自然は蘇る。その希望を抱かせてくれる読書記録『アファンの森の物語』C・Wニコル著
長野県黒姫に住み、荒れ果てた森を自ら買取り、自然再生に尽くされたC・Wニコルさんの『アファンの森の物語』
世界各地で自然保護に携わっていたニコルさんが感動するほど美しい森が、50年以上前の日本には存在していたこと。
巨大なブナの木、澄みきった川の水、そこに生息する生き物の様子。
日本の森がいかに貴重で素晴らしいものであったのかを知ることができてうれしかった。
しかし、その森の木々は翌年すべて伐採されていたという。
樹齢300年から500年の古木含めて。森は消え動物や鳥もいない。
ニコルさんはその時の憤り、悲しみをつづられているが、読みながら私も
「なぜ、そんなことを」
とショックだった。
木々販売の利益のため、ゴルフ場作りのため、林道作りのため、短期的な得のために失っているものがいかに大きいかを思い知らさせる。
ニコルさんは、黒姫の荒れた森を
自分の手で再生しようと決め、
自ら荒れた黒姫の里山を購入し「C・Wニコル・アファンの森財団」を設立。
山を蘇らせているその軌跡が綴られている。
私が、ニコルさんの本を読んだのは
30年ぐらい前だったと思う。
黒姫の暮らし、自然のうつくしさに
憧れて読んでいた記憶があったけれど
ニコルさんは日本の森の再生のために
声をあげ、活動を続けられていた。
東日本大震災のあと、被災された方々を森に招待されたこと、
その縁で公立の「森の学校」づくりにかかわられたことも書かれている。
『アファンの森の物語』
一度は荒廃した自然も
人の意思と努力で
再生、回復できると希望を感じさせてくれる。