維持する方法がわからないんです。
「楽して痩せるダイエット」は、結局は体重の増減を繰り返すだけで、長い目で見れば、ほとんどの人は痩せることができない、ということになります。
はい、ここまではオッケーですよね。
そして・・・この状態って・・・誰が儲かっているでしょうか。
そう、「ダイエット業界」です。
ダイエット業界が利益を上げ、ダイエットをする人は、体重の増減を繰り返しながら、お金だけでなく自信もなくし、歳を取っていきます。
人生の目的はダイエットではないのに、そこで足踏みをしてしまうんです。
実際は、楽して痩せることは不可能で、できるのは、「苦労をどれだけ楽しむか・前向きな苦労と捉えるか」ということだけです。
たとえば、ドラッグストアにはダイエット系の商品が多くありますが、店員たちはみんなスリムでしょうか。
楽してダイエットができるなら、みんなスリムなはずです。
また、ボクシングに代表されるように、スポーツを極めていこうとすると、どうしても「ダイエット」を避けて通ることはできません。
スポーツで勝つことは、国や個人の誇り、また、たくさんの企業の利害が絡んでいますから、それぞれに本気でダイエットに取り組むわけです。
そのとき、楽してダイエットができるなら、みんながその方法を採用するはずです。
しかし実際のダイエットというのは楽ではなく、場合によっては、幻覚や幻聴を伴うような過酷なものになります。
要するに、国家、医学、プロのレベルでは、「楽して痩せることはできない」と言っていることになります。
ですから、みなさんも、「楽してダイエット」と考えるのはやめ、「努力してダイエット」をしましょう。
幻覚や幻聴に至る過酷なダイエットをする必要はありませんが、上に書いたようなことも考慮し、ある程度の苦労に対する理解は必要です。
◎ダイエット業界裏話
楽なダイエットでは、あなたはなかなか痩せられないわけですから、あなたが楽なダイエットを繰り返している限り、ダイエット業界は儲かり続けます。
もっと言えば、ダイエット業界が儲かるには、あなたを痩せさせるわけにはいかないんです。
ですから、必ず「食べてダイエット」を勧めます。
「酵素食品を食べろ、プロテインを食べろ」と、食べることを勧めます。
「ダイエット業界はあなたを痩せさせるわけにはいかない」
「ダイエットを繰り返させる必要がある」
ということです。
ありもしない「楽なダイエット」を繰り返すことによって、ダイエット業界が儲かり続け、ダイエットをする側はずっとダイエット・・・この循環にハマってしまうわけです。
さらに、女性の「楽に早く痩せたい」という願望を利用し、不法行為ギリギリか、完全アウト覚悟の営業をしている業者も少なくありません。
時々ダイエット業界の企業に対して「業務改善勧告・業務停止命令」などが出ますが、悪徳業者は、「業務停止命令が出るまで営業をすれば儲かる」という計算で、ウソの宣伝をして人々を意図的にだまし、利益を出しています。
ところで、これは余談ですが、不法行為をして利益を上げた会社の社員は、そのお金でなにをしているかわかりますか?
「家族のため」なら不法行為なんかしませんよね。
もし自分が捕まったら、家族が悲しみますし、家族たちは「犯罪者の家族」と後ろ指をさされ、その土地に住めなくなります。
なんと言っても、かわいい子供や愛しい妻の顔を見られなくなるんですから、「家族のため」と言いながら、刑務所行きになる行為なんかしないはずです。
ではなぜ不法行為ギリギリの経営をし、お金を稼ごうとするんでしょうか。
それが家族のためではないなら・・・・・・みなさん想像してみてください。
ヒント:
「不法行為をするのは、ほとんど男性です」
◎ダイエット特集がなくならないわけ
雑誌やテレビでは、いつもどこかで「ダイエット特集」を目にしますが、みなさんは「ダイエット特集」がなくならないわけについてどう思いますか?
雑誌やテレビ関係は営利団体ですから、儲からない仕事はやりません。
ダイエット特集がなくならないわけは、ひと言で書くと、「安定して儲かるから」なんですが、もうひとつ皮肉な理由があります。
雑誌やテレビのダイエットの特徴は、「手軽さ」です。
楽してダイエットを成功させたい読者・視聴者の要望に応え、手軽なダイエット特集が世に出ますが、ダイエットの本質は、「苦労」です。
ですから、雑誌やテレビのダイエット方法では、なかなか成功しません。
そして成功しないから次の特集が企画され、その繰り返しでダイエット特集がなくならないわけです。
もし成功者が多かったら、その特集だけで終了してしまいますよね。
その特集で成功者が少ないから、次々に特集が出てくるわけです。
ということで、ダイエット特集がなくならないわけは、
「その特集ではダイエットが成功しないから」
というなんとも皮肉な理由があります。
雑誌やテレビのダイエット特集は、ツッコミどころ満載のものも少なくありません。
「読みもの」として、また世の中の流れなどを見るためには楽しい企画ですが、情報に振り回され、ダイエット企画を毎月のように試し続けるのはやめた方がいいと思います。
「手軽な方法では成功しない」ということは常に頭に留めておいてください。
メディア情報に右往左往せず、本質的な努力でダイエットを実践し、一回で成功させる人が、長く愛される人です。
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今回も最後までありがとうございました。
次回以降、以下のような内容です(順不同)。
◎先進国の不合理な食事情
◎お酒とダイエット
◎マスメディアとダイエット
◎管理栄養士・医師でも
◎部分やせ
◎食べなくても痩せない人
◎食べる喜びは最大の喜びか
◎流行のエクササイズについて
◎ダイエットが失敗する理由
◎運動は? 本質編
◎ダイエットを成功させるには
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