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【研修記録】 DV被害者へのEMDR / ASDの精神分析的理解

カウンセリングケースが忙しくなかなかnote更新できてなかったので、

最近参加した研修セミナーの記録を書いておこうと思います。

の2件です。

まずはEMDRの方から。↓


1、ドロレス・モスケーラ先生「ドメスティックバイオレンス被害に対するEMDR」



ドロレス先生は、EMDR関連の著作も出版されていて、国内でもよく知られています。


日本でのワークショップは2度目だそうです。
私ははじめてお話をお伺いすることができました。

そこそこ費用のかかる研修でしたが、
今年受けた中ではおそらく最も実りのある内容でした。

守秘もあるので内容は詳しくは書けませんが、
かいつまむと

・DV被害者へのEMDRを施す際の安定化について
・DV被害を受けたときに生じる心理状態の理解
・安全性の欠如をどのようにサポートするか
・危険な関係を断ち切ることの難しさ
・非機能的なポジティブ情動
・よくみられる防衛的調整

など。

豊富にケース事例を引用されていて、
とてもわかりやすかった。

「これあるある…」と相談の中で出会ったことのあるシチュエーションもいくつか。

被害と加害の関係性にも、複雑な綾(あや)があるということがわかり、
より深く、起きていることが立体的に理解できた気がします。


暴力が存在するケースの場合、
安全性確保のための物理的な隔離ができたとしても、

ご本人の中の「危険な関係性を断つこと」への様々な葛藤や不安を理解する必要があり、
そうでないと本質的な解決にはなりずらい、
ということなのかなと理解しました。

でもこれって1対1のパーソナルな関係性だけでなく、
ハラスメントを伴なうような
一部の集団や組織と距離をとっていく上でも
延長線上にある概念の気もしました。

また、明白にDVの形をとっていなくても、
境遇や背景によっては重なる状態像の方もよく見受けられる気がします。

非常に出て良かったな、と思える研修でした。


2、「子どもの精神分析的心理療法セミナー2024 アン・アルヴァレズ氏による臨床セミナー」



こちらは主に子どものセラピー、
とりわけASD・神経発達症と言われている子たちへの理解に向けたセミナーです。

アルヴァレズ先生は、イギリスで活躍されている著名な臨床家で、
精神分析の世界でもとりわけ「ポスト・クライン派」と呼ばれる学派の
最前線をリードしている方と言っていいと思います。

アルヴァレズ先生の話を直で聞ける機会というのは、おそらく最初で最後なのでは?と。。

先生については、自閉症の子どものこころの世界について、
優れた書籍がいくつかあります。

絶版。


こちらはまだ比較的新しくて手に入る


(硬質な専門書なので、一般の方には難しいので、
 無理して読まないでいいと思います)


神経発達症については、
いわゆる「特性」と呼ばれる行動様式の観点からの理解は
割と社会にも浸透してきた感がありますが、

ではその主観的な世界はどのような体験になっていて、
どうその特性的な行動に結びつくのか?

という「力動」の理解はあまりなされないのが現状のように思います。

「特性だから」「こだわりだから」で理解がストップしてしまうことは
個人的に勿体無いなと思っている昨今です。


ASDの世界の探究は、
実はトラウマ理論でも手が届いていない領域で、
(発達性トラウマの議論はありますけど)

私の知る限り、現状、精神分析がその点で最も抜きん出ている印象です。

ポスト・クライン派は近年、
被虐待児や重篤なASDの臨床についても言及するようになってきており、
その世界の理解が進んでいます。

むしろ精神分析の方が、そこについてはトラウマの影響を考慮しつつ、
力動的な観点から特性面への理解を掘り下げて研究している印象すらあります。

(また対象児だけへのアプローチでなく、
家族面談を行っていくことの意義も指摘されています。)

今回のアルヴァレズ先生の講義も、
神経科学やトラウマの知見も時に引用されながらで、興味深かったです。


神経症〜境界水準〜精神病にかけての理解は
(歴史的に)もともとクライン派の功績によるところが大きかったのですが、

近年は個人的にはトラウマ・解離の理論の方が臨床にフィットして
使いやすいだけでなく、
心理教育としてご本人たちをエンパワーもできるので
そちらを採用することが多いです。

ところが神経発達症・自閉スペクトラム症においては、今のところ、
ビオン / ビック / メルツァー / タスティン、そしてアルヴァレズのラインにおける(←人名です)
精神分析の理解から得るところが私的には多いです。

今まで知識としては知っていても、よくわからなかった点が
近年、臨床経験がようやっと追いついて、繋がった感があります。

対象児の理解が深まることで、
家族相談における助言などにも還元されています。

そういう意味で、
現代精神分析の動向は自分にとっては追っていく意味のある領域な訳です。

セミナーの内容については、難しいので今回は割愛。。


さてさて今年度も折り返しに来てますが、
ココロンは謎に相談が混み合ってきまして、
いい意味で目の回る忙しさです。

自分にできることをコツコツと、ということで
2024後半もココロンがんばります。



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