21歳、冬-東京14
就職活動が本格的に始まった。
気になる企業を探し、説明会に行ったり働いている人を探して話を聞いたり、年が明けるとエントリーシートラッシュで忙しくなった。
彼は彼で仕事を恙無く進めているようで、特にこれと言った出来事もなく、日々が過ぎていた。
彼が仕事に関する気持ちを吐露したのは、秋に高速で激昂した、あの一度きりだった。
地元企業を中心にエントリーしていた私は、選考が進むと、飛行機に乗って福岡まで行くことも増えてきた。
地元が好きだった。
東京での生活も賑やかで刺激的ではあったけれど、地元で流れる穏やかな時間と地に足のついた生活はやはりかけがえのないものだと感じていた。
大学を卒業して、福岡に戻るまであと12ヶ月。
福岡に戻れば彼との距離もぐっと近くなる。
その想いが就職活動の最中、私を支えていた。
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